丹女

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丹女【たんじょ、おたん】…小野寺十内の奥さん 。武芸が出来て文学の素養がある。和歌のこころざしが厚い。

江戸・表四番町に住む交代旗本・溝口家の家来で馬の先生、古川主馬(しゅめ)の娘。夫・小野寺十内は古川の門弟。


若いころは、水の垂れるような美人。

色のクッキリ白い上品で、愛嬌がある。スッピンでも、実に衆生済度(しゅじょうさいど)のために天女が天下ったか、普賢菩薩が仮に人間になってきたかと思うような美人。弘法大師の石芋のような女。動作も閑雅で公家高家のお姫様のよう。

ちなみにその頃の下女・おつぎは色がクッキリ黒い、身の丈五尺七寸の大兵(だいひょう)。髪は赤みをおびてトウモロコシのよう。顔中が海綿のようなアバタで鼻は餅屋のへっついの用に平たい。島田髷をしているがヒキガエルが大森細工をかぶったよう。どうしても先祖から人間であったとは思えない、化け物と評判の…(もういいだろ!すげえな、講談本)

この二人組、巴御前と腰元の山吹か板額(はんがく)のように強い。

浅野家の家来・植村藤右衛門に求愛されるが「植村様はわたしの色を愛しているが、女は早く衰えますものです。わたしの色香が褪めましたなら愛情も失せましょう。」とキッパリ断り、その代わり、植村をプッシュしに来た小野寺十内のりりしさに惚れ、求婚する。

親の古川も納得し、「かわりに植村君にはおつぎをあげる」とアプローチ。なんだかわかんないご縁で二組同時に儀式を挙げた。(寛文5年5月15日)


討ち入りの翌年、夫と息子の切腹を聞いて懇意にしていた本圀寺に石碑を建てて命日に参詣していたが、遂に七月十八日、懐剣で喉をつらぬき、自害した。


夫(つま)や子の待つらんものを急がまし なにかこの世に思いおくべき

うつつとも思わぬうちに夢さめて 妙成法の花に乗りなん


…と、辞世を金砂子の短冊にしたためた。


史実ではお丹は浅野家の家来の娘。体が弱かったお丹は断食死したそうであります。