おんな忠臣蔵〜汝、如何に愚かなりとも〜

提供: Kusupedia
2017年4月7日 (金) 23:37時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版 (ページの作成:「劇団スプーキーズ第16回公演。 太平洋戦争の末期、いろんな立場の女性(おもには主婦だが、なかには娼婦やタカラジェンヌ...」)

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先: 案内検索

劇団スプーキーズ第16回公演。

太平洋戦争の末期、いろんな立場の女性(おもには主婦だが、なかには娼婦やタカラジェンヌ、学生や子供、熟女など20人ほど)が演劇活動を通じてお互いを、家族を、そして戦争そのものと向き合う。

場面は東京大空襲の前の八王子と(そこで上演される芝居のタイトルは「松之廊下で待つのだろうか」である(笑)。「だれでも思いつくギャグ」と思いつつも、もし作者が当館のアニメを見てくれてたならうれしい)空襲がひどくなってから疎開した先の長野(でしたっけ)。一時帰国する兵隊さん家族達のために素人の女子たちが芝居経験のある女子たちの特訓を受けながら「忠臣蔵」を作っていく。


緊張感のある時代背景にもかかわらずコミカルな空気を保ち、家族や男女関係のエピソードが優しく折り重なっていきながら130分ほどが居心地良く過ぎていく。(初日の鑑賞で床が剥がれるというハプニングもものともせず、セリフを噛む役者も少なくなかった…にしても、だ)

女優さんがいっぱい出るので鑑賞中にご贔屓が何人もできて、そうしたことも群像劇で客をつなぎとめておくためにうまく機能している。


ストーリーに込められたメッセージはダイレクトに観客に届き、笑って、泣けて感動できる良い作品。


さて

忠臣蔵部分のおウワサですが、今回は忠臣蔵そのものより、「その時代を生きた人の忠臣蔵観」に注目したい。(劇中劇だし)

たとえば大工の兄妹(妹は兵隊に取られた弟の嫁)が芝居の美術=松之廊下の背景をたのまれると、ただの松の木の絵のカキワリを納品してツッコまれるというギャグエピソードがある。天然な二人のキャラを紹介する登場シーンなのだが…、そういう人がいなかったとは言いませんよ。言いませんけどでも〜……あとね、ハーフの女性が忠臣蔵劇のどの部分だったかアメリカ人ならそんなことはしない的な発想で演出に物言いをするシーンもあった。それ面白いんですけど、彼女は帰国子女じゃなくハーフってだけで日本で育ってるんですよね…?あとね、大石内蔵助瀬尾孫左衛門にお軽の子供の世話を託すシーン(という設定はバブル期に作家が作ったんだけど、それはスルーします)で大石内蔵助にがいることにショックを受ける従軍看護婦が…etc.

見ているこっちが現代人だから、わかりやすくなっておもしろかったけど、そぉんな「初めて聞いた」みたいな登場人物たちのリアクション、戦時中は忠臣蔵、そこまで無名ではないだろぉ!(笑)。

どの女子も当時にしては価値観や判断がクレバーすぎて、現代人が戦争中にタイムスリップした設定ならしっくり、というところが幾つかあったのは否めない。。