忠臣蔵・いのちの刻
作品概要 | |
制作会社 | TBS |
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公開年度 | 1988年 |
内蔵助役 | 児玉清 |
評価 |
TBS石井ふく子プロデュース「女」系忠臣蔵シリーズ第3弾
第3弾目にして脚本の橋田壽賀子離脱。ピンチヒッター?服部ケイ。
橋田壽賀子が書いたヒット作「女たちの忠臣蔵」リリースから10年近くなってるが、もう、最初おいしかったんで2回目までは残りの肉もそぎ落として料理したものの、もう今回にいたっては食べるところも無くカスカスで、とりあえず付け合わせの野菜でごまかしたというおもむき。「まだ使える」というかんじでボロボロになった着ぐるみで「ウルトラQ」を撮ったやけくそを思い出した。さすがTBS。
石井ふく子さんは絶対大石りくを江戸下向させちゃうんで、今回もそうなのだが、そこそこ無目的に下向したわりには八面六臂の大活躍で、周囲の女友達と協力し合って軍資金の調達からユニフォームのデザイン〜仕立て(採寸もせずに)、果ては絵図面取りや茶会の日取り情報の奪取まで全部彼女たちがやっちゃうので、誰にもたのまれてないのにたまたま気を利かせて彼女たちが勝手に立ち回ったから良かったようなものの、この女たちがいなかったら、討ち入りどうしてたつもりなの??という超〜大疑問を残す珍品に仕上がっている。
主役はあくまで浅岡ルリ子演じる大石りくであり、夫・内蔵助もはなはだ存在感がなく放送開始から30分以上経っても出てこず、登場してもやることはなく、オマケに演じてるのが児玉清。彼はなぜか妻であるルリ子とのツーショットが1場面もなく(一緒にいるかのようなシーンはあるのだがそれぞれ別撮りが丸わかり)、児玉さん、役柄的にもスタジオの扱いも格下なかんじになっちゃってかわいそうなのであります。
江戸っ子からいやがらせを受ける梶川家のほうが印象的なエピソードになっており、丹波哲郎が良い味を出してるのだが、よほどこっちのほうが好人物に描かれている。もしかして脚本家さんは大石内蔵助が、きらいか?
脱盟者の名前の入った装束を女友達の勝手な事情で主税に着せるとか、こっちの虫の居所が悪かったら悪意とも取りかねない設定もいろいろある。
こうしたまったく「能のない赤穂浪士」のストーリーに、57歳の瑤泉院(久我美子)の登場や57歳の呉服屋主人(香川京子)と大石主税のラブストーリーという、熟女大暴れというトッピングもあり、ちょっとしたカルトムービーのおもむきもある。
いろんな面から見ても、石井ふく子本人がこのシリーズに自分で引導を渡した感じ。
吉良上野介がイモセちゃんというチンを飼ってるが、演じる若山富三郎のせりふの背景に鰹節を削るような音がするのでなんだろうと思ってたら、イモセちゃんの吐息で、はては富三郎に飛びついて顔をナメ出すというヤンチャぶりを披露している。
尼さん役の美空ひばりのTBS最後の出演作品で、ちょっとしたキーパーソンなのだが、彼女はお経の歌声も素晴らしい!