「大江戸鍋祭〜あんまりはしゃぎ過ぎると討たれちゃうよ〜」の版間の差分

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ともかく、内容もさることながら、忠臣蔵にこれだけの女子が詰めかける(最終的にどれだけ詰めかけたのは知りませんが、ともかく満員御礼だった)と言うことが、忠臣蔵を布教したいわたしにとっては大喝采ものなのであります。
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ともかく、内容もさることながら、忠臣蔵にこれだけの女子が詰めかける(全公演にどれだけ詰めかけたのは知りませんが、ともかくあたしが行ったときは満員御礼だった)と言うことが、忠臣蔵を布教したいわたしにとっては大喝采ものなのであります。
  
  
物語はオリジナルの忠臣蔵をコミカルに構成し直してるので、純粋には" 例の忠臣蔵物語 "とは言えず、ツッコミどころも無いわけではなく、うるさがたにとっては好き嫌いが別れそうなところであり、諸先輩方からは「コレの一体どこが?」と食いつかれることもあるかもで、ちょっとそこらへんが星5つじゃない遠慮部分なんですが、ま、「この分野」を見事に確立しており、総合的なサービスの質を考えるとたいへんにバランスのいいパッケージに仕上がっていると言える。
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物語はオリジナルの忠臣蔵をコミカルに構成し直してるので、純粋には" 例の忠臣蔵物語 "とは言えず、ツッコミどころも無いわけではなく、うるさがたにとっては好き嫌いが別れそうなところであり、諸先輩方からは「コレの一体どこが?」と食いつかれることもあるかもで、ちょっとそこらへんが星5つじゃない遠慮部分なんですが、ま、「この分野」のコレを見事に確立しており、総合的なサービスの質を考えるとたいへんにバランスのいいパッケージに仕上がっていると言える。
  
  
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登場人物に感情移入をさせるために、印象的なキャスティングをするのは昭和時代は常識だった。だから自然にオールスターになったんだと思う。
 
登場人物に感情移入をさせるために、印象的なキャスティングをするのは昭和時代は常識だった。だから自然にオールスターになったんだと思う。
  
今回の観客は四十七士を知らなくても役者の顔ぶれはテレビおなじみなので(<たぶん。テレビのレギュラーがそのまま出てると見込んでそう言いました)、その彼らがどういう目にあってるかを見て、自然になにかを感じてくれればしゃっちょこばらずに忠臣蔵のアウトラインが把握できる。
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今回の観客は四十七士を知らなくても役者の顔ぶれはテレビでおなじみなので(<たぶん。テレビのレギュラーがそのまま出てると見込んでそう言いました)、その彼らがどういう目にあってるかを見て、自然になにかを感じてくれればしゃっちょこばらずに忠臣蔵のアウトラインが把握できる。
  
  
 
歌や踊りの中には本筋から大脱線してふざける事もあり浪士数人が「なぜおれたち ここで歌ってる 踊りもホントは必要ない」という歌詞には笑わせられ、イギリスの円卓の騎士のブロードウェイコメディミュージカル「スパマロット」を彷彿とさせた。
 
歌や踊りの中には本筋から大脱線してふざける事もあり浪士数人が「なぜおれたち ここで歌ってる 踊りもホントは必要ない」という歌詞には笑わせられ、イギリスの円卓の騎士のブロードウェイコメディミュージカル「スパマロット」を彷彿とさせた。
  
斬られた不破の倒れて動かなくなった姿を悔やむ安兵衛に「や、しんでないけど」とムックリ起きて場の空気を変えるギャグも「スパマロット」的で、事によると脚本家はモンティ・パイソンが好きかも?<small>(註:2011.12.24現在。ここで言う「スパマロット」はあくまでブロードウェイのオリジナル版の内容をもとに記述しております。)
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斬られた[[不破数右衛門|不破]]の倒れて動かなくなった姿を悔やむ[[堀部安兵衛|安兵衛]]に「や、しんでないけど」とムックリ起きて場の空気を変えるギャグも「スパマロット」的で、事によると脚本家はモンティ・パイソンが好きかも?<small>(註:2011.12.24現在。ここで言う「スパマロット」はあくまでブロードウェイで観たティム・カリー主演のオリジナル版の内容をもとに記述しております。)
 
