土屋主税

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役者絵:三船敏郎

土屋主税逵直【つちや ちから みちなお】…吉良家の隣家。旗本。ご裕福。

土浦の土屋土佐守の舎弟。発句(ほっく)が好き。


討ち入りの夜、近所迷惑はいかんということで小野寺十内たちが塀越しにご近所に「仇討ちにきましたけどお手出し無用」てなことを告げますと、おとなりさんの土屋さんは「をーっ」とワクワクいたしまして

「たとえなんびとたりともこの塀を乗り越え当屋敷に逃れ来たる卑怯ものあらばそのまま塀の上から追い返すでござろう。高張提灯(たかはりちょうちん)を用意いたせっ」。

とこれまた塀越しに応えまして、吉良邸内を昼間のように明るく照らしたそうでございます。

もりいはなにげにこの武士の情けシークエンスが好きでござる。(映画のシークエンス)


実際に討ち入りの際に赤穂義士を助けたとされる。


彼が主人公の映画「元禄快挙余譚 土屋主税」(長谷川一夫主演)というのがある。

映画の元ネタは歌舞伎の「土屋主税」(下記)で、これは初代中村鴈治郎に当てて書いたと言われ、彼の当たり役でもあるそうです。

吉良家のお隣さんで高張り提灯を用意させるシーンはあるものの、映画などで興奮する「あの」シーンのオリジナルにしてはいささか盛り上がりに欠ける作品。



歌舞伎「土屋主税」

第一場 向島晋其角寓居の場

宝井其角の家に土屋主税の使いが茶会のインビテーションを届けて去ったあと、大高源五が訪ねてくるシチュエーションでお話が始まる。

両国橋でのみすぼらしい、あのおなじみの笹竹屋のイメージではなく、大高はふつうに月代も頭頂を剃って二本差し。

宗匠から吉良邸で茶会があるけど来ないか?と誘われるが大高は「西国のさる屋敷に召し抱える」ということで(ほんとは討ち入り)暇乞い。二君に仕えるということで宗匠はがっかり。会話中にやってきた細川家の家臣、落合さんも再就職の話を聞いて「武士は畜生とは同席できん!犬にも劣るブタざむらい」と大高を足蹴にし(ブタ:1600年代に長崎に輸入されてるそうです)初対面なのにたいへん侮蔑する。

大高が宗匠の家を後にするときに餞別に句をかわす…「年の瀬や水の流れも人の身も」「明日またるるその宝船」


第二場 土屋邸奥座敷の場

土屋主税のところで勤務してるのは、勝田新左衛門の妹・お園(その)。(勝田が討ち入りがないからと言って松浦さんみたいにお園を嫌ったりしない。)

土屋邸の茶会にやってきた其角は、自分が親代わりに女中業を推挙したお園を「クビにしてくれ。赤穂の浪人はみんな腰抜け。こつじき。」と申し入れる。

しかし大高が就職先などを言わなかったことや、連句について聴いた土屋は「それでこそまことの武士〜!」と真意を読む。

やがて討ち入りが始まり、お園とともに土屋さん喜び「要所にかがりを灯させ・・いや、火元とこころえ用意をいたせっ」

はしゃぐ其角。お園に「面目次第もございませぬ」

土屋邸に挨拶に来たのは大高。「勝田氏も参加してる」と聞いてさらにお園おおよろこび。

居合わせた落合さんは第一場で大高を罵ったことを恥じ入って「自分を殺してくれ!」とうろたえる。

そんなこと言ってるうちに呼び子。

「いずれもごめん!」

「浅野殿、良い家来を持たれたなあ〜!!」


四代目鴈治郎が襲名披露で演った時テレビのインタビューで「実になんでもない内容で、たまたま討ち入りの屋敷の隣に居あわせたということで」「でもどっかお客様の琴線に触れるのだろうから…」と、関東の元ネタ「松浦の太鼓」を演るときの中村吉右衛門のコメントに比べると、あまりにもテンションの低いコメントだった。

それもそのはずで、「松浦の太鼓」の旗本さんのおもしろキャラが、宝井其角&細井家の家臣と分散されてしまったぶん、土屋のキャラが薄まった。=ほとんど座ってるだけの、ものわかりの良いただのおじさん。

赤穂浪士も、なぜかキャスティングされてる勝田新左衛門(登場しないし)がいたずらに登場人物を増やし、ストーリーを複雑にしている。


ほかのお隣さん