五段目

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五段目

(別タイトル…吐血)

大店の隠居の喜寿のお祝いに呼ばれる出入りの業者が、お返しに忠臣蔵の5〜6〜7段目を披露して、8段目で向こうのお嬢様になんでもいいから踊りを舞ってもらおうという相談がまとまる。

ハナシは5段目の有り様。

始めてみると千崎弥五郎は花道から落ちる、与市兵衛と定九郎はうまいこといったが建具屋の吉公のイノシシはチンチンをしたり掛けションベンの格好をしたり芋を掘り出したりとシッチャカメッチャカ。

鉄砲の二つ玉シーンでは子供がいたずらして口火(縄の先の火)が消えて発火せず、立ち往生の定九郎役の近江屋の若旦那はまごついてうっかり「てっぽう」と喋ったとたん口の中に仕掛けた血糊の入った卵の殻がはじけて顔中がちだらけに。もうしょうがないからそのまま胸に血糊をなすって「うう〜〜」

客「なんだよおい(笑)。鉄砲も鳴らねえうちに血を吐いちまった。気のはええ定九郎だ。

  今日の定九郎は鉄砲は抜きなのかい!?(と野次)」

定「今日のは胃潰瘍だ」


以上は三遊亭円生(6th)のバージョンで、そもそもは「吐血」という演題だそうでオチも「ウ〜ン今日のは吐血で死ぬのだ…」となるそうであります。


五段目

(田舎芝居・部分)

田舎の地芝居で江戸から役者が来てくれるというんで「自分も一役やりたい」と地元の男が言ってきたので頭取が「七段目」で幇間か仲居か、ともかく白粉を塗る役をあげるから「五段目」のイノシシもやれというので男は快諾。

はりきったその男は「大序」をやってる時から着ぐるみでバックヤードで駆けずり回る猛練習。弁当蹴飛ばしたり小道具を壊したりとひんしゅくを買っていたがやがてくたびれて眠ってしまう。

四段目に来て目を覚ますとねぼけて舞台へ飛び出し、手をついてる由良之助の肩へ駆け上がって判官の横ッ面を蹴飛ばしてふすまをぶっ倒して楽屋へ駆け込んでいってしまう。(ここ大好きwww)

観客「芸がこまけえなあ。五万三千石の殿様が腹を切ったから領分のイノシシが暇乞いに来たんだんべえ…」


このシークエンスは「田舎芝居」の部分でもあり、橘家円蔵(4th)は上記「吐血」の前半に入れて上演もした。


五段目八卦

【ごだんめはっけ】(別タイトル…辻八卦(つじはっけ)/辻易者/大道易者)


ヘボ易者が客に、仮名手本忠臣蔵のキャラクターが死後ナニに生まれ変わったかを聞かれ、その3人ほどについてトンチで返すハナシ。

このトンチはラスト数分に集約され、前半(というか大半)は興奮した芝居基地外の五段目の再現(全シーンのダイジェスト)に費やされる。


五段目を知ってる人や好きな人なら、この芝居シーンについていけるが、この噺もまたオチが難解。

客「大悪人・定九郎が何者に生まれ変わったか、こいつを見てもらいたい」

易「車引く牛に生まれ変わったな。」

客「悪いことをした罰だ。畜生に落ちやがったね!?どういうわけで」

易「考えてもみたまえ。いまだシーシーに追われるだろう。」

・・・

金原亭馬の助が言う「シーシー」は、これはどうも「シーッシーッ」であって、荷車を引っ張って働く牛を制御する際の掛け声。(でしょうか?先輩方)

