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「超忠臣蔵」を10倍楽しく見る方法

10,426 バイト追加, 2019年6月18日 (火) 23:00
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 この度は「まんが超忠臣蔵」をお楽しみいただきましてありがとうございます。 この度はアニメ「まんが超忠臣蔵」をお楽しみいただきましてありがとうございます。
 デタラメに登場しているかのように見える、各キャラクターは意外に史実上の登場人物だったり講談の人気者です。
「そんなに書くことがあんのかよ!」というほどオマージュやパロディが詰まっております。「そんなに書くことがあんのかよ!」というほどオマージュやパロディ、イースター・エッグが詰まってるパスティッシュです。
なにとぞ諸君ご愛読のほどを願いまする。そして、あらためてアニメをお楽しみくださいませ。
吉良は浅野と仲が悪いので、イベント当日に着てくる衣裳や出勤時間について嘘を教えたりして、さらに「城の中をうろついて、まるでフナのような侍だ」となじって徹底的にいじめます。
これは歌舞伎、講談、浪曲、映画ではおなじみのシーンですが、もちろんこれは歌舞伎、講談、浪曲、映画ではおなじみのシーンですが、その際はもちろん'''ビキニは出てきません'''。このデフォルメについてあるユーザーから山上たつひこの漫画「凶変松の廊下」に似てるというご指摘がありました。その作品では内匠頭が教えられた登城の正装は「 時代劇が廃れたこの時節には、「烏帽子大紋を着てこなければいけないドレスコードを長裃着用と言ってウソを教える」という吉良のいじめがいかに内匠頭にとって恥辱であったかは、漫画の役割としてはここまでデフォルメしてやっと通じるものだと確信しております。 さて、このデフォルメについてあるユーザーから山上たつひこの漫画「凶変松の廊下」に似てるというご指摘がありました。その作品では内匠頭が教えられた登城の正装は「'''全裸でオシッコをしながら歩く'''」というものでしたが、私のビキニとの関連はなく、あくまで山上氏と私の発想が単に似ていたという宿縁でございます。
控え室で正しい衣裳を用意してくれていたのは家来の[[片岡源五右衛門]]。このエピソードも講談、浪曲、映画に出てきます。彼がド●えもんに似ているのは、源五右衛門(ゲンゴエモン)という名前が似ていることから。当初「えぼしだいもん〜!」と言いながら四次元ポケットから正装を出すというアイデアがありましたが、やめました。顔にその名残が残っております。
一緒にいて背中しか写ってない家来は源五右衛門の同僚で、実は第2話にも後ろ姿で出てきます。第1話での彼の袴は軍袴とふつうの袴を混ぜちゃったようなおかしないでたちです。一緒にいて背中しか写ってない家来は源五右衛門の同僚で、実は第2話にも後ろ姿で出てきます。第1話での彼の袴は軍袴とふつうの袴を混ぜちゃったようなおかしないでたちです。(補足:ただ「[[忠臣蔵 花の巻・雪の巻 (松竹)]]」に同じデザインの袴が出てくるのでレアだが、無いわけではなさそうな。もっとも履いてるのは[[吉千代/くう/るり|吉千代くん]]だが…)
描いたもりいの気持ち的には、彼は[[早水藤左衛門]]です。
ちょいちょい見切れていた民芸品の'''こまいぬみたいなヤツは「ちんころ・ちんべえ」犬張り子みたいなヤツは「ちんころちんべえ」'''今後ともよろしくお願いします。
生類憐れみの令というおふれの出てる背景を持つ忠臣蔵ではちょいちょい[[狆|イヌ]]が登場します。本作とて例外ではございません。
彼のオマージュになっているのは日本アニメの大先輩、ピカソにも絶賛された大藤信郎監督の「ちんころ平平」。ちんべえは平平をリスペクトしたキャラクターです。「なんという浅ましいお姿になったろうなあ」という台詞は「彼のオマージュになっているのは日本アニメの大先輩、ピカソにも絶賛された大藤信郎監督の「ちんころ平平」。ちんべえは平平をリスペクトした当アニメのオリジナルキャラクターです。「なんという浅ましいお姿になったろうなあ」という台詞は「[http://www.youtube.com/watch?v=2kbhxv9ZMzQ 天狗退治]」という作品の台詞を踏襲しています。
予告編に登場する3人は事件中にデートをしくさっていた[[お軽]]と[[早野勘平|勘平]]([[通し狂言 仮名手本忠臣蔵|歌舞伎]]のキャラクター)、そして[[不破数右衛門]]です。
お軽と勘平のカップルは歌舞伎では超有名なキャラですが、このいでたちで登場する「裏門合点」はほとんど上演されることがありません。お軽と勘平のカップルは歌舞伎では超有名なキャラですが、このいでたちで登場する「足利屋敷門前の場(表門)」の後半は歌舞伎ではほとんど上演されることがありません。
「まんが超忠臣蔵」では不破数右衛門は神出鬼没のキャラクターです。事件当時リストラにあってるキャラクターで、どの映画でもヒゲヅラでボロを着て、鎧櫃(よろいびつ)をしょって現れ、滑稽です。
予告編は次の作品にまったく関係ございません。
 
