「おしゃれ大作戦」の版間の差分

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「池中玄太」の松木ひろし氏の脚本で、クレージーキャッツの名作映画「ニッポン無責任時代」「エレキの若大将」などの古沢憲吾監督の最後の作品。
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あらすじ:女の生徒ばかりの洋裁専門学校「浅野文化ドレメ学院」が企画していたファッションフェスティバルが、学校の出資者・吉良豪蔵(藤村有弘)の陰謀でパーになる。カネを出してほしかったら…と浅野多恵子主事に言い寄る吉良。妻がねとられたと思い込んで失意の中、自動車事故で死ぬ学長・浅野卓郎。
  
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その後釜に入ったのは吉良。夫も学校も失った多恵子はショックで入院。
  
この作品については、まず「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」なるタイトルの東宝の脚本を2009年に手に入れたことが、項目を設けるキッカケになりました。
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学校は「花嫁養成所」としてリニュアルされることとなり、気に入らないスタッフや生徒は容赦なくクビにするという。
  
ところが、その本は製作者と松木氏の名前はあるが、監督やキャストは空欄のままであるなど不完全で、作品についての詳細を知りたくて、ネット検索してみたものの、記録が見つからなかったんで、てっきりお蔵入りになった作品なのかと思いこみ、「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」のタイトルのまま幻の作品として拙サイトにて紹介するにいたりました。
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人気デザイナー講師の大石由里子(由美かおる)は、彼女を慕う46人の生徒たちとともに学校の奪還を画策する。
  
それからしばらく経って、なんと由美かおる主演で改題され、立派に公開されておりましたことを、おタレコミによって知ることができました。ありがとうございました。(途中で本作は『お姐ちゃん忠臣蔵 おしゃれ大作戦』というタイトルを経ている)
 
  
2011年に加筆、訂正。
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クレージーキャッツの名作映画「ニッポン無責任時代」や若大将シリーズで有名なの古沢憲吾監督の最後の作品。脚本は「池中玄太」の松木ひろし氏。
  
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検討稿のシナリオでは「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」というタイトルで、途中「お姐ちゃん忠臣蔵 おしゃれ大作戦」という段階を経て最終的に「おしゃれ大作戦」というタイトルで公開された。
  
というわけで以下のレビューは映像作品を見ていないで、ストーリーにのみ言及しておりますコトをあらかじめお断りしておきます。
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検討稿を見た時は、もっと「プレイガール」(テレ東のパンチラアクション・ドラマ)みたいにしたらいいのになあと思ったが、試行錯誤を繰り返して、結局、それっぽい軽妙な(&軽薄な)ところに作品は落ち着いたようであります。
  
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面白かったか、なかったかと言われれば、面白かった。
  
  
あらすじ:浅野洋裁専門学校「文化ドレメ学院」が企画していたファッションフェスティバルが、学校の出資者・吉良豪蔵の陰謀でパーになる。カネを出してほしかったら条件があると学長の浅野卓郎にせまる吉良。「一晩奥さんを貸してくれ」
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同じく女子ばかりが活躍する後年の「[[OL忠臣蔵]]」よりもはるかに忠臣蔵しているし、話の流れやキャラクターのオマージュ加減のアレンジがそこそこ良くて、そこに古澤監督のテンポの良いタッチが活き活きしている。
  
イベントを成功させたいばかりに受諾する卓郎だったが良心の呵責に耐えかね練炭自殺(映像化される際、飲酒運転の事故死に変更)で死ぬ。豪蔵に襲われかけた浅野多恵子もノイローゼになってしまい、学校はまんまと吉良の手に渡ってしまう。
 
美人人気講師の大石由里子は、彼女を慕う生徒の堀部安子や赤垣げん子、大野寺幸子らとともに、うわべは新学長・吉良のいいなりになるフリをして復讐のチャンスを狙うのであった…。
 