これを定九郎がビビるイノシシに掛けている。

わかりにくいせいか、現代では桂歌丸は「楽太郎に生まれ変わった」としている。


この部分を変えてしまっても問題ないのは、サゲが

客「由良之助は」

易「いまだ誕生つかまつりませぬ」

と、なっているから。そっちが重要。


大半が五段目なのに、オチが四段目という、なかなかアレな構成であります。


村芝居

大店で素人芝居をやろうと言うことになって有志を集めるが、死体役を嫌がった伊勢家さんが来ない。ゴハン焦がして「あやしやな」なんて言ってるところを見ると芝居心がありそうだということで弁当係の清三が呼び出される(…て、どっかで聴いたな。このシチュエーション!)。

清三は田舎の鎮守の祭で五段目の定九郎をやった経験を話すハナシ。

かつらが届かなかったので権助は開催までの3ヶ月髪を伸ばして当たろうとしたという。ところがすんでのところで髪が多くてのぼせたのがきっかけで眼病を患い(なんじゃそらw)、治療のためにくりくり坊主に。

急いで糸クズ、毛糸クズ、もぐさに筆の毛などを集めてノリで頭に貼っつけて工夫をした(いや、切った髪の毛を使ったらどうなんだ?)。

本番で近眼の村長の息子がやる勘平が足元を明るくしようとやたら火縄銃の火縄を振り回しながらやってきたので定九郎の頭に着火。

そのままセットの掛稲に火が燃え移り、「声を上げろー」と助けを呼ぶ声にあわてものが「肥をかけろ」と勘違いして火にコヤシをかけたものだから、火事が育って大きくなった、という、はなはだバカバカしいドタバタ。


軒付け

【のぎづけ】

浄瑠璃にハマった男が隠居(仲間?)に忠臣蔵の五段目を聴かせに行くが、下手なので味噌が腐るさかい晩に軒下で集まって稽古やってるからそこへ行ってやれと促される。

あるストリートパフォーマンスは好きな家に入れてもらってうなぎのお茶漬けまで呼ばれたと聞き男はさっそく仲間に入れてもらう。

下手すぎて2件ほど追っ払われるが、耳のとおい糊屋の婆さんのところで披露すると

婆「皆さん浄瑠璃はお上手じゃ」

男「おばん、あんた耳が遠いのに浄瑠璃の上手か下手かがわかりますか?」

婆「なんじゃ知らんが食べてる味噌の味が変わらんわい。」


橘ノ圓都(たちばなのえんと)の録音を聴いたが、この上方落語は検索で桂米朝(3rd)、桂枝雀(2nd)などの録音が引っかかる。

忠臣蔵が関連するのはオープニングだけ。


能狂言

田舎の小大名の殿様が江戸見物(参勤交代)で初めて知った能狂言。

たいそう気に入って、国許に帰るや「端午の節句の無礼講で、その方達、能狂言をいたすように」と家来にリクエストを出すが、生憎わかるものが誰もいない。

街にお触れを出して指導役を探していた折、タイミングよく旅回りをしてる江戸の噺家二人が相手が知らないのをいいコトに

「忠臣蔵の五段目かなんか。茶番があるだろ?あれでいいんだよ。定九郎と与市兵衛のアレをこうごまかしてお能らしくやればいいんだ」

というわけでタイトルを狂言みたいに「忠五ふただま」と変えて演ることに。

鳴り物は楽器が揃わないのですべて家来たちの口三味線「ハーオ、テンテン」「カーッポンポン」「ピー」。

定「久しぶりなる五十両。この金持って島原へ。まず女郎買にまいろう」

殺された野郎がムクムクと起き上がって

与「うーむおのれ。島原へはやるまいぞやるまいぞ。やるまいぞやるまいぞ。」とハケる。


もともと上方落語だったのを三遊亭圓馬(3rd)が演っていたのを若き日の三遊亭圓生(6th) が聴き覚えで復活上演。「他の人は手がけられない」(榎本滋民先生談)。

TBS落語研究会で演っているのを見てみると、オチのときほんとに「やるまいぞやるまいぞ。」と言いながら追い込んでるかんじでシモテにさがるw。(TBSチャンネルや動画で見られます)