「忠臣蔵・序 ビッグバン/抜刀」の版間の差分

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前回見て「いいな」と思った役者さん([[高野権中納言|大納言安春]]役と、当時の[[多門伝八郎]]=今回は[[堀部安兵衛|安兵衛]]役)の出番が増えてうれしかった。そして、登場人物をすごく整理してある。
 
前回見て「いいな」と思った役者さん([[高野権中納言|大納言安春]]役と、当時の[[多門伝八郎]]=今回は[[堀部安兵衛|安兵衛]]役)の出番が増えてうれしかった。そして、登場人物をすごく整理してある。
  
美術もシンプルで効果的で素敵。
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美術もシンプルで効果的で機能的で素敵。
  
 
衣裳もひじょうに洗練されている。ビジュアル的にいろいろ無駄が無い。
 
衣裳もひじょうに洗練されている。ビジュアル的にいろいろ無駄が無い。
  
先回申し上げたデタラメについては、今回はおおいに遊んでいるかんじで、聞いたこともない赤穂浪士たちの思惑が面白かった。
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先回申し上げたデタラメについては、今回はおおいに遊んでいるかんじで、聞いたこともない赤穂浪士たち(討ち入りにはオリジナリティあふれる言い分があって、先回の心配は払拭された)の思惑が面白かった。<small>(註釈01)</small>
  
 
でも、
 
でも、
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「これは、わかっててあえてふざけているのか。それとも、不勉強でこういうシーンを作っちゃったのか」
 
「これは、わかっててあえてふざけているのか。それとも、不勉強でこういうシーンを作っちゃったのか」
  
と、思ったとき、前回あれだけ気になった「仮名手本忠臣蔵原作」を、またぞろ性懲りもなく、劇場で配ってるチラシでクチにしてた演出家さんのコメントが頭をかすめて、とたんに目の前で繰り広げられてるアレコレががっかりしたものに見えてきて、興ざめしてしまうのであった。<small>(註釈01)</small>
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と、思ったとき、前回あれだけ気になった「仮名手本忠臣蔵原作」を、またぞろ性懲りもなく、今回も劇場で配ってるチラシで演出家さんがクチにしてたのが頭をかすめると、「ああ…テキトーなんだな」と、とたんに目の前で繰り広げられてるアレコレがガッカリなモノに見えてきて、興ざめしてしまうのでありました。<small>(註釈02)</small>
  
どうしてそこばかり気になるかというと、この芝居を「現代日本演劇のルーツ」シリーズの一貫として堂々とリリースしてるからなのであります。
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周囲のディティールがテキトーだから、根幹のデタラメを支え切れず、全体的にタワゴトになった。
  
つまり先回から1年経っても、なんのエクスキューズも無く、シャアシャアと「仮名手本忠臣蔵原作」を言ってしまうという態度は、どうせこんなもんだろうという「ルーツ」や「忠臣蔵劇」に対する軽視か、どうせ客にはわからないだろうという侮辱なのか、いずれにしろひじょうに印象が悪い。
 
  
その非礼を挽回するほどの衝撃は、作品からはひびいてこなかった。
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あたしはひきずったんですね。ともかく。
  
せっかく美味しい寿司をいただいてたのに、大将がチンポジを直して手を洗わないで次のネタを握ってるのを見ちゃった気分である。(手を洗わないのには言い分があるのかもしれないが、それは客にはわからないし、ズボンに手を突っ込んでたのは事実なのだ)
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どうしてそこばかり気になるかというと、この芝居を「現代日本演劇のルーツ」シリーズの一貫として堂々とリリースしてるからなのであります。(別の芝居で文化庁芸術祭賞新人賞をもらったともうたってるのも引きになった。)
  
演出家さんの往生際の悪さを誰も諌めることが出来なかったのかな?と、この団体をとりまく現場全体の限界をそこに見るのであります。
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つまり先回から1年経っても、なんのエクスキューズも無く、シャアシャアと「仮名手本忠臣蔵原作」を言ってしまうという態度は、どうせこんなもんだろうと「ルーツ」や「忠臣蔵劇」を軽視しているのか、どうせ客にはわからないだろうという侮辱なのか、いずれにしろひじょうに印象が悪い。
  
