「早野勘平」の版間の差分

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[[画像:Kanpei_s.jpg|thumb|役者絵:高田 浩吉]]
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[[画像:Kanpei_s.jpg|thumb|役者絵:高田 浩吉]][[画像:Takahasi kanpei.jpg|thumb|役者絵:高橋和也]][[画像:Kanpe doll.jpg|thumb|勘平と。feat.淡路人形座・吉田新九朗さん。19.04撮影]][[画像:karu_kan.jpg|thumb|小島剛夕先生の漫画の勘平は全然だめんずじゃなく恋と忠義一筋。涙無くしては読めない。復刻版未収録。]]
  
 
早野勘平(はやの かんぺい)…不運で脱盟。
 
早野勘平(はやの かんぺい)…不運で脱盟。
  
ツイテナイ[[通し狂言 仮名手本忠臣蔵|仮名手本忠臣蔵]]キャラ。史実の[[萱野三平]]がモデルの架空キャラ。モデルといっても名前を借りただけで設定は架空オリジナル。
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[[通し狂言 仮名手本忠臣蔵|仮名手本忠臣蔵]]の、名代の'''だめんず'''キャラ。
  
腰元の[[お軽]]と密会デート(逢瀬おうせ)してたら主君の大事件に駆けつけられなかったところから人生急降下。
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史実の[[萱野三平]]がモデルの架空浪士。モデルといっても名前を借りただけで設定はまるきりオリジナル。
  
「お家の大事に腰元とデートなんぞしくさっておって、この腐れザムライが」と仲間からバッシングを受け相当へこみ、お軽の田舎に引きこもる。
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ほんとはいまわの際に盟約に加えてもらってるので「脱盟者」ではないが、ともかく死んでしまって討ち入りには不参加。
  
舅、[[与市兵衛]]が勘平を討ち入りメンバーに加える為の軍資金にとお軽を祇園のフーゾク店「一文字屋」に売った帰り(売るなっつうの)、強盗にあって死ぬが、その死体が家まで搬送されてきたとき勘平はそれをハンティング中の「自分の誤射」で死なせてしまったものと思い込み自責の念から自害して果ててしまう。彼がそう思いこんだのはその夜実際に人間を誤射した経緯があるから。その時は真っ暗闇でてさぐりで人間をやっちゃったことだけは確認したものの身元はわからなかった。できごころでその死体の持ってる財布を盗んで帰ってきてしまう。だから、死体が舅だと判明(勘違い)したときのショックはでかかった。ちなみにその死体はイノシシに発砲した弾がそれて命中した、だれあろう強盗の真犯人、[[斧定九郎]]だったのだ。勘平早まった。お軽はフーゾクで働く甲斐がなく、めちゃくちゃついてない。
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腰元の[[お軽]]と密会デート(逢瀬おうせ/現代なら"勤務中のわいせつ行為"ということで見つかれば懲戒処分…的な。)してたら主君の大事件に駆けつけられなかったところから人生急降下。
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「お家の大事に腰元とデートなんぞしくさっておって、この腐れザムライが」と仲間からバッシングを受け相当へこみじゃくり、死んじゃおうかとも思ったがお軽のすすめで彼女の田舎に引きこもる。
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舅、[[与市兵衛]]が勘平を討ち入りメンバーに加える為の軍資金にとお軽を祇園のフーゾク店「一文字屋」に売ったその帰り(売るなっつうの)、強盗にあって死ぬが、その死体が家まで搬送されてきたとき勘平はそれをハンティング中の「自分の誤射」で死なせてしまったものと'''思い込み'''自責の念から自害して果ててしまう。
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彼がそう思いこんだのは事件当夜、実際に人間を誤射した経緯があるから。その時は真っ暗闇でてさぐりで人間をやっちゃったことだけは確認したものの身元はわからなかった。悪いことに勘平はその時できごころでその死体の持ってる財布を盗んで帰ってきてしまう。だから、死体が舅だと判明(勘違い)したときのショックはでかかった。ちなみにその死体はイノシシに発砲した弾がそれて命中した、だれあろう強盗の真犯人、[[斧定九郎]]だったのだ。オカネだって盗まなくたって勘平のためのものなのだ。勘平早まった。お軽はフーゾクで働く甲斐がなく、めちゃくちゃツイてない。
  
 
3人死んでるがイノシシは生きてます。「五段目で運のいいのはシシばかり」
 
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このキャラは勘平単品だと、かわいそうなのか、大馬鹿者なのか、描き方、演じ方でずいぶん変わってしまうのでむずかしい。不器用な男を観ていて観客の同情が集まれば成功。「どんくさいやつだなあ」と思われたら失敗である。(そもそも雨の降ってる前後不覚の闇の山の中へ鉄砲持って狩りに出かけるという勘平の奇行も、作品のチカラ(?)で意外にすんなり受け入れてしまっている。)
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勘平単品だとむずかしいが、「仮名手本」三段目「腰元おかる文使いの段」では、明らかにおかると勘平は熱い肉体関係がイケイケであり、'''アッチのほうが相当良い'''と推測される。エロの呪縛のために大事へ駆けつけられず、自決のタイミングさえ逃してしまう、生き方について理想と現実に振り回されるブレまくりの勘平像は、ひじょうにリアルな男性像かも知れない。「おかる勘平」というユニットととして見ると勘平像は豊かにふくらむ。
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人気が高いキャラ。
 
