「峠の群像」の版間の差分

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この作品はほかの忠臣蔵をかなりいっぱい見た末に見たが、どうやら四十七士っていうのはクールに描くだけじゃ魅力が発揮されない。どこかお間抜けな部分も併せ持った田舎侍たちが、迷ったり躊躇したりしながら不器用に働き、貧乏生活を元気にやけくそに乗り越え、見事あの大義を全うしたところにものすごさがあるのではないか。
 
この作品はほかの忠臣蔵をかなりいっぱい見た末に見たが、どうやら四十七士っていうのはクールに描くだけじゃ魅力が発揮されない。どこかお間抜けな部分も併せ持った田舎侍たちが、迷ったり躊躇したりしながら不器用に働き、貧乏生活を元気にやけくそに乗り越え、見事あの大義を全うしたところにものすごさがあるのではないか。
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ただ、総集編には入ってなかったが、山科閑居で内蔵助が瓦版売りに囲み取材みたいなことを受けるシーンがあったりなど、コミカルなところも大いにあったようです。
  
  

2009年4月2日 (木) 01:54時点における版

作品概要
制作会社 NHK
公開年度 1982年
内蔵助役 緒形拳
評価 2ツ星
役者絵:郷ひろみ

「わしが迷っていてなぜ悪いのかぁっ!」

堺屋太一原作

ストーリーは「倒産後も経営存続できますか?」という点が大きく取り上げられている。

松の廊下事件までの経緯が非常に印象的。これまでのマジメで病弱な浅野内匠頭像とうってかわって、隆大介の浅野は骨太で、何年も前から塩のことなどで吉良(伊丹十三)と正面からやりあって折り合いが悪く、空気が悪い。いつ刃傷沙汰になってもおかしくないかんじで自然に「ケンカ」がもりあがっていく。浅野の「短慮」ぶりが最も上手に演出されてるドラマではなかろうか。

大河ドラマ(連続ドラマ)は総集編で見るとどうしてもリズムが独特になってしまうので、作品の善し悪しの判断がつきにくいが、それにしてもこの作品、残念ながら一本調子で抑揚がなく、そのムードが首尾一貫しており、キャラも豊かに膨らんでいない。

浅野と吉良の喧嘩シーンがリアルだったまでは良かったが、以降一定のテンションなのだ。暗く重苦しい画作りの中で、みんなが無表情で思案し、悩み、相談かもめごとを繰り返すばかり。そしてときどき怒鳴る。

しかし、この「もっとも暗い忠臣蔵」は、当時としてはかなり斬新なアプローチだったのではなかろうか。これまでは絢爛な画作りがスタンダードだったわけだが、わざと人間臭くとらえた演出は、お茶の間にはリアルに写ったかもしれない。リアリティを追求したら肝心な「面白味」が欠落した。

あるいはこれ、イケメン忠臣蔵をめざしたのかも!?なにしろ放送当時を知る何人かの友人によれば小林薫演じる不破数右衛門の人気は尋常じゃなかったそうである。それこそ「不破サマ〜」と。そう言われてみれば当時のジャニーズアイドルがいっぱい出ている(よっちゃんとかニッキとかヤックンとか2番手ばかりだが)。総集編を見るかぎり郷ひろみがわりと物語の中心にいるし。マツケンも準主役級だし…。ああ、かっこつけたクールな感じでまとめようとしたから、暗くて平坦な感じになっちゃったのかなあ。女性が見たらこの総集編も違って見えるかもです。

平坦なキャラの中にあって、ラッキー7の関武志(大石の家僕役)が救い。なんにもしないが、彼は存在感だけでホッとさせてくれる。

役者っぷりがいいのは吉良の伊丹十三。ズバ抜けて魅力的であります。

この作品はほかの忠臣蔵をかなりいっぱい見た末に見たが、どうやら四十七士っていうのはクールに描くだけじゃ魅力が発揮されない。どこかお間抜けな部分も併せ持った田舎侍たちが、迷ったり躊躇したりしながら不器用に働き、貧乏生活を元気にやけくそに乗り越え、見事あの大義を全うしたところにものすごさがあるのではないか。

ただ、総集編には入ってなかったが、山科閑居で内蔵助が瓦版売りに囲み取材みたいなことを受けるシーンがあったりなど、コミカルなところも大いにあったようです。


ちなみに、当時の制作発表の時にプロデューサーが「史実に忠実な、実態に近い作品にする」と言ったらしいのだが、フタを開けてみたら内容はその筋の人から見ると相当ヤバかったらしく、あるオーソリティーの先生は放送終了後10年以上も後に発行された著書(*1)でわざわざ蒸し返し、1章まるまる「あの峠の群像なんてちっとも忠実ではない」という検証に当てているほどである。そういうのがこわいんでこのサイトはもう、アッチコッチに「講談本がソースです」と書きまくりましたw。

*1…飯尾精氏著「異議あり忠臣蔵」


峠の群像 [DVD]

緒形拳 出演, 松平健 出演