  
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キャスティングはなかなか良くて、当時東宝の新しい特撮映画で活躍の由美かおるや、テレビでおてんばJKだった岡崎友紀もチャーミング。技巧派・沢田雅美のべらんめえで[[堀部安兵衛|呑兵衛ヤス]]も頼りがいがあるし、東映映画でスケバンをやってた杉本美樹を持ってきたり、「ハレンチ学園」の児島美ゆきなど往年の(<彼女たちが活躍したテレビや映画のシリーズは本作出演時ですべてオワコン)お色気おねえさん女優にいっぱい「来てもらった」かんじ。
  
喜劇があたらなかった時代だと思うので、苦戦したのではないかと思いますが、それなりに楽しい作品だったんじゃないかなあと、キャスティングを見ると思います。
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そこに若手も導入して、グラマーなホーン・ユキ、東宝ドラマで人気の長谷直美など、こたえられないラインナップ。
  
ただ松木ひろし氏といえば「ニッポン無責任時代」の共同脚本の人でもあるが、どうもこの1975年というのが完全にテレビ隆盛の時代で、映画のほうは「新幹線大爆破」公開の年ではあるが、ほかのラインナップを見渡すと全体的に元気が全然無い。喜劇映画にいたっては壊滅状態。シリーズで作られていたドリフターズの映画の最後の作品が公開された年で、あの「男はつらいよ」シリーズでさえ「模索期」といわれた時代である(ホントか?)。ピンク映画ばかりが量産されている。
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中でも、かつて「スーパーロボット レッドバロン」で健康なパンチラアクションをお茶の間に披露した牧れい演じる[[萱野三平|萱野三子(サンコ]]、と読む。このほかにも[[間新六郎|シンコ]]、[[神崎与五郎|よも子]]、[[赤埴源蔵|げん子]]など、ネーミングが乱暴w)が、興奮するとすぐおしっこがしたくなるキャラを好演してるのがフェティッシュでピカイチだった。
  
そんな中にあって、東宝にしてはどっちかというと東映っぽい、「プレイガール」みたいなノリの映画に挑戦。エロネタをところどころに入れてるが、どうも字面だけだとわざとらしいというか、無理がある。
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特に潜入捜査で机の下に隠れてる時、東八郎扮する[[大野九郎兵衛|大野]]事務長の足がおっぱいにあたって「はてな」とまさぐられ「感じる〜」と言うシーンは素晴らしかった。
  
映画のスチルをみると討ち入り装束は白を基調とした清潔感のあるワンピースの袖や裾に雁木模様をあしらい、鷹の羽マークのベルトなどで工夫しているが、いかんせん、ナンセンス映画なのに、ホッパンやミニスカではなくぞろっとしたワンピースってのが、コンセプトとちぐはぐな印象も。
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本田みちこさん([[小野寺幸右衛門|小野寺幸江]])というひとがかわいくて、パンチラのハイキックのポーズでトラックをヒッチハイクするのだが、もう、思い出。
  
  
しかし、実際にこの映画を観た人のレビューを読ませていただくと、喜劇映画としてはともかく、チャーミングなキャスティングとファッションのいろどりをそれなりに楽しんでる人もいらっしゃるようです。
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いろいろ好感度が高い作品だが、ぜいたくを言えば、洋裁学校の割には、当時の流行からか(タートルネックにオーバーオールとか丈の長いワンピといういでたちが多い)、ミニスカやホッパンがまったく出てこず、美脚、タイツ姿が出てこないのも、お色気コメディを狙った割にはいたずらな制限を与えており、画面がさみしい。
  
  
見た~~~い!!!!オヨヨ。マケソ~!
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さて、映画史にさん然と輝く喜劇映画をかつてリリースしてきた東宝としては、このような東映のようなやんちゃな喜劇作りは苦手だったのではと思う。どこかしら振りきっていない真面目さを感じるし、古澤監督が本作でメガホンを置いてしまってるのも、'''なにかいやんなっちゃった'''んじゃないだろうか。(パレンバン作戦に出た右っぽい監督だったからな〜。パンチラはお好みじゃないかもな〜。)
  