 
== 第2話 '''「[[田村邸の決別]]」'''(4分13秒) ==
あとから菓子折を持って現れるのが、この屋敷の主人、なんの因果か自分ちを切腹会場にされちゃった[[田村右京大夫|田村さん]]です。
声を演じているのが、実際田村邸のあとで「切腹最中」というヒット菓子を売ってる声を演じているのが、実際田村邸跡で「切腹最中」というヒット菓子を売ってる'''[http://www.shinshodoh.co.jp/ 新正堂]の社長さんの社長・渡辺さん'''です。
ド●えもんそっくりな[[片岡源五右衛門]]が、切腹しようとしてる殿さまに面会がしたいと必死にお願いしてる旨を目付のふたりに伝えに来てるシーンがこの作品の冒頭です。
講談や浪曲、映画では「無刀、無言(カタナを持たず、殿さまの会話をしてはいけない)」の条件付きで多門さんの一存で面会が許されますが、本アニメでは「無刀、無言、無一文、無節操、無責任」という制約が設けられ、片岡は映画「無責任」シリーズのオマージュな歌を歌いながら無節操ないでたちで田村邸に入ることができます。講談や浪曲、映画では「無刀、無言(カタナを持たず、殿さまと会話をしてはいけない)」の条件付きで多門さんの一存で面会が許されますが、本アニメでは「無刀、無言、無一文、無節操、無責任」という制約が設けられ、片岡は映画「無責任」シリーズをイメージした歌を歌いながら無節操ないでたちで田村邸に入ることができます。
声をかけられないので、ただただ桜の木の下で泣いてる片岡をなんとか殿さまにコンタクトさせてあげようと、立場上、直接教えてもあげられないので多門が「月が綺麗だ」とかなんとか言って、庭の家来を教えてあげるのが定石ですが、本アニメの殿さまはオトボケなのでだいぶ手こずらせます。
テントに書かれている「田村新校町会」は、実際のあそこらへんの(現代の)町会さんです。昔は田村町と言ったそうです。テントに書かれている「田村新校町会」は、実際のあそこらへんの(現代の)町会さんです。昔は界隈を田村町と言ったそうです。
切腹をする際の内匠頭の服の脱ぎ方は映画などに出てくる作法です。'''みなさんもカミシモで切腹をするときの参考にして下さい'''。
介錯人([[磯田武太夫]])の顔だちは日本でもっとも有名な介錯人、「子連れ狼」の拝一刀をイメージしています。
赤い月に浮かび上がる切腹までの期日は正しいと思います。TVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト」のオマージュです。赤い月に浮かび上がる討ち入りまでの期日は正しいと思います。TVシリーズ「宇宙戦艦ヤマト」のラストシーンのオマージュです。
主役と言える大石内蔵助をどういう声で作るか最初の課題でした。
迷いに迷って声の録音のギリギリまで長谷川一夫のモノマネでいこうとしていました。「声の録音のギリギリまで長谷川一夫のモノマネでいこうとしていました。「[[ヤッターマン#104「イヤ王だコロン」|ヤッターマン]]」の忠臣蔵でも長谷川一夫風だったし、なによりオーソドックスな声色なので。お手本として桜井長一郎のモノマネをYouTubeで探したりしてました。」の忠臣蔵でも長谷川一夫風だったし、なによりオーソドックスな声色なので。お手本として桜井長一郎のモノマネをYouTubeで探して練習もしました。
が結局、広川太一郎のモノマネが無くなっちゃうのも寂しいなと思いあらため、サイレント時代の「[[尾上松之助の忠臣蔵]]」などは同じ俳優が何役もやってるじゃないかと開き直り、内蔵助も広川節でいくことにしました。
大広間でざわつくシーンでは背後のガヤの音にバカバカしい台詞が混ざっています。たとえば「これは漫才ではないんだぞミスター・バーマン」これは70年代に公開された映画「ゾンビ」の冒頭の騒然としてるニュースショーに出てくる科学者?のセリフで当時の字幕をイメージしています。また「オイ見ろよ、なんかヘンなもの落としてったぜ」と映画「ブレードランナー」に出てくる台詞も入ってます。よく聞いて探してみてください。