人気が高いキャラ。
  
落語では素人芝居で忠臣蔵五段目で町内のみんなが勘平をやりたがるんでいっぺんにキャスティングしたら勘平ばかりズラッと舞台に並んじゃったもんだからギャラリーが「なんですい、あれは?」「勘平式(観兵式)じゃありませんか?」とギャグになってるが、ネタが古すぎてよくわからない。
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映画に佐々木康監督作品「[[悲恋おかる勘平]]」56などがある。
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越路吹雪の帝劇のミュージカルに「お軽と勘平」というオペレッタがあり、[[おかる勘平|1952年にマキノ雅弘監督によってそのバックステージものが映画化された]]。
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落語では素人芝居(茶番)で忠臣蔵五段目で町内のみんなが勘平をやりたがるんでいっぺんにキャスティングしたら勘平ばかりズラッと舞台に並んじゃったもんだから、ギャラリーが「なんですい、あれは?」「勘平式(観兵式)じゃありませんか?」とギャグになってるが、ネタが古すぎてよくわからない。
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いまですとニュースで自衛隊の観閲式を見ることがありますが、アレですね。
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== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
 
*[[お軽]](恋人)
 
*[[お軽]](恋人)
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== 関連作品 ==
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*[[通し狂言 仮名手本忠臣蔵|仮名手本忠臣蔵]]
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*[[悲恋おかる勘平]](東映)1956
  
 
[[Category:脱盟者|はやのかんへい]]
 
[[Category:脱盟者|はやのかんへい]]

2019年5月28日 (火) 18:37時点における版

役者絵:高田 浩吉
役者絵:高橋和也
勘平と。feat.淡路人形座・吉田新九朗さん。19.04撮影
小島剛夕先生の漫画の勘平は全然だめんずじゃなく恋と忠義一筋。涙無くしては読めない。復刻版未収録。

早野勘平(はやの かんぺい)…不運で脱盟。

仮名手本忠臣蔵の、名代のだめんずキャラ。

史実の萱野三平がモデルの架空浪士。モデルといっても名前を借りただけで設定はまるきりオリジナル。

ほんとはいまわの際に盟約に加えてもらってるので「脱盟者」ではないが、ともかく死んでしまって討ち入りには不参加。


腰元のお軽と密会デート(逢瀬おうせ/現代なら"勤務中のわいせつ行為"ということで見つかれば懲戒処分…的な。)してたら主君の大事件に駆けつけられなかったところから人生急降下。

「お家の大事に腰元とデートなんぞしくさっておって、この腐れザムライが」と仲間からバッシングを受け相当へこみじゃくり、死んじゃおうかとも思ったがお軽のすすめで彼女の田舎に引きこもる。

舅、与市兵衛が勘平を討ち入りメンバーに加える為の軍資金にとお軽を祇園のフーゾク店「一文字屋」に売ったその帰り(売るなっつうの)、強盗にあって死ぬが、その死体が家まで搬送されてきたとき勘平はそれをハンティング中の「自分の誤射」で死なせてしまったものと思い込み自責の念から自害して果ててしまう。

彼がそう思いこんだのは事件当夜、実際に人間を誤射した経緯があるから。その時は真っ暗闇でてさぐりで人間をやっちゃったことだけは確認したものの身元はわからなかった。悪いことに勘平はその時できごころでその死体の持ってる財布を盗んで帰ってきてしまう。だから、死体が舅だと判明(勘違い)したときのショックはでかかった。ちなみにその死体はイノシシに発砲した弾がそれて命中した、だれあろう強盗の真犯人、斧定九郎だったのだ。オカネだって盗まなくたって勘平のためのものなのだ。勘平早まった。お軽はフーゾクで働く甲斐がなく、めちゃくちゃツイてない。

3人死んでるがイノシシは生きてます。「五段目で運のいいのはシシばかり」


このキャラは勘平単品だと、かわいそうなのか、大馬鹿者なのか、描き方、演じ方でずいぶん変わってしまうのでむずかしい。不器用な男を観ていて観客の同情が集まれば成功。「どんくさいやつだなあ」と思われたら失敗である。(そもそも雨の降ってる前後不覚の闇の山の中へ鉄砲持って狩りに出かけるという勘平の奇行も、作品のチカラ(?)で意外にすんなり受け入れてしまっている。)

勘平単品だとむずかしいが、「仮名手本」三段目「腰元おかる文使いの段」では、明らかにおかると勘平は熱い肉体関係がイケイケであり、アッチのほうが相当良いと推測される。エロの呪縛のために大事へ駆けつけられず、自決のタイミングさえ逃してしまう、生き方について理想と現実に振り回されるブレまくりの勘平像は、ひじょうにリアルな男性像かも知れない。「おかる勘平」というユニットととして見ると勘平像は豊かにふくらむ。


享年 30になるやならず

人気が高いキャラ。


映画に佐々木康監督作品「悲恋おかる勘平」56などがある。

越路吹雪の帝劇のミュージカルに「お軽と勘平」というオペレッタがあり、1952年にマキノ雅弘監督によってそのバックステージものが映画化された


落語では素人芝居(茶番)で忠臣蔵五段目で町内のみんなが勘平をやりたがるんでいっぺんにキャスティングしたら勘平ばかりズラッと舞台に並んじゃったもんだから、ギャラリーが「なんですい、あれは?」「勘平式(観兵式)じゃありませんか?」とギャグになってるが、ネタが古すぎてよくわからない。

いまですとニュースで自衛隊の観閲式を見ることがありますが、アレですね。

関連項目


関連作品