「元禄忠臣蔵」の版間の差分

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それから田村邸>赤穂城に使者>大石内蔵助邸>最後の評定>内蔵助の決心>(第2部)撞木町>仇討ちを後押ししたい徳川綱豊卿(ポスト[[徳川綱吉|綱吉]])>南部坂の別れ>(第3部)吉良邸裏門(もう討ち入りはすんでる)>泉岳寺>自首>大石最後の一日
 
それから田村邸>赤穂城に使者>大石内蔵助邸>最後の評定>内蔵助の決心>(第2部)撞木町>仇討ちを後押ししたい徳川綱豊卿(ポスト[[徳川綱吉|綱吉]])>南部坂の別れ>(第3部)吉良邸裏門(もう討ち入りはすんでる)>泉岳寺>自首>大石最後の一日
  
この昭和初期の構成ですでに[[多門伝八郎]]が一生懸命[[浅野内匠頭|浅野]]をかばうとか、庭先の[[片岡源五右衛門]]を気づかせる為に月を話題にするとか、[[大野九郎兵衛]]はステレオタイプの悪役ではない等々、以降の映画やドラマで見るいろんなシーンのおなじみのエッセンスがそこかしこに見受けられる。
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おなじみなシーンでありそうで、実は見たことの無いシーン、みたいな独特の味わいがあります。
  
内蔵助の本心をわかりやすくするために(?)[[井関徳兵衛]]という浪人を登場させている。城明け渡しの夜、徳兵衛は落胆して割腹。虫の息の彼に本心を告げると悔しそうに城を去る。このときの吉右衛門良かった〜。
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さて、はじめて見た時、最後の「[[元禄忠臣蔵 前篇・後篇|最後の一日]](討ち入り後、四家お預けになったあとの内蔵助の最後の日を描いている。)」が全体を通してみるとエピローグにしてはいやにたっぷりしてバランス的に「間延びしてるなあ」と思ったし、はじめの内蔵助の登場シーンがいやにもったいぶられてると思ったが、実はこの「元禄忠臣蔵」というのはこの「大石最後の一日」が一番はじめに書かれたそうなんですね。で7年がかりでほかのを書き上げたと言う。
  
南部坂の別れは屋敷の中の瑤泉院と雪降ってる屋外の内蔵助のコンタクトで、話し中に吉良が14日在宅の知らせを受ける。
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これがシリーズの最初なんだと思ってあらためて「最後の一日」を「単品」として見ると、今まで芝居で仮名手本が主流だった時代に、新歌舞伎なんつってこの「最後の一日」が上演された昭和初期の観客の気持ちを探るとおもしろく、当時やっぱ斬新なアプローチだったろうなと思った。どのセリフも興味深く聞けるし。
  
義士たちが泉岳寺を引き上げたあと、[[高田郡兵衛]]が槍を持って駆けつけるが[[堀部安兵衛|安兵衛]]にあらためて「遅い!お前りこうすぎ」とあらためていさめる。
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ぶっちゃけ、ほかがあるとこれが霞むので、通しでやらなくてもいいかなというくらい、なかなかイイ章であります。
  
それなりにオリジナルなドラマが用意されてるが派手さは無く、丁寧な展開。
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きっと、「最後の一日」があんまり良かったんでプロデューサーからほかも全部書いてって真山青果は言われたんでしょうなあ。通してやるなら、時系列じゃなくて、書かれた順っていうのもいいかもですな。
  
さて、はじめて見た時、最後の「[[元禄忠臣蔵 前篇・後篇|最後の一日]](討ち入り後、四家お預けになったあとの内蔵助の最後の日を描いている。)」が全体を通してみるといやにたっぷりして間延びしてるなと思ったし、内蔵助の登場シーンがいやにもったいぶられてると思ったが、実はこの「元禄忠臣蔵」というのはこの「大石最後の一日」が一番はじめに書かれたそうなんですね。で7年がかりでほかのを書き上げたと言う。
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エピソードというより人物が丁寧に描かれてて、今ではおなじみのキャラクターの感情の脚色などは、この作品がお手本になってたりすんのかな、と思うような基本形。
  
そう思って「最後の一日」を単品として見ると、今まで芝居で仮名手本が主流だった時代に、新歌舞伎なんつってこの「最後の一日」が上演された状況を想像するとおもしろく、当時やっぱ斬新なアプローチだったろうなと思った。どのセリフも興味深く聞けるし、ぶっちゃけ、ほかがあるとこれが霞むので、少なくとも通しでやらなくてもイイかなというくらい、なかなかイイ話であります。
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派手さが無いので、各章を単品で楽しむといいです。
 
 
通してやるなら、時系列じゃなくて、書かれた順っていうのもイイかもですな。
 
 
 
きっと、「最後の一日」があんまり良かったんでプロデューサーからほかも全部書いてって真山青果は言われたんじゃなかろうか。
 
  
  
 
[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|2006]]
 
[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|2006]]

2008年9月8日 (月) 06:19時点における版

作品概要
制作会社 松竹
公開年度 2006年
内蔵助役 松本幸四郎ほか
評価 ★★

昭和初期に作られたものですが、あたしが見たのは国立劇場は開場40周年の公演のBS放送。

内蔵助役には松本幸四郎、坂田藤十郎、中村吉右衛門のトリプルキャスト。

歌舞伎で忠臣蔵と言えば「仮名手本忠臣蔵」だが、こっちは史実を元にした新歌舞伎で、歌(BGM)がありません。

イベント中の刃傷事件に右往左往する江戸城から始まる。

それから田村邸>赤穂城に使者>大石内蔵助邸>最後の評定>内蔵助の決心>(第2部)撞木町>仇討ちを後押ししたい徳川綱豊卿(ポスト綱吉)>南部坂の別れ>(第3部)吉良邸裏門(もう討ち入りはすんでる)>泉岳寺>自首>大石最後の一日

おなじみなシーンでありそうで、実は見たことの無いシーン、みたいな独特の味わいがあります。

さて、はじめて見た時、最後の「最後の一日(討ち入り後、四家お預けになったあとの内蔵助の最後の日を描いている。)」が全体を通してみるとエピローグにしてはいやにたっぷりしてバランス的に「間延びしてるなあ」と思ったし、はじめの内蔵助の登場シーンがいやにもったいぶられてると思ったが、実はこの「元禄忠臣蔵」というのはこの「大石最後の一日」が一番はじめに書かれたそうなんですね。で7年がかりでほかのを書き上げたと言う。

これがシリーズの最初なんだと思ってあらためて「最後の一日」を「単品」として見ると、今まで芝居で仮名手本が主流だった時代に、新歌舞伎なんつってこの「最後の一日」が上演された昭和初期の観客の気持ちを探るとおもしろく、当時やっぱ斬新なアプローチだったろうなと思った。どのセリフも興味深く聞けるし。

ぶっちゃけ、ほかがあるとこれが霞むので、通しでやらなくてもいいかなというくらい、なかなかイイ章であります。

きっと、「最後の一日」があんまり良かったんでプロデューサーからほかも全部書いてって真山青果は言われたんでしょうなあ。通してやるなら、時系列じゃなくて、書かれた順っていうのもいいかもですな。

エピソードというより人物が丁寧に描かれてて、今ではおなじみのキャラクターの感情の脚色などは、この作品がお手本になってたりすんのかな、と思うような基本形。

派手さが無いので、各章を単品で楽しむといいです。