大江戸鍋祭〜あんまりはしゃぎ過ぎると討たれちゃうよ〜

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2011年12月24日 (土) 02:06時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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作品概要
制作会社 る・ひまわり
公開年度 2011年
内蔵助役 大和田獏
評価 4ツ星


ローカル局で人気の『戦国鍋TV~なんとなく歴史が学べる映像~』のライブ版。

ふだん、この番組は有名、無名にかかわらず戦国時代にまつわる日本史上のキャラをモチーフに、実話ととんでもないシチュエーションを絡めて、ときには「刑事部屋」ときには「キャバクラ」ときには「学校の保健室」etc..などを舞台におバカをくりひろげるコントバラエティ。

出演者が若いイケメン役者ばかりだというのが特徴で、自然に視聴者に女性ファンがついた。

そのライブ版として2011年の暮れに明治座で忠臣蔵を扱った。


「戦国鍋TV」が、いつも武将のプロフィールを調べ上げた上で上手に遊ぶ、安心して見られるおもしろ番組なので、今回は忠臣蔵でどう遊んでくれるのか期待して出掛けたが、見事にその期待に応えてくれ、観客(ほぼ97%くらいが女性客)のノリもよかった。

歌アリ、笑いアリ、歴史アリ、徹頭徹尾、観客を楽しませようという精神に満ち満ちて、居心地がいい。

テレビと違って出演者に女子がまったく居ないにもかかわらず、なんと華やかなことか。


ともかく、内容もさることながら、忠臣蔵にこれだけの女子が詰めかける(最終的にどれだけ詰めかけたのは知りませんが、ともかく満員御礼だった)と言うことが、忠臣蔵を布教したいわたしにとっては大喝采をしたいのであります。


物語はオリジナルの忠臣蔵をコミカルに構成し直してるので、純粋には" 例の忠臣蔵物語 "とは言えず、ツッコミどころも無いわけではなく、うるさがたにとっては好き嫌いが別れそうなところであり、諸先輩方からは「コレの一体どこが?」と食いつかれることもあるかもで、ちょっとそこらへんが星5つじゃない遠慮部分なんですが、ま、「この分野」を見事に確立しており、総合的なサービスの質を考えるとたいへんにバランスのいいパッケージに仕上がっている。


とにかく、大和田獏や数人のコメディリリーフを除いては(除いてすいません)、全キャラがイケメン俳優なので「忠臣蔵ビギナー」の女子でも感情移入しやすいらしく、「あかまきがみあおまきがみ、あさのたくみのかみー!」と空を飛んで現れるフザケタ内匠頭の切腹でも、ちゃんと涙を誘うのだ。

これは、かわいい内匠頭がいじめられ、孤立することで観客が自然に同情できるから起こる、「大事なからくり」であります。

登場人物に感情移入をさせるために、印象的なキャスティングをするのは昭和時代は常識だった。だから自然にオールスターになったんだと思う。

今回の観客は四十七士を知らなくても役者の顔ぶれはテレビおなじみなので(<たぶん、ね。テレビのレギュラーがそのまま出てると見込んでそういいました)、その彼らがどういう目にあってるかを見て、自然になにかを感じてくれればしゃっちょこばらずに忠臣蔵のガイドラインが把握できる。


歌や踊りの中には本筋から大脱線してふざける事もあり浪士数人が「なぜおれたち ここで歌ってる 踊りもホントは必要ない」という歌詞には笑わせられ、イギリスの円卓の騎士のブロードウェイコメディミュージカル「スパマロット」を彷彿とさせた。(斬られた不破の倒れて動かなくなった姿を悔やむ安兵衛に「や、しんでないけど」とムックリ起きて場の空気を変えるギャグも「スパマロット」的で、事によると脚本家はモンティ・パイソンが好きかも?)

宝塚も四谷怪談も「仁〜JIN〜」も登場するが全体がソレを赦す空気に仕上がっており、仁と一緒にタイムスリップした龍馬が討ち入りの時に装束の雁木模様を見て「新選組だ!」と困惑するワルノリなんかも笑わせる。


後半は宝塚よろしくレビューとなっているが、コレもふざけており、既存の歌手をもじったヘンなユニットが次々に登場するが、コレも歌詞がしっかりしており(戦国鍋のパロディユニットはいつもそうである)、松乃廊下走り隊7(<元ネタはAKBの派生ユニット 渡り廊下走り隊7)のパロディソング「キラ☆キラ KIRA Killers」は、ギャグを超えて殿の無念と討ち入りの決意を歌上げてちょっとジワッと来ました。

ヤスベエ&グンベエ(チャゲ&飛鳥のパロディ)の「同志を集めてヤツを討ちに行こうか」という迫力あるライブもかっこよく、客席の振る色とりどりのサイリウムがきれいで、鳥肌が立ちっぱなしだった。

かえすがえすも、「忠臣蔵」でこのノリはすばらしすぎる。


キムタク版のなし得なかった、「イケメン忠臣蔵」は遂にここに実現したのであり、快挙であります。