「年末時代劇スペシャル 忠臣蔵」の版間の差分

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{{Cinema|制作=日本テレビ|公開=1985|内蔵助=里見浩太朗|星=4|=}}
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ひじょうにわかりやすい。定番のTVサイズのお茶の間時代劇。もしかするとビギナー向けナンバー・ワン。
! 制作会社
 
| 日本テレビ
 
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! 公開年度
 
| 1985年
 
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! 内蔵助役
 
| 里見浩太朗
 
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! 評価
 
| ★★★
 
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ひじょうにわかりやすい。定番のTVサイズのお茶の間時代劇。
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当時、「五稜郭」とか「白虎隊」「田原坂」と里見浩太朗主演で毎年やってた最初の1本(だと思う)。
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アングルやカット割り、もしくは無言の表情や間合いで人物の感情を表現するというよりは、キャラに何かよけいなことをさせて状況をわかりやすく伝えようとするシーンが多いのが特徴。
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たとえば大評定の前に[[大石内蔵助|内蔵助]]はひとり土蔵の中にこもって殿の形見の火事装束と向かい合って「殿!それがしは一体どうすれば!?」とブツブツやってたり、[[垣見五郎兵衛]]との会見も、垣見は白紙の目録を見るだけでなく荷物も開けるし、ふすまの向こうの浪士達に挨拶しちゃう。[[赤埴源蔵]]は義姉の部屋の前までドカドカ入って来てしまうし、羽織相手の会話も口数が多い。などなどちょっと'''わびさびに欠ける'''。
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あと、な〜んか、カメラ割りが安いというか、へんなドアップが多く、明らかにルーズで撮ったほうが良さげなカットが散見。あわてて作ったのか、どっか粗い。
  
当時、「五稜郭」とか「白虎隊」「田原坂」と里見浩太朗主演で毎年やってた最初の1本(だと思う)。
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(能村康一氏「実録テレビ時代劇史」によると、最初1年の連ドラのはずだったのが「紅白の裏の特番」とされてスタッフは相当ガッカリしたというから、どこか捨て鉢になっていたかもである。)
  
アングルやカット割り、もしくは無言の表情のアップや間合いで人物の感情を表現するというよりは、キャラに何かよけいなことをさせて状況をわかりやすく伝えようとするシーンが多いのが特徴。
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上記のセンスや時折入ってくる堀内孝雄さんの主題歌のかもす雰囲気など全体ははなはだ垢抜けないかんじだが、それでも意外にもこの「ゆるさ」「野暮ったさ」がお茶の間に受け入れられてか視聴率がたいへん健闘し、いまだに人気が高い。同世代で'''この作品がキッカケで忠臣蔵のファンになったという人がすごく多い'''。たしかに無駄が無く、たくさん忠臣蔵を見たあとにあらためて見ると、セリフに印象的なものも多く構成力が実にそつがない。
  
たとえば大評定の前に内蔵助はひとり土蔵の中にこもって殿の形見の火事装束と向かい合って「殿!それがしは一体どうすれば!?」とブツブツやってたり、垣見五郎兵衛との会見も、垣見は白紙の目録を見るだけでなく荷物も明けるし、ふすまの向こうの浪士達に挨拶しちゃう。赤埴源蔵は義姉の部屋の前までドカドカ入って来てしまうし、羽織相手の会話も口数が多い。などなどちょっとわびさびに欠ける。
 
  
あと、な〜んか、カメラ割りが安いというか、へんなアップが多く、明らかにルーズで撮ったほうが良さげなアップが散見。意外にもこの「ゆるさ」がお茶の間に受け入れられてか、いまだに人気が高い。
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ほかではあんまり陽のあたらないエピソードや、キャラの相関関係に注目してるのも特徴で、お茶の間の時代劇ファンだけでなく、史実に詳しい人にもいろいろ楽しいようです。
  
とはいえ見た目が安いわりにはすごく小技が効いてて、詳しい人にはいろいろ発見があって楽しい。
 
  
ほかではあんまり陽のあたらないエピソードや、キャラの相関関係に注目してるのも特徴。
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[[吉良上野介]]に対する敬意とも言える「最後」のアレンジ演出(とどめを刺される前に吉良は四十七士の前で能を舞う)は吉良役のモリシゲ自らたっての希望、とワイドショーが言ってたのを放送当時に見た記憶がある気がする。
  
定かではないがリアル・タイムで見た記憶があって、放送当時、吉良上野介に対する敬意とも言える「最後」のアレンジ演出(とどめを刺される前に吉良は四十七士の前で能を舞う)はモリシゲ自らたっての希望、とワイドショーが言ってた気がする。本放送では血のりの代わりに赤いライトで傷口を照らしたモリシゲ吉良の亡骸を俯瞰で撮ったカットがあったようにしてたような…。
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ちなみに、現在に至るまでこのアレンジは、'''賛否両論'''。
  
  
 
