ドラマ「大石内蔵助」冬の決戦
作品概要 | |
制作会社 | NHK |
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公開年度 | 1991年 |
内蔵助役 | 平幹二朗 |
評価 |
重厚な演出。静かな忠臣蔵。本作品をCS放送で、裏番組の「音無の剣」を地上波でなんとなくザッピングしていたが、いつ本作に戻ってもいっつも平幹二朗がただ座ってるだけで、ちら見しかしない限りでは「ずっと同じシーンだな、こりゃ!?」というような退屈そうな印象の、あんまり動かない忠臣蔵でもある。
ところが、録画してあったものをあらためて見るとこれがなかなかよかった。オーソドックスなストーリーをなぞってるのに、非常に新しく聴こえてくるセリフや構成が、丁寧な仕事ぶりを象徴している。それも、最初はこのレビュー、見たのが後編と気づかずに四つ星をつけている。半分だけ見てすっかり楽しんだ。後日前編を見たが申し分なし。
セリフがいいのか構成がいいのか、いちいち言ってることがもっともというか、説得力のあるセリフにグイグイ引き込まれる。史実と違うことをやってても、or 言ってても、納得しちゃうリアリティも持っているチカラのある作品であります。そう、たとえば、討ち入りの時、貧乏四十七士はそろいのユニフォームではなく、思い思いのかっこうで統一性が無い装束という演出がなされているが、なんとなく「そう言うこともあるかも」と思わせてしまう。
そして知りうる限り、もっとも吉良上野介が好人物に描かれている作品。本作品の彼は、なぜ浅野内匠頭に斬りつけられたのかピンときていない。そしてある夜中眠っていた上野介がなにかひらめいてガバと起き、「そうか…あのひとことが浅野内匠頭のうらみをこうたのじゃ」とつぶやき後悔するシーンがある。しかし、その晩こそ討ち入りの夜。やがて四十七士が乱入してくる。後の祭りなのであります。
通好みの一品。
<附言>
1990年発売の「週刊テレビ番組」(年末年始合併特大号:東京ポスト社)によれば、平幹二朗は「ようやく出番が回ってきました。3年前に他局で吉良上野介の出演依頼があったのを断ってよかった」という主旨のことを言って、今回の大石内蔵助のオファーを喜んでいるインタビューが載っている。
本作の放送は91年だが、撮影が90年だとすると1987年にオファーがあった?果たしてその後のどの忠臣蔵で吉良上野の依頼を断ったのか、気になります。(ちなみに平幹二朗は1996年に吉良上野介を演ります。)