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イヌの仇討

105 バイト追加, 2024年5月8日 (水)
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 さらに、浅野は小刀を振り舞わしたりせずぶつかって自分を首尾よく殺せば苦労はなかったと、すっごく潔い吉岡流免許皆伝の「武士」としてのふくらませよう。
 コレ、今回吉良を演じているのがわたしの好きな大谷亮介=「相棒」のトリオ・ザ・捜一から抜けたベテラン刑事=だったからワクワク観ていられたようなものの、虫の好かない役者だったらアウトな(やりすぎ)設定である。(初演はすまけいさんだったらしいがそれも良いなぁ。) コレ、今回吉良を演じているのがわたしの好きな大谷亮介=「相棒」のトリオ・ザ・捜一から抜けたベテラン刑事=だったからワクワク観ていられたようなものの、虫の好かない役者だったらアウトな(やりすぎ)設定である。(初演はすまけいさんだったらしいが、悪役面の役者さんをわざと当てることで効果的にギャップとバランスを保つ狙いかと。)
 やがて吉良は、あれだけ尽くした将軍が自身の片落ちの裁定を棚に上げて世情(浅野びいき)の人気を優先して自分を本所深川なんぞに厄介払いしたと解釈しはじめるのと、大石がやろうとしていることが仇討ちではなく幕府への反逆と理解し始めることとうまくリンクしてきて、こうなったら討ち入りをとことん美談にするために喜んで死んでやるとばかりに炭小屋を飛び出す。幕府のイヌとして働いてきた吉良の仇討である。
 それも、一回芝居で観て知ってる出し物なのにオペラになったら自分の中のモードが変わった。
 もっとも、オペラ化するにあたって原作・井上ひさし先生のセリフはテキスト・レジー(改変)されており(そりゃそうだ。ふつうの芝居のセリフをオペラや義太夫の長さにしたらいつまで劇場に籠城してなきゃいけないかわからない)、それが音楽劇という特有の表現の中で生まれ変わり、同じようで違う作品なのであります。 もっとも、オペラ化するにあたって原作・井上ひさし先生のセリフはテキスト・レジー(改変)されており(そりゃそうだ。セリフにメロディーがついてるぶん、オペラや義太夫の尺にしたらいつまでたっても劇場にお預けのままだ)、それが音楽劇という特有の表現の中で生まれ変わり、同じようで違う作品になってるのであります。
 もぉ〜、バルコニー席という見たこともないアングルから舞台を見下ろしてたのも高まった(演出はあくまで正面から見た効果を念頭にしているけど)。音はピアノとバイオリンの生演奏。