47RONIN
| 作品概要 | |
| 制作会社 | ユニバーサル |
|---|---|
| 公開年度 | 2013年 |
| 内蔵助役 | 真田広之 |
| 評価 | 
|
日本をイメージしてリデザインした、ハリウッドによるファンタジー忠臣蔵。
ともかく、カリフォルニアロールを「寿司」としてなんとなく認められる人であればじゅうぶん楽しめる作品だと思う。
＜あらすじ＞
闇の領地の吉良上野介が豊かな赤穂を妬んでて、ある日将軍綱吉がゲストの「武士しか出ちゃいけない御前試合」において吉良の手下の妖術遣いミズキが魔法でインチキしたおかげで、対戦相手の赤穂・浅野家から最下層民のカイ（少年時代に浅野の殿さまが拾ってくれた天狗の印のある謎のハーフ）がナイショで出場することになったらそれがバレてイベントはぶちこわし。
そんな粗相のあった夜、浅野の殿さま内匠頭は妖術をかけられ乱心。吉良を斬りつけ、翌日切腹。赤穂は改易となり吉良が新しい領主となるが筆頭家老・大石は民衆に悪影響が無いように、「すぐには復讐しない」とハヤる家来たちをなだめる。
大石の復讐を心配した吉良は１年間彼を牢に閉じ込めるが、釈放された大石は昔の仲間を集め、復讐に燃える。腕利きのカイは長崎に停泊中のオランダ船でストリートファイト系の格闘会で闘っていた…
おおむねいろいろ成功してると思う。
もちろん突っ込みどころはあって、どう大目に見てても「なんじゃこら！」と心の中で叫ぶことはある。しかしそれをカバーするいろいろが良いのだ。
成功の理由は、「忠臣蔵」を形作るのに必要なカードをじょうずに並べ替えて使ってること。
「赤穂」「謎多き刃傷」「辞世」「階級差別」「殿様の小刀は主税に」「我慢して難を逃れる」「女間者」「遊里」「敵の油断」「死んだ仲間の遺志を継いで彼の刀で討入り」「チャンバラ」などなど…
オープニングでまず泉岳寺の浅野内匠頭のお墓のデザインがちゃんと出てきたりしたところでグッとつかまれ、予告編公開時にさんざっぱらディスられてた「こんなの日本じゃねえ」という見かけにも確信犯的なものがあり、予想以上にいろいろ気を使ってくれてる感じがすごく良かった。
ぶっちゃけ日本人が制作したドラマだって必ずしも正しい装束というわけでもないし。また麒麟や竜が出てくるサマは、カッパや大入道の登場が珍しくない講談「赤穂義士伝」ファンのわたしには「おなじみ」なのであります。
よしゃあいいのに、最近の日本のドラマときたら歴史バラエティ番組で紹介されるような史実をこざかしく盛りこんできたり、かと思うと「これでいいんでしょ」的にステップ・バイ・ステップで淡々と話を進めたり、舞台のほうでは誰の影響なのか「斜め読み」「新解釈」的なひねくりが多く、マジメに鑑賞者に「忠義」「忠孝」のアレコレを伝えようという熱意が感じられない。
そこへいくと「さむらいのいきざま」を現代に、グローバルに伝えようと真っ正面からトライしてるこの映画の姿勢にはほんとうにエールを送りたい。
そういえば偏向した武士道なら「スタートレック」のクリンゴン星人でおなじみと言えばおなじみなアメリカ人ではある。日本人より「ブシドー」への興味が熱い一面がそもそもあるのかも？話立ても「スターウォーズ」の原作と勘違いするガイジンとかいそう。スペースオペラ的ファンタジー・サムライ・ムービーですかな。
「すげーよかった！」と言うことで三ツ星というよりも、予想以上の努力と心意気への賛辞ってかんじですな。
ただ、１年も公開を待たされるほどの重みはなかったかな〜。実はこの映画、最初の公開予定は２０１２年の１２月だった。それなりに期待が高まってたからあんとき公開してたらもっと盛り上がってた気がする。
なんか都合悪くなったらしくて丸１年のびたのだが、それにしてもわざわざ監督から編集権を奪っての公開。
映像を凝る監督らしかったから途中で取り上げちゃったことで、果たして我々が見せられたものが監督にとってどのくらい本意だったのか不本意だったのかわからないところがモヤモヤする。
「赤穂バンザイ！」