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そもそも『大江戸鍋』の前にも、歌謡バラエティのコントで「討ちたかった」という歌を歌うとするAKR47というアイドルユニットが'''台詞でのみ'''存在していた。
 
そもそも『大江戸鍋』の前にも、歌謡バラエティのコントで「討ちたかった」という歌を歌うとするAKR47というアイドルユニットが'''台詞でのみ'''存在していた。
  
忠臣蔵ファンとしてはその具体化を楽しみにしていたが、戦国時代を主に取り扱う番組なので半ば諦めていた。それが突然AKR四十七というカタチでそれは実現する(その時に歌ったのは「討ちたいんだ」で、これは2曲目という設定。デビューシングルが「討ちたかった」とされ、歌詞やメロディはほぼ一緒だそうだw。)。
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忠臣蔵ファンとしてはその具体化を楽しみにしていたが、戦国時代を主に取り扱う番組なので半ば諦めていた。それが突然AKR四十七というカタチでそれは実現する(その時に歌ったのは「討ちたいんだ」で、これは2曲目という設定。デビューシングルが「討ちたかった」とされ、歌詞やメロディはほぼ一緒ってハナシだw。)。
  
なにより、番組ではほかに五大老とか利休七哲がモチーフになったユニットも出てくるのに、AKR四十七の人気はほかより高めである。
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なにより、番組ではほかに五大老とか利休七哲がモチーフになったユニットも出てくる(モチーフにしているアーチストはさまざま)のに、AKR四十七の人気はほかより高めである。
  
メンバーは「くらら」「やすす」などと本物のアイドルよろしく愛称で親しまれ(てる設定)、集まって交わす会話は赤穂事件をベースにしたものである。
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メンバーは「くらら」「やすす」などと本物のアイドルのように愛称で親しまれ(てる設定)、集まって交わす会話は赤穂事件をベースにしたものである。
  
 
前進ネタのAKR47には触れず。『大江戸鍋』ともキャスティングが違い、派生ユニットも「松乃廊下走り隊」ではなく、「表門から入り隊」と
 
前進ネタのAKR47には触れず。『大江戸鍋』ともキャスティングが違い、派生ユニットも「松乃廊下走り隊」ではなく、「表門から入り隊」と
 
「裏門から入り隊」だったりして、まったく新しいアプローチをしている。
 
「裏門から入り隊」だったりして、まったく新しいアプローチをしている。
  
イケメンぞろいの神セブン(くらら/ちから/やすす/げんご/そうえもん/げんごえもん/キンキン)がメディア選抜だが、放送回を重ね吉良上野介がフィーチャリングされたり(名前がAKR四十七フィーチャリング吉良に変わる)、2012年秋の横浜のライブ「戦国鍋ホトトギスLive」ではメンバーが3人増え新曲の「ゲンロク・アコージケン」を披露した。
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イケメンぞろいの神セブン([[大石内蔵助|くらら]]/[[大石主税|ちから]]/[[堀部安兵衛|やすす]]/[[大高源五|げんご]]/[[原惣右衛門|そうえもん]]/[[片岡源五右衛門|げんごえもん]]/[[岡野金右衛門|キンキン]])がメディア選抜だが、放送回を重ね[[吉良上野介]]がフィーチャリングされたり(名前がAKR四十七フィーチャリング吉良に変わる)、2012年秋の横浜のライブ「戦国鍋ホトトギスLive」ではメンバーが3人増え新曲の「ゲンロク・アコージケン」(「ヘビーローテーション」のオマージュ)を披露した。女子のファンの「ジョメイ!シザイ!セップク!」というコールが楽しい。
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== 明治座祭10周年記念特別公演「忠臣蔵 討入・る祭」 ==
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上記「大江戸鍋祭」を制作した、る・ひまわりが、2020年に明治座で打った公演。忠臣蔵の要素がいくらかモチーフになっている。
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もりいくすおは未見だが、忠臣蔵友だちのサイトに詳しいレビューが載っています> [http://oboshi.web.fc2.com/review.html 「クラマチヤ 作品備忘録」]
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こちらによれば、もはや忠臣蔵や元禄時代に、そうガッツリとこだわるかんじでもなく、公演当時の流行りものをふんだんに取り入れた、そうとう自由な内容になっていたらしい。
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以前こそテレビ番組の派生要素があったんで、忠臣蔵や歴史についての要素の配慮を重く見ていたが、あれからこっち、鍋がどうこうというより「るひまファン」向けなおもしろ舞台(大江戸鍋以降の「祭りシリーズ」には定評がある)としての成立を制作側は心がけている印象。
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[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|2011]]
 
