お縫B

[誠忠義士伝」より。国芳先生版はお竹さん。

お縫【おぬい】…美女。片岡源五右衛門の妹。巴御前か板額の再来とうたわれるような、赤穂一番のべっぴん。二十歳そこそこ。


浪士、山岡覚兵衛の妻だったが夫が病死した後、遺志を継いで吉良邸のメイドとして勤務。操(みさお)を捨てて操をたてる苦境の婦道。

上野介のエロ心をくすぐっていろんな情報が得られた。

討ち入り当夜は吉良の付け人、山田真龍齋(やまだしんりゅうさい)と渡り合ってめざましい働きをした女丈夫(じょじょうふ)。

討ち入り後、同じように諜報活動をしていた村松三太夫の妻・およしと南部坂の瑤泉院の所に一旦身を寄せ、その後芸州の本家にいたが、義士切腹のニュースを聞いたあと、尼さんになりました。


講談の冨森助右衛門のエピソードではスパイとして潜り込んでる山岡覚兵衛の妻は「お綾」と言い、本名はお久という設定。


落語「志士の打入り」(三遊亭金馬1st)ではお縫は美濃部五左衛門という吉良の家来と闘う。薙刀で奮闘するが縁側を足を踏み外して危機一髪になったところをすんでで身を翻し、油断した五左衛門を見事仕留める。

これを遠見していた内蔵助は「えらい!今宵の働きはお縫が一番だ。よく落ちながら顚覆(かえ)った。」

顚覆るわけでございます。根がカクベエの女房だから。

・・・わかりにくいオチだが、口演された当時は正月にはたいてい角兵衛獅子という子供の3人ユニットのストリートパフォーマンスが出たそうで年かさの一人が演奏、二人がトンボを切ったりしたそうです。その地口となっております。


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