女と男の忠臣蔵

平成元年、テレビドラマが元気な頃に3週連続で放送された忠臣蔵のスピンオフシリーズ。

1&3と、2の監督や脚本、役者が違う。

各々は星ふたつの無難な出来映えだが、総合的には星三つあげていいような好企画。

コンパクトに心地よくまとめられている。最後の1本が惜しくも足を引っ張る。


劇伴は3作品共に大好きな大野克夫なのだが、どうも『太陽にほえろ!』や『寺内貫太郎一家』の頃の冴えがない。電子音楽に挑戦しているが慣れてないかんじ??プレステ出たての頃のゲーム音楽みたいな感じ。


討入りそば屋の一番手柄 無辺流畳返し!!

作品概要
制作会社 テレビ朝日
公開年度 1989年
内蔵助役 高橋英樹
評価 2ツ星


杉野十平次の話。

血槍無双」のリメイク。

小国英雄の脚本をかなり忠実になぞり、おまけに十平次を演じる堤大二郎には大川橋蔵のナヨッとしたところを受け継がせている。

とはいえ、配役がイイのか悪いのかよくわかんないかんじで、肝心な俵星玄蕃が林隆三という「無難」ぶり。

むしろ大石をやってる高橋英樹さんが玄蕃でもよかったのでは?と思った。

阿藤〜なんだかな〜快が堀部安兵衛というのも、謎。根が腰が低い方なので「安兵衛」の重いバックグラウンドが演技に反映されていない。

それでも好印象な出来映え。


討入り前夜、涙の祝言!

作品概要
制作会社 テレビ朝日
公開年度 1989年
内蔵助役 田村高廣
評価 2ツ星


高田郡兵衛の話。

"いつもの"縁談の逸話にオリジナルストーリーを加えている。

郡兵衛(奥田瑛二)の奥さんになるヒトが一緒に死ぬ覚悟でサポートしようとするかいがいしさに討たれ、もう安兵衛(若林豪)が結婚を勧めちゃう。

であるからして、本作の郡兵衛はみんなから面罵されたりガン無視されるキャラではなくなっている。

「女と男の忠臣蔵」というマトメ方なのでしょうがないのかな。

祝言の夜に討ち入りというのは講談に似ている。

演出がもたついて見えるわりには退屈しない、不思議な完成度。


討入り絵図面 別れ酒

作品概要
制作会社 テレビ朝日
公開年度 1989年
内蔵助役 高橋英樹
評価 1ツ星


神崎与五郎の話。

タイトルに「絵図面」とあるから岡野金右衛門の話かというとそうではなく、神崎与五郎(名高達男)がメイン。与五郎がメインだから東下り&堪忍袋があるかというとコレも無い。なにを見込まれたのか江戸でひとり、吉良邸の内部を探り絵図面を作れという任が下って討ち入りの命運をまかされ苦労している与五郎の話。

ある日屋敷奉公を逃亡したゆきづりの女・おせん(有森也実)が与五郎の長屋に居着いちゃって女房きどり。家を追い出されると急に夜の女に身を持ち崩す。

与五郎は岡野(与五郎を尊敬している。坂上忍)から吉良邸のリフォームを手がけた大工の情報を聞き、泥棒に入るが失敗。偶然かくまってくれたおせんとセックス。セキュリティが強化されたであろう絵図面は岡野がふわっと調達してきて与五郎の手柄にしてやる。

主役の与五郎に良い所が一つもない。無いなら無いで、いっそそういうだめんずキャラとして描けばいいのに、妙にカッコイイ演出にこだわるのでキャラ大ブレ

三話中、この話だけ設定が甘く、どこを見せ場にしたいのかも不明瞭で、構成ももうひとつ。新しい設定を持ってくることでおなじみのファンを振っておいて、かといって新しいファンを生むほどの魅力を持たない。

エンドロール見てたら原作「海音寺潮五郎 赤穂浪士伝」ですって!?原作あるのぉ??



全然関係ない話だが、同年、花王名人劇場で東西のコメディアン(芦屋雁之助や由利徹、関敬六)で「爆笑!大忠臣蔵」というのが放送されている。

見た〜い!!

<加筆>2023年9月BSよしもと「花王名人劇場」にて突如放送があった。雁之助兄弟が主体となって東西の舞台慣れしたベテランが鑑賞者の満足の行くオフザケを展開していた。間寛平やぼんちおさむと言ったアラフォーの元気な中堅若手がいる関西に比べて、当時の関東勢がさみしすぎる。