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検討稿で暗躍する先述の大野事務長の出番は、公開時はあらかた当時人気絶頂のマジシャン伊藤一陽の[[清水一学]]秘書の出番に変わっており、ひんぱんに登場しては流行語「なにかごしつもんは」を連発している。
  
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タモリが「空飛ぶモンティ・パイソン」でデビューし、「欽ドン」「欽どこ」が絶好調のこの頃、もはやテレビの人気に力を借りないと笑いが取れない、喜劇映画ひん死の時代であります。
  
キャスト
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前年はシリーズで作られていたドリフターズの映画の最後の作品が公開された年で、あの「男はつらいよ」シリーズでさえ「模索期」といわれている(ホントか?)。ともかくピンク映画ばかりが量産されている。
  
大石由里子:由美かおる
 
  
浅野多恵子:磯野洋子
 
  
堀部安子:沢田雅美
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== 余談 ==
  
萱野三子:牧れい
 
  
間新子:岡崎友紀
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この作品については、まず「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」なるタイトルの東宝の脚本を2009年に手に入れたことが、項目を設けるキッカケになりました。
 
 
富森助子:ホーン・ユキ
 
 
 
武林唯子:関根世津子
 
 
 
神崎よも子:杉本美樹
 
 
 
寺沢吉子:芳賀まり子
 
 
 
不破数子:長谷直美
 
  
小野寺幸江:本田みちこ
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ところが、その本は製作者と松木氏の名前はあるが、監督やキャストはまるっきり空欄のままであるなど不完全な「検討稿」で、作品についての詳細を知りたくて、ネット検索してみたものの、まったく記録が見つからなかったんで、てっきりお蔵入りになった作品なのかと思いこみ、「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」のタイトルのまま幻の作品として拙サイトにてしばらく紹介するにいたりました。
  
赤垣げん子:児島美ゆき
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それからしばらく経って、なんと由美かおる主演で改題され、立派に公開されておりましたことを、おタレコミによって知ることができました。ありがとうございました。2011年に加筆、訂正。
  
吉良豪蔵:藤村有弘
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2014年、鑑賞!それは夢のように嬉しかったです!\( ^▽^ )/

2014年11月18日 (火) 13:27時点における版

あらすじ:女の生徒ばかりの洋裁専門学校「浅野文化ドレメ学院」が企画していたファッションフェスティバルが、学校の出資者・吉良豪蔵(藤村有弘)の陰謀でパーになる。カネを出してほしかったら…と浅野多恵子主事に言い寄る吉良。妻がねとられたと思い込んで失意の中、自動車事故で死ぬ学長・浅野卓郎。

その後釜に入ったのは吉良。夫も学校も失った多恵子はショックで入院。

学校は「花嫁養成所」としてリニュアルされることとなり、気に入らないスタッフや生徒は容赦なくクビにするという。

人気デザイナー講師の大石由里子(由美かおる)は、彼女を慕う46人の生徒たちとともに学校の奪還を画策する。


クレージーキャッツの名作映画「ニッポン無責任時代」や若大将シリーズで有名なの古沢憲吾監督の最後の作品。脚本は「池中玄太」の松木ひろし氏。

検討稿のシナリオでは「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」というタイトルで、途中「お姐ちゃん忠臣蔵 おしゃれ大作戦」という段階を経て最終的に「おしゃれ大作戦」というタイトルで公開された。

検討稿を見た時は、もっと「プレイガール」(テレ東のパンチラアクション・ドラマ)みたいにしたらいいのになあと思ったが、試行錯誤を繰り返して、結局、それっぽい軽妙な(&軽薄な)ところに作品は落ち着いたようであります。

