毛利小平太
毛利小平太【もうり こへいた】…ドタキャン脱盟。
吉良邸の使用人にまでなって目覚ましい働きをし、家の中のこともよく知ってて信頼されてたのに「よんどころなき事情」でこっそり当日ドタキャン脱盟。
脱盟の理由がはっきりしないからか、ドラマではあつかいやすい脱盟者キャラとしてしばしば名前が出るが、たいがいは、たいへん忠義に働いてメンバーの役に立つように演出される。
その上で、どういう「やむにやまれぬ」脱盟事情を用意するかが脚本家の腕の見せ所。
忠臣蔵 花の巻・雪の巻 (松竹)では鶴田浩二が演じ、病気になって血反吐を吐いて集合場所に出かけられなかった。
幸四郎版では吉良邸の出入り業者の奉公人となり潜入捜査で活躍し、店の娘とも祝言をするまでにいたるが討ち入り当日に夜盗の襲撃に遭い犬死に。なんだか「太陽にほえろ!」の殉職的な、まるっきり関係ないいきさつで死に至らしめられるやりきれない運命がよかった。
瑤泉院の陰謀や明治座公演では「絵図面取り」の役どころで岡野金右衛門的に扱われる。岡野金右衛門の場合は討ち入りにいっちゃうので悲恋になるが、小平太なら脱盟者なのでお艶と夫婦になれる。
「松平健版」でも病気。「ゲキレンジャー」では臨獣ムコウアに殺されている。
「あゝ忠臣蔵」では吉良が呉服橋に住んでたときに潜伏し、こんど本所に引っ越すと言うことを突き止めたあと、奥さんと一緒にどこかへ逃げていくという、最初の脱盟者として描かれていた。
昭和62年(1987年)テレ朝の「忠臣蔵異聞〜生きていた吉良上野介〜」では川谷拓三が演じ、討ち取った上野介がニセモノだったという「後日談」の主役を張っている。…そうです。
落語家・柳家喬太郎は毛利小平太の子孫を主人公にクリスマス・イブの奇跡のお噺「聖夜の義士」というネタを作った。
最後の脱盟者。