「意味わかんない」と言われている老藩士の声は漫画家でイラストレーターの'''青木俊直'''氏の特出。「城を枕に討ち死にじゃ!」も青木さんです。なかなか素敵な迫力。もりいがシナリオを書き間違えて「官吏(かんり)」に「かんし」とカナを振ってしまってそのままオンエアになっております。氏(この録音の8年後に「ひそねとまそたん」のキャラデザイン。)の特出。「城を枕に討ち死にじゃ!」も青木さんです。なかなか素敵な迫力。もりいがシナリオを書き間違えて「官吏(かんり)」に「かんし」とカナを振ってしまってそのままオンエアになっております。
史実?では「メンバーに女の子が混ざってる」とまで言われた眉目秀麗な美少年だったとか。
演じているのはカンコンキンシアターでシモネタ番長・ラッキィ池田氏のひどすぎる振り付けのダンスをやってのける名優・演じているのは制作当時カンコンキンシアターでシモネタ番長・ラッキィ池田氏のひどすぎる振り付けのダンスをやってのけていた名優・'''富田真央'''さん。さん。素敵な滑舌!
右衛門七が[[大石主税]]に「松乃丞さま」と言ってますが、字幕には大石主税となっていてまぎらわしくてすいません。この場での大石主税はまだ元服前で、ほんとうは幼名である松乃丞なのですが、あとのことを考えて大石主税にしました。に「松乃丞さま」と言ってますが、字幕には大石主税となっていてまぎらわしくてすいません。この場での大石主税はまだ元服前で、ほんとうは幼名である松乃丞なのですが、あとのことを考えてクレジットは大石主税にしました。
右衛門七が脅迫するシークエンスは講談にあるエピソードで、小島剛夕の漫画などにも出てきますが、滅多に映画やドラマには出てきません。
店先のデザインは人形浄瑠璃や歌舞伎の舞台美術のエッセンスを踏まえた上で、ベタな遊郭のイメージを加えております。
時代劇などでおなじみとも言える?、遊郭=赤のイメージが、元禄時代は定着してない感があるんですが、遊女のヘアスタイルやファッションと共にかなり悩んだところでございますが、わかりやすさを優先しました。時代劇などでおなじみとも言える?、遊郭=赤のイメージが、元禄時代は定着してない感があるんですが、わかりやすさを優先しました。
遊女に関しては当時のファッションの先端を言ってる人達なので、ぶっちゃけ、どんな格好でもアリかなと、ご覧のようにしております。遊女のヘアスタイルやファッションに関しては、彼女たちが当時のファッションの先端を言ってる人達なので、ぶっちゃけ、どんな格好でもアリかなと、ご覧のようにしております。ただ、かんざしの数や帯の垂れ下がりは「進化前」のおもむきにしてあります。
[[浮橋太夫]]の声をしていただいてるのはイラストレーターの'''栗生ゑゐこ'''さん。
宴会に付き合わされてるのは[[原惣右衛門]]と[[神崎与五郎]]。歌舞伎やドラマで、だいたいここらへんでいつも便利に使われてるキャラです。。ドラマや映画ではいろんな浪士が付き合わされますが、本作では歌舞伎でここらへんに登場するふたりに出てもらいました。
[[橋本平左衛門]]は、遊女と心中して脱盟してしまうかわいそうなキャラです。実際はジャンケンに負けて討ち入り選抜から漏れたわけではありません。
彼が嘆く「太夫はなにをお考えか!」的なセリフは忠臣蔵のどっかに必ず出てくる鉄板です。彼が嘆く「太夫はなにをお考えか!」的なセリフは忠臣蔵のドラマで誰かしらがどっかで必ず悔やむ、セリフの鉄板です。
遊郭まで出かけて内蔵助に討ち入りを急かす[[村上喜剣]]は講談や浪曲のキャラクターです。
今回の三味線と喜剣の声は、「忠臣蔵~村上喜剣~」も十八番の浪曲師・うなるカリスマの'''[[国本武春]]'''先生にお願いしました。桃中軒 雲右衛門の流れを汲む武春先生は忠臣蔵がお家芸。実はもりいとは長いお付き合いなのでございます。雲右衛門の流れを汲む(ひ孫弟子)武春先生は忠臣蔵がお家芸。実はもりいとは長いお付き合いなのでございます。
オリジナルストーリーのほうの喜剣は、内蔵助に仇討ちの気持ちが無いと知るや、罵詈雑言を浴びせ、暴力を振るったり、ツバを掛けたりと無礼の限りを尽くしますが、ここではハダカにされて追い出されます。
 
