おしゃれ大作戦

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2014年11月19日 (水) 08:18時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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作品概要
制作会社 東宝
公開年度 1976年
内蔵助役 由美かおる
評価 2ツ星
公開当時のパンフレット


内容

あらすじ:女生徒ばかりの洋裁専門学校「浅野文化ドレメ学院」が企画していたファッションフェスティバルが、学校の出資者・吉良豪蔵(藤村有弘)の陰謀でスポンサー業者が辞退。再開に必要なカネを出してほしかったら…と浅野多恵子主事に言い寄る吉良。妻がねとられたと思い込んだ失意の中、自動車事故で死ぬ学長・浅野卓郎。

その後釜に入ったのは吉良。夫も学校も失った多恵子はショックで入院。

学校は「花嫁養成所」としてリニュアルされることとなり、気に入らないスタッフや生徒は容赦なくクビにするという。

人気デザイナー講師の大石由里子(由美かおる)は、彼女を慕う46人の生徒たちとともに学校の奪還を画策する。


クレージーキャッツや若大将の映画シリーズで有名な古沢憲吾が監督した最後の作品。約20年後に亡くなるまで映画を撮っていない。脚本はTVドラマ「池中玄太」の松木ひろし氏。

検討稿のシナリオでは「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」というタイトルで、途中「お姐ちゃん忠臣蔵 おしゃれ大作戦」という段階を経て最終的に「おしゃれ大作戦」というタイトルで公開された。

検討稿を見た時は、もっと「プレイガール」(テレ東のパンチラアクション・ドラマ)みたいにしたらいいのになあと思ったが、試行錯誤を繰り返して、結局、それっぽい軽妙な(&軽薄な)ところに作品は落ち着いたようであります。

面白かったか、なかったかと言われれば、面白かった。


よいところ/アレなところ

同じく女子ばかりが活躍する後年の「OL忠臣蔵」よりもはるかに忠臣蔵しているし、話の流れやキャラクターのオマージュ加減のアレンジがそこそこ良くて、そこに古澤監督のテンポの良いタッチが活き活きしている。


キャスティングもなかなか。当時東宝の新しい特撮映画で活躍の由美かおるや、テレビでおてんばJKだった岡崎友紀もチャーミング。技巧派・沢田雅美のべらんめえで呑兵衛ヤスも頼りがいがあるし、東映映画でスケバンをやってた杉本美樹を持ってきたり、「ハレンチ学園」の児島美ゆきなどかつて人気シリーズをささえた(<彼女たちが活躍したテレビや映画のシリーズは本作出演時ですべて過去のコンテンツ)お転婆おねえさんたちにズラッと「来てもらった」かんじ。

そこに若手も導入して、グラマーなホーン・ユキ、東宝ドラマで人気の長谷直美など、こたえられないラインナップ。

中でも、かつて「スーパーロボット レッドバロン」で健康的なパンチラアクションをお茶の間に披露した牧れい演じる萱野三子(サンコ、と読む。このほかにもシンコよも子げん子など、ネーミングが乱暴w)が、興奮するとすぐおしっこがしたくなるキャラを好演してるのがフェティッシュでピカイチだった。

特に潜入捜査で机の下に隠れてる時、東八郎扮する大野事務長の足がおっぱいにあたって「はてな」とまさぐられ「感じる〜」と言うシーンは素晴らしい。

本田みちこさん(小野寺幸江)というひとがかわいくて、パンチラのハイキックのポーズでトラックをヒッチハイクするのだが、もう、あたしには思い出。

左様、ほどよく品のない作品なのであります。


これだけのメンツを揃えたのだから往年のご活躍をオマージュできるようなパロディも入れたらよかったんじゃないかと思う。本作では杉本美樹はスケ番ぽくもなければ拷問もされない。児島美ゆきのスカートはめくれない(パンツだし)。牧れいもアクション係ではない…。

あと、ファッションをもっと凝ればよかったなあと思う。ファッションほどセクシャリティを雄弁に語るアイテムもないのに、洋裁学校が舞台にもかかわらず当時の流行に押されるまま(<タートルネックにオーバーオールとか丈の長いワンピといういでたちがもっぱら)、ホッパンやタイツなど、美脚が強調されるファッションが皆無で、それがお色気コメディを狙った割にはいたずらな制限を与えており、画面がさみしい。

ついでにうと、本作のお色気シーンはたいがいセクハラなどによる「行為」でのみ表現されている。パーツがクローズアップされることがないのでホーン・ユキも宝の持ちぐされ。


考察

こうしてみると、やはりこうしたジャンルは東宝のお家芸から遠い。


映画史にさん然と輝く喜劇映画をかつてリリースしてきた東宝としては、このような「他社(東映)のような」やんちゃな芸風の喜劇作りは苦手だったのではと思う。どこかしら振りきっていない真面目さを感じるし、古澤監督が本作でメガホンを置いてしまってるのも、身売りしたようでもう、いやんなっちゃったんじゃないだろうかなんて思ってしまう。(パレンバン作戦に出た右っぽい監督だったからな〜。パンチラはお好みじゃないかもな〜。)

検討稿で暗躍する先述の大野事務長、公開時の出番はあらかた当時人気絶頂のマジシャン伊藤一陽の清水一学秘書の出番に変わっており、伊藤はひんぱんに登場しては流行語「なにかごしつもんは」を連発している。

タモリが「空飛ぶモンティ・パイソン」でデビューし、「欽ドン」「欽どこ」が東村山音頭としのぎを削っていたこの頃、もはやテレビの人気に力を借りないと笑いが取れなかったのでありましょうか。

テレビで人気絶頂のドリフターズが、本作公開前年にシリーズ映画の幕を下ろしている。そのかわり?に翌77年にフジテレビで「ドリフ大爆笑」が開始。

そのドリフ映画を併映していたあの「男はつらいよ」シリーズも「模索期」といわれている時期(ホントか?)。そんな時代背景。日本喜劇映画ひん死の時代であります。


つらいところだったでしょうが、東宝も忠臣蔵も好きなもりいにはラブリーなパッケージでありました。


余談

この作品については、まず「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」なるタイトルの東宝の脚本を2009年に手に入れたことが、項目を設けるキッカケになりました。

ところが、その本は製作者と松木氏のみクレジットされてるが、監督やキャストはまるっきり空欄のままであるなど不完全な「検討稿」で、作品についての詳細を知りたくて、ネット検索してみたものの、まったく記録が見つからなかったんで、本作はてっきりお蔵入りになったと思いこみ、「大喜劇ウーマンリブ じゃじゃ馬忠臣蔵」のタイトルのまま幻の作品として拙サイトにてしばらく紹介するにいたりました。

それからしばらく経って、なんと由美かおる主演で改題され、立派に公開されておりましたことを、おタレコミによって知ることができました。ありがとうございました。2011年に加筆、訂正。

2014年、某氏のご厚意により鑑賞がかないました!それは夢のように嬉しかったです!\( ^▽^ )/