元禄忠臣蔵

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作品概要
制作会社 松竹
公開年度 2006年
内蔵助役 松本幸四郎ほか
評価 2ツ星

昭和初期に作られたものですが、あたしが見たのは国立劇場の開場40周年の公演のBS放送や歌舞伎チャンネル。

40周年の時は内蔵助役には松本幸四郎、坂田藤十郎、中村吉右衛門のトリプルキャスト。


歌舞伎で忠臣蔵と言えば「仮名手本忠臣蔵」だが、こっちは史実を元にした新歌舞伎で、長唄やら義太夫(BGM)がありません。


イベント中の刃傷事件に右往左往する江戸城から始まる。

それから田村邸>赤穂城に使者>大石内蔵助邸>最後の評定>内蔵助の決心>(第2部)撞木町>仇討ちを後押ししたい徳川綱豊卿(ポスト綱吉)>南部坂の別れ>(第3部)吉良邸裏門(もう討ち入りはすんでる)>泉岳寺>自首(仙石屋敷)>大石最後の一日

おなじみなシーンのようでじつは見たことの無いアプローチ、みたいな独特の味わいがあります。


さて、はじめて見た時、最後の「最後の一日(討ち入り後、四家お預けになったあとの内蔵助の最後の日を描いている。)」が全体を通してみるとエピローグにしてはいやにたっぷりしており、冒頭の内蔵助の登場シーンがいやにもったいぶられてると思ったが、実はこの「元禄忠臣蔵」というのはこの「大石最後の一日」が一番はじめに書かれたそうなんですね。で7年がかりでほかのを書き上げたと言う。

これがシリーズの最初なんだと思ってあらためて「最後の一日」を「単品」として見ると、やっぱチカラ入ってますし、今まで芝居で仮名手本が主流だった時代に、新歌舞伎なんつってこの「最後の一日」が上演された昭和初期の観客の気持ちを探るとおもしろく、当時としてはやっぱ斬新だったんだったろうなと思った。どのセリフも興味深く聞けるし。ていうか、コレ1本でよくね?と思ったりもします。

おはなしは「全員切腹」という壮絶な末路の直前に、繊細なラブストーリーを持ってきてるのだが、そういうセンスが素晴らしい。ここは泣きます。

きっと「最後の一日」があんまり良かったんでプロデューサーから「ほかも全部書いて」って真山青果は言われたんでしょうなあ。通しでやるなら、時系列じゃなくて、書かれた順っていうのもいいかもです。


礒貝十郎左衛門のフィアンセ・おみのが細川邸に潜入するいきさつを全部彼女の「長台詞」で観客に理解させようとすることと、それが女形(つまり男性)の金切り声の絶叫で延々とやられることが、こっちの体調いかんで相当キツイことになる。

ほかのエピソードも派手さが無く、淡々としており、芝居としてのエンタ度は相当低いです。こりゃ派手さを楽しむ芝居じゃないとはいえ、かなり好き嫌いは別れるはず。

歌舞伎&仁左衛門ファンの友人(女子)が、09年の「歌舞伎座サヨナラ公演」夜の部「南部坂」「仙石屋敷」「最後の一日」の3本立てに出かけて、こうこぼしておりました>「派手なシーンがないのと 幕が何回も降りてセット替えが多いのと三幕目で大石内蔵助が仁左衛門から幸四郎になったのと(笑)で、ちょっと、もう、おなかがいっぱいです。。」…そして昼の部(コレも別の3本立て)に行く予定をキャンセルしたとか。

や〜、コレ、あたしでも3本立てはきついですわ。


そういう作品。