彼と言い合いになってる部屋に用意されている料理は歌舞伎や講談で内蔵助の本心を試すために食べさせられるタコと、講談で出てくるタイ=内蔵助がの目玉を食べる奇行を見せて周囲に「あの人はオカシイ」と思わせる、そのタイをあしらいました。
喜剣がハダカにされる野球拳の時に一瞬屋外になって、前作で登場した[[寺坂吉右衛門]]が踊ってますが、そもそも寺坂は仮名手本忠臣蔵で義盟に加えてほしくて一力茶屋にやってくるキーパーソンなので、彼はどちらかと言うと前作よりもこっちの出番のほうがふさわしいのです。
彼のうしろで縁の下でちぎれた手紙と一緒にマヌケにねそべっているのは、元藩士でありながら吉良側に寝返った[[大野九郎兵衛]]です。([[斧九太夫]])です。
このあと、仮名手本では大野は寺坂にトドメをさされます。
ちなみに、この屋外シーンは目隠し鬼のときも使われてますが、左にパンすると村上の背後にチラッとハシゴがかかってるのが見えます。ちなみに、この屋外の絵柄は目隠し鬼のときも使われてるものと同じですが、左にパンすると村上の背後にチラッとハシゴがかかってるのが見えます。
言うまでもなく、おかるが二階から降りてくる用のもので、おかるはアニメには登場しませんが、あしらっておきました。(ほとんど見えませんなw)言うまでもなく、[[お軽|おかる]]が二階から降りてくる用のもので、おかるはアニメには登場しませんが、あしらっておきました。(ほとんど見えませんなw)
オーパーツさく裂の本シリーズですが、今回一番の推しは七段目の手水鉢の上に、昭和時代の手動式手洗い器をぶら下げております。あたしの時代にはなじみが無く、寅さんとか見ると出てきます。下から突起を押すと水がちょろっと出てくる仕掛け。今回もオーパーツがさく裂しておりますが、今回一番の推しは七段目の手水鉢の上にをぶら下げている昭和時代の手動式手洗い器。あたしの時代にはなじみが無く、寅さん映画とか見ると出てきます。下から突起を押すと水がちょろっと出てくる仕掛け。
隣室で聞き耳を立てているのは、[[吉良上野介|吉良]]の放ったスパイ[[鷺坂伴内]]と、(歌舞伎キャラ)と、[[千坂兵部]]の放ったスパイの[[前野平内]]です。(講談キャラ)です。
鷺坂伴内は人形浄瑠璃でも歌舞伎でも無理くりふざける演出をされます。特に歌舞伎でのメイクはキモチが悪く、存在も浮いていて、道化的な扱いがかえって不気味で、モーリス・ベジャールはそこを気に入ったと見えて[[ザ・カブキ|バレエ]]ではオリジナルよりも象徴的な演出をしています。
M16をぶっ放してるのは、初回の予告編以来の登場の[[早野勘平]]。
本来は「二つ玉」とも呼ばれるシーンなので、勘平のライフルは素直に2発しか撃たないほうがよかったかもなのですが、ここは盛り上がっていきたいので、'''欲張りました'''。本来は「二つ玉」とも呼ばれるシーンなので、勘平のライフルは2発しか撃たないほうがよいと思われる諸兄もおられるかもですが、これは「二ツ玉の強薬」という「火力が倍の弾丸」という意味なので発射数は何発でもよろしいのでございます。
個人的に大好きなキャラクター、[[斧定九郎|定九郎]]にはゾンビになってもらいました。カネに心が残って死にきれぬと見えます。
いのししちゃんにも印象的な登場をしてもらってますいのししちゃんにも乙事主(おっことぬし)的な登場をしてもらってます(^∇^)。モリシゲ風の声色をお楽しみ下さい。いろんなかんじで、某名作アニメのオマージュです。
村上喜剣が九州・薩摩の武士なので、そのゆかりもあって、このオーバーラップは逆に偶然のコラボ。
 