話は変わりますが、この頃の若手ってヘッタクソな人多いっすねえ!素人がもてはやされた時代だからかなあ。
 
話は変わりますが、この頃の若手ってヘッタクソな人多いっすねえ!素人がもてはやされた時代だからかなあ。
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== 大石内蔵助〜忠臣蔵備忘録〜 ==
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同じ杉山義法脚本で、セリフや場面の多くがテレビ版とまったく同じ、いわば'''舞台版'''がある。
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新橋演舞場。1997年公開。出演者も何人かシフトしている。TVドラマから12年も経過してるので、ドラマ版でたよりなかった[[矢頭右衛門七]]の新田純一の演技もだいぶ安心して見られるものとなっている。
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里見浩太朗の特別公演で、主役の里見=[[大石内蔵助|大石]]の周辺をクローズアップして物語が展開しているので、家族や遊里のシークエンスがふくらんでおり、[[阿久里/瑤泉院|南部坂]]と討ち入り(といっても雪の舞う中、討ち入り装束で四十七士が並ぶイメージのみ)以外は、松乃廊下を始め、江戸の一切(含:東下り)は出てこない。
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ソフト化されており入手可能。
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[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|1985]]
 
[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|1985]]

2017年4月23日 (日) 18:04時点における版

作品概要
制作会社 日本テレビ
公開年度 1985年
内蔵助役 里見浩太朗
評価 4ツ星
役者絵:狆
役者絵:竜雷太

ひじょうにわかりやすい。定番のTVサイズのお茶の間時代劇。もしかするとビギナー向けナンバー・ワン。

当時、「五稜郭」とか「白虎隊」「田原坂」と里見浩太朗主演で毎年やってた最初の1本(だと思う)。


アングルやカット割り、もしくは無言の表情や間合いで人物の感情を表現するというよりは、キャラに何かよけいなことをさせて状況をわかりやすく伝えようとするシーンが多いのが特徴。

たとえば大評定の前に内蔵助はひとり土蔵の中にこもって殿の形見の火事装束と向かい合って「殿!それがしは一体どうすれば!?」とブツブツやってたり、垣見五郎兵衛との会見も、垣見は白紙の目録を見るだけでなく荷物も開けるし、ふすまの向こうの浪士達に挨拶しちゃう。赤埴源蔵は義姉の部屋の前までドカドカ入って来てしまうし、羽織相手の会話も口数が多い。などなどちょっとわびさびに欠ける

あと、な〜んか、カメラ割りが安いというか、へんなドアップが多く、明らかにルーズで撮ったほうが良さげなカットが散見。あわてて作ったのか、どっか粗い。

(能村康一氏「実録テレビ時代劇史」によると、最初1年の連ドラのはずだったのが「紅白の裏の特番」とされてスタッフは相当ガッカリしたというから、どこか捨て鉢になっていたかもである。)

上記のセンスや時折入ってくる堀内孝雄さんの主題歌のかもす雰囲気など全体ははなはだ垢抜けないかんじだが、それでも意外にもこの「ゆるさ」「野暮ったさ」がお茶の間に受け入れられてか視聴率がたいへん健闘し、いまだに人気が高い。同世代でこの作品がキッカケで忠臣蔵のファンになったという人がすごく多い。たしかに無駄が無く、たくさん忠臣蔵を見たあとにあらためて見ると、セリフに印象的なものも多く構成力が実にそつがない。


ほかではあんまり陽のあたらないエピソードや、キャラの相関関係に注目してるのも特徴で、お茶の間の時代劇ファンだけでなく、史実に詳しい人にもいろいろ楽しいようです。


吉良上野介に対する敬意とも言える「最後」のアレンジ演出(とどめを刺される前に吉良は四十七士の前で能を舞う)は吉良役のモリシゲ自らたっての希望、とワイドショーが言ってたのを放送当時に見た記憶がある気がする。

ちなみに、現在に至るまでこのアレンジは、賛否両論


話は変わりますが、この頃の若手ってヘッタクソな人多いっすねえ!素人がもてはやされた時代だからかなあ。


大石内蔵助〜忠臣蔵備忘録〜

同じ杉山義法脚本で、セリフや場面の多くがテレビ版とまったく同じ、いわば舞台版がある。

新橋演舞場。1997年公開。出演者も何人かシフトしている。TVドラマから12年も経過してるので、ドラマ版でたよりなかった矢頭右衛門七の新田純一の演技もだいぶ安心して見られるものとなっている。

里見浩太朗の特別公演で、主役の里見=大石の周辺をクローズアップして物語が展開しているので、家族や遊里のシークエンスがふくらんでおり、南部坂と討ち入り(といっても雪の舞う中、討ち入り装束で四十七士が並ぶイメージのみ)以外は、松乃廊下を始め、江戸の一切(含:東下り)は出てこない。


ソフト化されており入手可能。


忠臣蔵 [DVD]

里見浩太朗 出演, 森繁久彌 出演