面白かったか、なかったかと言われれば、面白かった。


同じく女子ばかりが活躍する後年の「OL忠臣蔵」よりもはるかに忠臣蔵しているし、話の流れやキャラクターのオマージュ加減のアレンジがそこそこ良くて、そこに古澤監督のテンポの良いタッチが活き活きしている。


キャスティングはなかなか良くて、当時東宝の新しい特撮映画で活躍の由美かおるや、テレビでおてんばJKだった岡崎友紀もチャーミング。技巧派・沢田雅美のべらんめえで呑兵衛ヤスも頼りがいがあるし、東映映画でスケバンをやってた杉本美樹を持ってきたり、「ハレンチ学園」の児島美ゆきなど往年の(<彼女たちが活躍したテレビや映画のシリーズは本作出演時ですべてオワコン)お色気おねえさん女優にいっぱい「来てもらった」かんじ。

そこに若手も導入して、グラマーなホーン・ユキ、東宝ドラマで人気の長谷直美など、こたえられないラインナップ。

中でも、かつて「スーパーロボット レッドバロン」で健康なパンチラアクションをお茶の間に披露した牧れい演じる萱野三子(サンコ、と読む。このほかにもシンコよも子げん子など、ネーミングが乱暴w)が、興奮するとすぐおしっこがしたくなるキャラを好演してるのがフェティッシュでピカイチだった。

特に潜入捜査で机の下に隠れてる時、東八郎扮する大野事務長の足がおっぱいにあたって「はてな」とまさぐられ「感じる〜」と言うシーンは素晴らしかった。

本田みちこさん(小野寺幸江)というひとがかわいくて、パンチラのハイキックのポーズでトラックをヒッチハイクするのだが、もう、思い出。


いろいろ好感度が高い作品だが、ぜいたくを言えば、洋裁学校の割には、当時の流行からか(タートルネックにオーバーオールとか丈の長いワンピといういでたちが多い)、ミニスカやホッパンがまったく出てこず、美脚、タイツ姿が出てこないのも、お色気コメディを狙った割にはいたずらな制限を与えており、画面がさみしい。


さて、映画史にさん然と輝く喜劇映画をかつてリリースしてきた東宝としては、このような東映のようなやんちゃな喜劇作りは苦手だったのではと思う。どこかしら振りきっていない真面目さを感じるし、古澤監督が本作でメガホンを置いてしまってるのも、なにかいやんなっちゃったんじゃないだろうか。(パレンバン作戦に出た右っぽい監督だったからな〜。パンチラはお好みじゃないかもな〜。)

検討稿で暗躍する先述の大野事務長の出番は、公開時はあらかた当時人気絶頂のマジシャン伊藤一陽の清水一学秘書の出番に変わっており、ひんぱんに登場しては流行語「なにかごしつもんは」を連発している。

タモリが「空飛ぶモンティ・パイソン」でデビューし、「欽ドン」「欽どこ」が絶好調のこの頃、もはやテレビの人気に力を借りないと笑いが取れない、喜劇映画ひん死の時代であります。

前年はシリーズで作られていたドリフターズの映画の最後の作品が公開された年で、あの「男はつらいよ」シリーズでさえ「模索期」といわれている(ホントか?)。ともかくピンク映画ばかりが量産されている。


余談

この作品については、まず「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」なるタイトルの東宝の脚本を2009年に手に入れたことが、項目を設けるキッカケになりました。

ところが、その本は製作者と松木氏の名前はあるが、監督やキャストはまるっきり空欄のままであるなど不完全な「検討稿」で、作品についての詳細を知りたくて、ネット検索してみたものの、まったく記録が見つからなかったんで、てっきりお蔵入りになった作品なのかと思いこみ、「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」のタイトルのまま幻の作品として拙サイトにてしばらく紹介するにいたりました。

それからしばらく経って、なんと由美かおる主演で改題され、立派に公開されておりましたことを、おタレコミによって知ることができました。ありがとうございました。2011年に加筆、訂正。

2014年、鑑賞!それは夢のように嬉しかったです!\( ^▽^ )/