[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|2011]]

2021年2月5日 (金) 19:47時点における最新版

作品概要
制作会社 る・ひまわり
公開年度 2011年
内蔵助役 大和田獏
評価 4ツ星


ローカル局で人気の『戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像~』のライブ版。

ふだん、この番組は有名、無名にかかわらず戦国時代にまつわる日本史上のキャラをモチーフに、実話ととんでもないシチュエーションを絡めて、ときには「刑事部屋」ときには「キャバクラ」ときには「学校の保健室」etc..などを舞台におバカをくりひろげるコントバラエティ。

出演者が若いイケメン役者ばかりだというのが特徴で、自然に視聴者に女性ファンがついた。

そのライブ版として2011年の暮れに明治座で忠臣蔵を扱った。


「戦国鍋TV」が、いつも武将のプロフィールを調べ上げた上で上手に遊ぶ、安心して見られるおもしろ番組なので、今回は忠臣蔵でどう遊んでくれるのか期待して出掛けたが、見事にその期待に応えてくれ、観客(目測99%くらいが女性客)のノリもよかった。

歌アリ、笑いアリ、歴史アリ、徹頭徹尾、観客を楽しませようという精神に満ち満ちて、居心地がいい。

テレビと違って出演者に女子がまったく居ないにもかかわらず、なんと華やかなことか。平成男子の底力であります。


ともかく、内容もさることながら、忠臣蔵にこれだけの女子が詰めかける(全公演にどれだけ詰めかけたのは知りませんが、ともかくあたしが行ったときは満員御礼だった)と言うことが、忠臣蔵を布教したいわたしにとっては大喝采ものなのであります。


物語はオリジナルの忠臣蔵をコミカルに構成し直してるので、純粋には" 例の忠臣蔵物語 "とは言えず、ツッコミどころも無いわけではなく、うるさがたにとっては好き嫌いが別れそうなところであり、諸先輩方からは「コレの一体どこが?」と食いつかれることもあるかもで、ちょっとそこらへんが星5つじゃない遠慮部分なんですが、ま、「この分野」のコレを見事に確立しており、総合的なサービスの質を考えるとたいへんにバランスのいいパッケージに仕上がっていると言える。


とにかく、大和田獏や数人のコメディリリーフを除いては(除いてすいません)、全キャラがイケメン俳優なので「忠臣蔵ビギナー」の女子でも感情移入しやすいらしく、「あかまきがみあおまきがみ、あさのたくみのかみー!」と空を飛んで現れるフザケタ内匠頭でも、切腹となればちゃんと涙を誘うのだ。

これは、かわいい内匠頭がいじめられ、孤立することで観客が自然に同情できるから起こる、「大事なからくり」であります。

登場人物に感情移入をさせるために、印象的なキャスティングをするのは昭和時代は常識だった。だから自然にオールスターになったんだと思う。

今回の観客は四十七士を知らなくても役者の顔ぶれはテレビでおなじみなので(<たぶん。テレビのレギュラーがそのまま出てると見込んでそう言いました)、その彼らがどういう目にあってるかを見て、自然になにかを感じてくれればしゃっちょこばらずに忠臣蔵のアウトラインが把握できる。


歌や踊りの中には本筋から大脱線してふざける事もあり浪士数人が「なぜおれたち ここで歌ってる 踊りもホントは必要ない」という歌詞には笑わせられ、イギリスの円卓の騎士のブロードウェイコメディミュージカル「スパマロット」を彷彿とさせた。

斬られた不破の倒れて動かなくなった姿を悔やむ安兵衛に「や、しんでないけど」とムックリ起きて場の空気を変えるギャグも「スパマロット」的で、事によると脚本家はモンティ・パイソンが好きかも?(註:2011.12.24現在。ここで言う「スパマロット」はあくまでブロードウェイで観たティム・カリー主演のオリジナル版の内容をもとに記述しております。)

