「今、一太刀 ~赤穂浪人傳~」の版間の差分

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さて、べた褒めなのに星が3ッツというのは、よく調べられたスクリプトで申し分がないだけに、ときどきある「え?どうしてそこをそう…?」というアレコレが解消されないまま幕になったことが要因。
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さて、べた褒めなのに星が3ッツというのはワクがあり、よく調べられたスクリプトで申し分がないだけに、ときどきある「え?どうしてそこをそう…?」というアレコレが解消されないまま幕になったことが要因。
  
 
自分が鈍感なだけで、以下の疑問点には芝居をよく見ていれば腑に落ちるアレコレがあったかもなのだが、ともかく個人的に引っかかったことを少しあげますと・・
 
自分が鈍感なだけで、以下の疑問点には芝居をよく見ていれば腑に落ちるアレコレがあったかもなのだが、ともかく個人的に引っかかったことを少しあげますと・・

2016年12月26日 (月) 20:04時点における版

作品概要
制作会社 10・Quatre
公開年度 2016年
内蔵助役 内堀克利
評価 3ツ星


このレビューが忠臣蔵ノンケだったら、もっと高得点の素敵なお芝居。


たちまわり自慢の(ワークショップ出てみたい)劇団・10・Quatre(テンカトル)の、密度の濃い忠臣蔵劇。

ともかく人物が立つ、動くということが客席から見てどうやったらカッコいいかすごく気を使った構成センスが素敵で、「あ!描きたい!」と思うようなところが幾つもあった。光の使い方と箱と人物とのサイズをみごとに使いこなしている。思わず、天井の照明に目をやることもしばしばでした。


殺陣はさすがで、怖くて華麗。

そうそう。いつもは剣舞が後半に来るそうなのだが、今回はソレを抑えて芝居一本に仕上げたことで秘めたるスキルの見え隠れがなんとも贅沢に感じられた。じらしの美学、的な?


物語は若輩の大石主税の成長と、ミステリアスな討ち入り作戦の進行が同時進行し、特に仲入り後、後半の盛り上がりは絶妙で、作戦がひとつずつ確かなものになっていく上で払われる犠牲のたたみかけに涙を止める隙がない。

会場内のすすり泣く音を聞きながら「これなら忠臣蔵を知らない人でも魅力をわかってもらえる!やはり忠臣蔵はオワコンではないわい!」と膝を打った。


さて、べた褒めなのに星が3ッツというのはワクがあり、よく調べられたスクリプトで申し分がないだけに、ときどきある「え?どうしてそこをそう…?」というアレコレが解消されないまま幕になったことが要因。

自分が鈍感なだけで、以下の疑問点には芝居をよく見ていれば腑に落ちるアレコレがあったかもなのだが、ともかく個人的に引っかかったことを少しあげますと・・

・超下っ端の神崎与五郎が目上の皆さんに向かって「静まれ!」と怒鳴ったり周囲も彼に気を使ってたりするのをほぼかわきりに、ゲンゴ大石内蔵助の密命で動いてたり、とにかくメンバーのプロフィールをすごく気にしていない。(でも、こうしたことは古くから講談もやっている)

・赤穂では堀部安兵衛を含め、日夜町火消の特訓に事欠かない。あとに効いてくる大切なシーンではあるのだけど…江戸での仕事かと。

・進行上しょうがない台詞なのだが、おはうちからした浪人が傘張りで食いつないでることに対し「武士たるもの内職するなどとは」と仲間が蔑視したりするのも違和感があったし(現役の御家人でも内職してたと聞くし、つか浪人って武士?)、あと、ギャグで男色を気持ち悪がるなども、あたしが思ってたイメージと違う武士の生活に対する価値観が飛び出し、戸惑った。

・せっかく上演されたシアターXは安兵衛の道場があった両国にあるのに、シナリオ上では道場は「神田」ということになっている。なんだかもったいない。

・泉岳寺の殿様のお墓の卒塔婆に「南妙法蓮華経」とある…。

・討ち入り成功のニュースを聞いた柳沢吉保が「巷の連中は彼らを武士の鑑として、やがてこうたたえるのだ。赤穂浪士と」というようなことを仰る。・・いや、改易になった時からすでにみなさん赤穂浪士でして、浪士が義士に昇華するのじゃなかろうか…などと思いつつあらためて役者さんに目をやると襟にハナから「赤穂義士」って書いてあった。etc...


この舞台が凄いのはこうした「つっこみどころ」で気持ちが離れかけてもグググーッとまた引き寄せてくれて、じゅうぶん楽しませてくれるパワーがあること。

4日ばかりしかやらないのはなんとも勿体無く、再演してほしい。