朱鞘罷り通る
出典: Kusupedia
朱鞘(しゅざや=赤い鞘)っていうから堀部安兵衛の話かと思ったら、落語の中村仲蔵のハナシでした。
中村仲蔵を大川橋蔵。彼のヒントになる浪人を市川歌右衛門(北大路欣也のお父さん)。
主人公は仲蔵ではなく、「俺は自由になりたいんだ」がくちぐせの旗本の浪人・此村大吉(このむら だいきち)。
彼が、殺されそうな友達のために雨の中助っ人に走ってる様を仲蔵に目撃され、翌日自分とそっくりな姿が芝居にかかって大評判になるが、河原ものに武士の面目をつぶされてたまるかと、知的所有権を巡って争いになりかける。
が、仲蔵が知り合いのお兄さんだったので、和解。
大吉は殺された友達の仇を取って恋人と旅に出る。そんなストーリー。
落語の実写版というにはかなりのアレンジで、やはり歌右衛門の方をフィーチャーしたチャンバラを撮りたかったようで、肝心な「クリエーターの産みの苦しみ」というテーマが面白い「中村仲蔵」とはだいぶ違う「友情物語」になっております。
開発を終えた定九郎像の初登場シーンはそれなりな盛り上がりにはなってるがいかんせんサラッと流されており、なんとももったいない。
今だったら、もっと丁寧にねえ、登場人物の心理描写に時間をかけるんでしょうけど…
開発前夜の定九郎像が見られるのかなと期待したが、そういうのはチラッと写る役者絵でしか見ることができず、劇中劇の歌舞伎も昭和の演出の定九郎になっております(映像化されているのは定九郎の登場シーンのみ)。
そもそも芝居小屋のセットや満員のお客さんは凝っているが、肝心な歌舞伎役者は中村仲蔵以外、勘平も与市兵衛もイノシシも出てこない。
こういうアレンジ、当時じゃあ仕方がないか。無難な娯楽映画であります。白黒。
