大江戸千両祭

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2016年2月11日 (木) 09:17時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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柳家金語楼の芸能生活50週年を記念して作られた映画。

「文七元結」や「穴どろ」など落語のエピソードをおりまぜながら大工・金兵衛(金語楼)と娘のお蝶(八千草薫)の長屋のエピソードをえがく時代劇。

エノケンやロッパ、徳川夢声、伴淳アチャコやミヤコ蝶々×南都雄二など当時のおなじみの名だたる喜劇人が友情出演的にちょっぴりずつ顔を出しており、お祝いのためにこれだけ集まったのかと思うとなかなかな金語楼の人柄がうかがえる。


無筆の金兵衛が、娘が安心して嫁げるように字を習いに行くのが、謎の浪人・栗田陣内。実は・・


冒頭からまったく「その要素」が無いために、まさかストーリーに討ち入りが絡むとは夢にも思わず、忠臣蔵ファンにはうれしいサプライズとなっている。

五分の四ほど話が進んだところで栗田が「私はいつなんどきここを立ち去らんとも限らん。それでも手習いは続けろよ」などと言い出し、これが金語楼がお歳暮に徳利をぶら下げてきた季節と、そこにたまたま顔を出した煤竹売りが「大高」という名前であることから「アレ!?これってまさか」と思う。

布石がなんにもないのにこの構成が許されるほど、忠臣蔵はまるで季節の風物詩のように大衆にはあたりまえだったのかと思うと面白い。


金兵衛が字が読めるようになるシーンはなかなか感動する。

そうしてめでたくお蝶の結婚式になるのだが、婚礼の席でエノケンが「お前さんは子供の自分から舞台に立ってるんだから…」というようなコメントをしはじめ、その場が急に芸能生活50周年のお祝いと急にだぶりだし、最終的に金語楼が観客に向かって抱負を述べて映画は幕を閉じる。


監督・青柳信雄


記録によればエノケンはこの映画公開年の前年に脚を悪くしてるはずだが本作ではとても義足で演技してるように見えない。撮影はずいぶん前だったのかもであります。