宝塚も四谷怪談も「仁〜JIN〜」も登場するが全体がソレを赦す空気に仕上がっており、仁と一緒にタイムスリップした龍馬が討ち入りの時に装束の雁木模様を見て「新選組だ!」と困惑するワルノリなんかも笑わせる。


第2部は宝塚よろしくレビューとなっているが、コレもふざけており、既存の歌手をもじったヘンなユニットが次々に登場するが、歌詞がしっかりしており(戦国鍋のパロディユニットはいつもそうである)、松乃廊下走り隊7(<元ネタはAKBの派生ユニット 渡り廊下走り隊7)のパロディソング「キラ☆キラ KIRA Killers」は、ギャグを超えて殿の無念と討ち入りの決意を歌上げてちょっとジワッと来ました。

ヤスベエ&グンベエ(チャゲ&飛鳥のパロディ)の「同志を集めてヤツを討ちに行こうか」という迫力あるライブもかっこよく、客席の振る色とりどりのサイリウムがきれいで、鳥肌が立ちっぱなしだった。

かえすがえすも、「忠臣蔵」でこのノリはすばらしすぎる。


最後に、あたしがブログに書いた感想にファンの方から喜ばれた一節を加筆>このプロジェクトはツアーを組んで、ファンと役者が赤穂にも出向いておりまして、はとバスツアーもして、泉岳寺や江戸城跡や吉良邸跡にも行ってる。そういうスタッフの姿勢がなんだかとっても正しい!!


キムタク版のなし得なかった、「イケメン忠臣蔵」は遂にここに実現したのであり、快挙であります。


AKR四十七について

『戦国鍋TV』では、このライブイベント『大江戸鍋』のあと、AKR四十七(えーけーあーるしじゅうなな)という人気(架空)アイドルが2012年に誕生した。

そもそも『大江戸鍋』の前にも、歌謡バラエティのコントで「討ちたかった」という歌を歌うとするAKR47というアイドルユニットが台詞でのみ存在していた。

忠臣蔵ファンとしてはその具体化を楽しみにしていたが、戦国時代を主に取り扱う番組なので半ば諦めていた。それが突然AKR四十七というカタチでそれは実現する(その時に歌ったのは「討ちたいんだ」で、これは2曲目という設定。デビューシングルが「討ちたかった」とされ、歌詞やメロディはほぼ一緒ってハナシだw。)。

なにより、番組ではほかに五大老とか利休七哲がモチーフになったユニットも出てくる(モチーフにしているアーチストはさまざま)のに、AKR四十七の人気はほかより高めである。

メンバーは「くらら」「やすす」などと本物のアイドルのように愛称で親しまれ(てる設定)、集まって交わす会話は赤穂事件をベースにしたものである。

前進ネタのAKR47には触れず。『大江戸鍋』ともキャスティングが違い、派生ユニットも「松乃廊下走り隊」ではなく、「表門から入り隊」と 「裏門から入り隊」だったりして、まったく新しいアプローチをしている。

イケメンぞろいの神セブン(くららちからやすすげんごそうえもんげんごえもんキンキン)がメディア選抜だが、放送回を重ね吉良上野介がフィーチャリングされたり(名前がAKR四十七フィーチャリング吉良に変わる)、2012年秋の横浜のライブ「戦国鍋ホトトギスLive」ではメンバーが3人増え新曲の「ゲンロク・アコージケン」(「ヘビーローテーション」のオマージュ)を披露した。女子のファンの「ジョメイ!シザイ!セップク!」というコールが楽しい。


明治座祭10周年記念特別公演「忠臣蔵 討入・る祭」

上記「大江戸鍋祭」を制作した、る・ひまわりが、2020年に明治座で打った公演。忠臣蔵の要素がいくらかモチーフになっている。

もりいくすおは未見だが、忠臣蔵友だちのサイトに詳しいレビューが載っています> 「クラマチヤ 作品備忘録」

こちらによれば、もはや忠臣蔵や元禄時代に、そうガッツリとこだわるかんじでもなく、公演当時の流行りものをふんだんに取り入れた、そうとう自由な内容になっていたらしい。

以前こそテレビ番組の派生要素があったんで、忠臣蔵や歴史についての要素の配慮を重く見ていたが、あれからこっち、鍋がどうこうというより「るひまファン」向けなおもしろ舞台(大江戸鍋以降の「祭りシリーズ」には定評がある)としての成立を制作側は心がけている印象。