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作品概要
制作会社 日テレ/CAL
公開年度 19670年
内蔵助役 --
評価 3ツ星


黒澤明といっしょに仕事をして名作映画を数々生んだ、小國英雄、菊島隆三、橋本忍、井手雅人の企画したドラマで、彼らを含む複数の脚本家たちが手がける、戦国時代〜江戸時代を舞台にした一話完結ものの剣豪のものがたり。出演陣も豪華。

全部で46話あるが、DVDで出てるのや、NHKBSプレミアムで放送されたのがあるもののいずれも抜粋のラインナップで、完全なパッケージに出会える機会には恵まれない。

ともかく、DVD「剣 傑作選」に忠臣蔵関係がいくつかあるのをご紹介。脚本と出演者が良いので見逃せませんもの。


放送された1967年は「チャコねえちゃん」(ケンちゃんシリーズの最初)「コメットさん」「仮面の忍者赤影」「意地悪ばあさん(青島幸男)」など子供がチャンネル権を奪っており、豪勢なスタッフ&キャストの当時代劇は思ったほど数字は稼げなかったようであります。「剣ちゃん」が「ケンちゃん」にまけております。


第18話に「四谷怪談」があります。お岩さんよりイエモンの狂人ぶりがクローズアップされたアレンジで、おもしろかったですが、忠臣蔵関係が皆無でしたので以下に含みませんでした。



第24話「吉良の用心棒」

菊島隆三 脚本。

腕の立たないワケアリ浪人・鬼塚又十郎(山崎努)はひょんなことから清水一学に剣豪と勘違いされ、吉良邸の用心棒にスカウトされる。邸内で腕試しをされるが、みっともなく負けるならいっそ一発で叩きのめされようと、目をつぶって腕をおろした構えをしたら相手が逆にビビってしまい、吉良(辰巳柳太郎)のお眼鏡にかなう。

悪夢を見てとりみだした吉良を介抱したのをきっかけに鬼塚は吉良にたいそう気に入られ、ふたりは腹を割っていろいろ話すなかよしになる。赤穂浪士の攻撃を恐れてどこにも出かけられない吉良に付き合う鬼塚もなかなか自由が利かない。

ある深夜、鬼塚は将来を誓うガールフレンドおその(野川由美子)のもとへいこうと決心しトンヅラをキメようとするが、生憎それが12月14日の深夜だった…。


コミカルな一編。

実際は上杉家の息子のところにずいぶん出かけてたと聞く吉良だが、このドラマでは駕篭の鳥状態。菊島脚本で興味深かったのは吉良の独白シーンで「自分はたしかに浅野に意地悪くあたった。とにかく浅野が嫌いだった。虫が好かなかったんだからどうしようもない」というひじょうにリアルと取れるセリフを言わせてるところ。そんなもんだったんじゃないのかなー。

当時としては吉良の人間性を丁寧に描くのは斬新だったのではと思います。

回想で浅野内匠頭が2カットだけ出て来て、時間にして数十秒だが、演じてるのは芥川比呂志である。贅沢〜(いや。なんかの流用?)


第32話「おかる勘平」

橋本忍 脚本

赤穂藩の塩蔵で大野定九郎が塩を横流しして空っぽにして逐電した責任を取らされ、同僚の早野勘平(加藤剛)がつめばらを切らされそうになるが、身分の上下から来る理不尽に嫌気がさし、お軽(伊藤栄子)のさそいもあって勘平も逃亡する。

ところが村でも三代続かないと祭りに参加できないなどの差別を体験し、勘平は絶望する。

そんなおりに神崎与五郎から討入り作戦加入の誘いがあり、支度金に20両が必要と聞き、事情を知ったお軽は自分を身売りしようと決心する。

気の弱い勘平は茶屋が軽をピックアップしにくる場面に立ち会わなかったが、時間をつぶししてた河原でバッタリ定九郎と再会。自分の人生を狂わせたカタキに勘平は一騎打ちして勝ち、フトコロに飲んでいたカネを泥棒する。

軽の身売りの是非に悩んでいた勘平はそのカネで家に来てる茶屋の女主人にキャンセルを申し出るが20両のでどころに疑惑が持ち上がる。そこへやってきた神崎たちは「支度金は決意をためすウソだった」と言ってくるし、義父は突然変わり果てたすがたで帰ってくるし…


思いどおりにならない運命の皮肉のアレンジを、歌舞伎の要素を使いながら上手に新しくしてておもしろかった。

歌舞伎、六段目で義母と勘平がもめてるところへ千崎たちが現れて、いったん与市兵衛の死体を屏風で隠して…という、ちょっぴりぎこちない構成を、「こうしたらいいんじゃない?」という橋本流に整理している。

こういうの、シナリオ作りの課題とかにしたらおもしろいかもですねえ!


第38話「喧嘩安兵衛」

沼田幸二、国弘威雄、橋本忍 脚本

新発田から上京してきた中山安兵衛(新 克利)はおじさんとの約束で酒と喧嘩を絶つ。

しかし「自分らしく生きていない」ことに悶々としていた安兵衛はある日、見かねた喧嘩の仲裁に見事にやってのけた事件をきっかけに長屋のヒーローとなり、フリーライターの練二郎(名古屋章)のハヤシタテにも後押されて、すっかり「のんべえ安」「けんか安」になってしまう。

誓いを破ってしまった伯父さんからの手紙にもなかなか目を通さず、やっと覗いてみると果たし合いの報告。高田馬場にあわてて出かけたが、すでに伯父さんはつめたくなっていた…。


安兵衛物語でむずかしいのは、飲んべえでギャグいっぱいのだらしないキャラが、浅野家に仕官したとたんにマジメ一徹になるギャップの処理である。

たいがいは前半の飲んだくれ時代をおさえることで全体のトーンに統一性を測ろうとするが、それをやるとどうもドラマがおもしろくならない。

この物語はそこをうまくやってて良かった。

根はマジメ。飲むと厄介。なんて簡単な答えがあったじゃないか。