 
 
== 第5話 '''「[[恋の絵図面取り]]」'''(5分40秒<本編) ==
[[画像:Tsuya anime.jpg|thumb|[[お艶]]]][[画像:Okakin anime.jpg|thumb|[[岡野金右衛門]]]][[画像:Kobayasi anime.jpg|thumb|[[小林平八郎]]]][[画像:Hara anime.jpg|thumb|[[原惣右衛門]]]][[画像:Yogo anime.jpg|thumb|[[神崎与五郎]]]][[画像:Hebe anime.jpg|thumb|[[平兵衛]]]]
 
出演:[[岡野金右衛門]]。[[お艶]]。[[不破数右衛門]]。[[原惣右衛門]]。[[神崎与五郎]]。[[小林平八郎]]。[[吉良上野介]]。[[平兵衛|大工平兵衛]]
 
 
「恋の絵図面取り」は講談のネタにあるまったくのフィクション。
 
討ち入りを計画してるメンバーは吉良邸の内部がちっともわからないので、関係者を抱き込んで探ろうとするお話です。
 
 
これまで公開した「超忠臣蔵」#1~4は言わば史実をベースにしたお話であり、それを第1シーズンとすると、このフィクションがベースの#5から「銘々伝」「外伝」の第2シーズンということになりましょうか。
 
前の作品から4年というブランクは開き過ぎなんですが、納得の行くデザインや展開が降りてくるのを待ってコツコツとシナリオと作画を進めてたら自然に歳月が流れ、そのあいだに声を当ててくれた赤ちゃんはもう、幼稚園に行っております。
 
 
映画やドラマではこのエピソードは何度も映像化がなされており、[[岡野金右衛門]]はかつて鶴田浩二や中村勘三郎18th(ドラマ出演当時は勘九郎)や内野聖陽が演じ、[[平兵衛|お艶の父親]](時にお兄さんとかおじさんとか)役も、フランキー堺やハナ肇といった具合に、そのキャスティングからクリエーターたちが殺伐とした男のドラマの中にどれほどこのラブストーリーをキーポイントにしようと考えたかが伺われます。
 
[[お艶]](つや)も若尾文子、星由里子…、近年では中山エミリ、前田愛(現・中村勘九郎6th夫人)と華やかですが、アニメのお艶を美女で描かなかったのは、金右衛門の本心を最後まで明快にアプローチしないためです。あくまで作戦に利用しただけなのかそれとも…
 
金右衛門は講談の種類や映画やドラマで小間物屋だったり米屋だったりするバージョンもあります。
 
 
原作の講談では金右衛門が作戦のために婦女子をたぶらかすことを徹底的にいやがり「大石様から不義をしてもよろしいというお言葉があれば決して厭いはせぬが…」というバージョンもあります。大石からは「決してかまわん。拙者とて心にもない放蕩三昧。実に五臓が張り切れるようである!忠のためには心にもないこともしなければならん」と返事をもらいます。シナリオの初段階ではこのやりとりを酒屋のバックヤードに設置したテレビ電話で江戸と京都を結び(当初、酒屋にはハイテクノロジーの設備を考えていた)「いいんじゃないかぁ?チョロチョロぱっぱのさ!ニタニタじんじんで!いやったらしんだから!」などとふざけようと思いましたが不破とキャラがかぶるのとテンポが悪くなるなどの理由でやめました。これまでの映像作品同様、金右衛門はしぶしぶ作戦を決行します。
 
 
実際は何度も逢瀬を重ねてからお艶を油断させるのがオーソドックスですが、仲間が彼らをふたりきりにするとお艶がすごく積極的に迫るバージョンも有りますw。
 
デートシーンは夏の花火の夜を予定していましたが、錦絵を見ると当時から花火大会は人出がすごく、とても内緒話が出来る状態じゃないのと、モブシーンを描く体力の無さ、加えてほかで用意した小道具や設定が熱燗や雪の富士山も含めて冬仕様が多かったので、多数決で設定を涼しい季節に買えました。([[通し狂言 仮名手本忠臣蔵|仮名手本の「五段目」]]で6月末にドテラ着てたりするんでそういうのは気にしなくてもいいかもなんですがw)
 
