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2008年10月27日 (月) 07:38時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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三谷幸喜、作、演出の喜劇。

初演が1991年のシモキタ本多劇場で、忠臣蔵が関連するのは翌年のテレビ版。深夜にフジテレビで放送されたそうです。その録画を見せていただきました。


オリジナル(舞台版)のストーリーは、寿命が危ない老役者の舞台をサポートすべく、裏方や共演者がてんやわんやする話で、付け焼き刃な対策が作家の意図しない方向へどんどんと作品を変えていく(三谷幸喜のお家芸ですね)。劇場版とテレビ版のいいとこ取りが「ラヂオの時間」と言えるのではないでしょうか。「手は、ある!」というセリフが踏襲されている。

勝手に作品を変えられた作家が「どうして言ってくれないのかなー。言ってくれたら、ボク、自分で直したのになーっ」と悲痛に(そして滑稽に)叫ぶシーンがあるのですが、他人事とは思えませんでした。なにせテレビのオンエアを見たらCG屋さんが黙ってあたしの絵を描き変えてたなんてことが日常なので(^∇^; )。

舞台版は1994年の紀伊國屋ホールのをニコ動で見たが、10年以上前のビミョーな時代背景の作品なのにすごく笑える。


さて、テレビ版のおはなしは劇中劇の「マクベス」をお茶の間向きに「忠臣蔵」に変えており、そのことがとりもなおさず、本コーナーで作品を取り上げようと思ったキッカケでもありますが、メインである「老役者をバックアップする」というプロットは無くなって、純粋に舞台裏で起こるアクシデントだけに的を絞って簡単なかんじに構成しなおされてます。それでもてんやわんやのストーリーはおもしろいのだが、このドラマの監督さんがあんまりテンポがよくない。また登場人物の個性も変わってしまっており、たとえば無愛想なキャラクターは単に怖い人になってて笑いの要素が一切消えてしまってるし、いろいろもったいない。あと、どういう事情なのかびっくりするほど美人がいないというのも特筆すべき特徴。

舞台版を見ると「ああ、三谷幸喜ってもうこの頃ですでに完成してるんだなあ」と感心ちゃうのに、テレビ版を見ると「ああ、三谷幸喜って若いころはまだこんな感じだったんだあ」と、感想がかなり変わっちゃう。


さて、肝心な劇中劇の忠臣蔵ですが、「ブラボー忠臣蔵」というアバンギャルドなものにアレンジされてる設定なので、それがツッコミどころの免罪符になっており、もう自由でいいわけでして、忠臣蔵であって無いような感じになっておりました。この本を書くに当たって、三谷幸喜はあらためて忠臣蔵を研究するようなことはしてないんじゃないかと思います。

ンま、それでもあえて突っ込むなら吉良のセリフにある「わしにはお上がついている!」コレはお上より「上杉」のほうがイイですね。江戸の一大事の手紙を受け取った内蔵助が「殿が亡くなられた!お家断絶の再興の望みも立たれた今、赤穂の塩は粗塩となって瀬戸内の海に流れて行くわいなあ」ってセリフはあまりにもめちゃくちゃで逆に爆笑した(笑)。


取り上げてくれたことがまずうれしいのでなんでもアリですわい。