 
「どうして酒屋が絵図面を欲しがるのか」をどう取り繕うかについても原作の講談では何パターンかあり、実は金右衛門は京都の大工の息子で勘当されている身。吉良邸の絵図を土産に親元に帰れば、いま大名から茶室の注文を受けて困っている親から勘当が赦されて晴れてお艶と結婚できる。とか、子供の時から絵だの絵図だのを集めるのが好きで菱川師宣の絵も飽きるほど集めてるから…などウソが込み入ってます。アニメではどれも使わずハショりました。金右衛門が'''九十郎'''という偽名(とはいえ本人の幼名)で潜伏する設定もやめてわかりやすさを優先しております。
 
 
ほかに忠臣蔵でフィクションのラブストーリーといえば「[[通し狂言 仮名手本忠臣蔵|仮名手本忠臣蔵]]」のおかる勘平。「[[元禄忠臣蔵]]」の[[礒貝十郎左衛門]]とおみのが有名です。特に、今回金右衛門がお艶からのラブレターをふところにいれて討ち入りをやってるさまは礒貝十郎左衛門がふくさに包んだ琴の爪をふところに忍ばせて闘った逸話のオマージュとなっております。
 
オマージュといえば、金右衛門は商人に化けてるにもかかわらず、言葉が武士のままでおしゃべりがメチャメチャなところは講談「[[潮田又之丞]]」の中でも出てくるギャグです。
 
忠臣蔵の演芸や映画には、もともと[[武林唯七]]のものとして創作されたものを映画では[[不破数右衛門]]のエピソードとして描いたり(「[[韋駄天数右衛門]]」)、[[矢頭右衛門七]]のエピソードが[[神崎与五郎]]のために映像化されたり(「[[ほまれの美丈夫]]」)と、シチュエーションをシェアするのは伝統?なので遠慮無く拝借しました。
 
 
劇中、絵図面をゲットしたあとに金右衛門がお艶にカケオチを持ちかけると見せて、彼女の身の安全を守るため「12月14日は吉良邸へバイトに出るな」と言ってますが実際これだと、絵図もないのにXデーが決まってたことになり、なんともヘンな話でして、絵図面がゲットできて手はずが整ったということで計画が進むのがほんとうのところです。
 
 
原作では金右衛門の正体を知ったお艶はあとを追うつもりで自害するパターンも有り、その場合講釈師は「これがお通夜の語源です」とダジャレで結んだり(<すげえぶっこみ方だな。講談)しますが、「超忠臣蔵」ではいつか引き揚げパレードの時にふたりを逢わせてあげたいと考えています。
 
(ダジャレといえば劇中に出てくる「一難去って福本日南」ですが、安政から大正を生きたジャーナリスト福本日南は名著『元禄快挙録』を書き、中央義士会を設立した人物。)
 
 
シリーズ中、初めて吉良邸が出てまいりますが、ここを探る手段は当初、よく飛ぶホッピング。鳥型のドローン。高性能の潜望鏡などが考えられ、そうした仕掛けが得意なアニメ「スカイキッド・ブラック魔王」の雰囲気によく似たメンバーで展開(ちんべえにはケンケンの役を)しようとしましたがこれも整理しました。
 
 
途中、ふたりの逢引に出てくる川っぺりの子どもとあま酒屋は、事件当時を行きた絵師・住吉具慶の都鄙図巻(とひずかん:元禄時代の人々の様子を描いた作品)に出てくる人物。
 
甘酒屋の声を当ててくださっているのは今回のゲストスター、なにかと昵懇の落語家の'''春風亭一之輔'''師匠。
 
 
デートと絵図面奪取のシーンにかかるBGMは黒木麓さんともりいの後輩のイラストレーターhima://KAWAGOEによるもので、オープニングテーマのバリエーション。
 
エンディングの歌のカラオケもおふたりの演奏によるもので、オリジナル曲は著作権切れの昭和歌謡。歌詞はもりい作詞のラブソング(笑)。
 
 
'''独りでいると泣けてくるのよ'''
 
'''心そぞろにやるせないのよ'''
 
'''せきくる涙がメロメロ出るのよ'''
 
'''思わず知らずに憎たらしいのよ'''
 
'''おそばに居させて頂戴な'''
 
'''おそばに居させて頂戴な'''

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