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こう言っちゃ悪いかもだけどコレ、ユーザーに対して、偽装の食品表示ラベル貼る業者と、同じあやまちを犯している。(同時に、過去にこの劇団が上演しているという、カミカケテとかアブラジゴクはちゃんとやってて仮名手本だけがこんななのか、いつもだいたいこんなふうなのかという不信感もつのる。)
  
あとあの〜。デタラメやるにしては持ってきてる反体制的なテーマがちゃんとしすぎ。テーマが硬くて長台詞が多いほど、当時を語る上での相関関係の手薄が目立ってくる。
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その非礼を挽回するほどの衝撃は、作品からは、ひびいてこなかった。
  
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演出家さんの往生際の悪さを誰も諌めることが出来なかった、この団体をとりまく現場全体の限界もそこに見るのであります。(本作が「仮名手本を原作にして創作した脚本家の作品」だとする、責任転嫁みたいな説明がチラシにあるが、脚本家さんは納得づくなのかなあ。作品は、完全な赤穂事件のモジリであって、忠臣蔵要素<small>(註釈03)</small>のチの字も出てこないのだ。)
  
伊丹まで観に行った自分が愛しいので、星2つとさせていただきます。役者さんみんな良かったし。([[大野九郎兵衛]]の人だけ、フワフワっとしていたけど)
 
  
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伊丹までいそいそと観に行った自分が愛しいので、星2つとさせていただきます。役者さんみんな良かったし。([[大野九郎兵衛]]の人だけ、フワフワっとしていたけど。ちなみに九郎兵衛も四十七士。)
  
註釈01…講演を宣伝するネットやチラシからは「仮名手本忠臣蔵」の文字が消えていたのでホッとしてたのに…。つか、俺が「原作」の意味を取り違えているのかなあ。
 
  
あと、これ三部作と言っていましたが、どうやらこれでオワリっぽい。
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註釈01…以下ネタバレ。本作で一番特徴的なのは、討ち入りのあとに上杉が攻めて来れば戦争になるから、それでこの世をまた戦国時代にしようという赤穂浪士の思惑。なかなかよいデタラメだが、構成がいたって堅苦しく、長〜い立ち話と、ありえない相関関係(外様大名が急に吉良クラスの高家衆に配置替えになったり、公家が浪人を遊里で接待したりをギャグじゃなく、やる)のせいで、デタラメのバラエティ性は完全に霞んだ。
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実際は、討ち入り自体が討ち死に覚悟の戦争なんだけど、現代人の後知恵視点で書いてるから、討ち入り成功「確定」前提の上に、この珍作戦が成り立っている。
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註釈02…公演を宣伝するネットやチラシからは「仮名手本忠臣蔵」の文字が消えていたので、ホッとしてたのに…。あたしが「原作」の意味を取り違えているのかなあ。
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つか、あとで気づいたんだけど、こちら劇団のホームページで「近松門左衛門原作」なんて言ってるんで、そもそもコレ、'''熱吹く相手を間違えた'''…。
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註釈03…いわゆるおなじみの名場面アレコレの話。しっかし近頃の芝居や映像作品は、作家の手から手へ渡されてはぐくんだソッチではなく、だれもかれも、とかく赤穂事件をハナから題材にとってどうにかしようとする暴挙が目立つ。
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故人曰く「型を会得した人間がそれを破ることを『型破り』というのであって、型のない人間がそれをやろうとするのは、ただの『かたなし』です。」
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あと、これ三部作と言っていましたが、どうやらこれでオワリっぽいです。
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<附言>脚本くるみざわ しん氏は、この「忠臣蔵・破エートス/死」で、'''令和元年度の文化庁芸術祭の新人賞を受賞'''しています。

2020年6月18日 (木) 14:06時点における版

作品概要
制作会社 エイチエムピー・シアターカンパニー
公開年度 2018年
内蔵助役 はたもとようこ/岸本昌也
評価 2ツ星
チラシ
上演時配布された挨拶文


お芝居はステキだったし、役者さんは良かったし配役もうまくいってる感じ。舞台の見せ方のアイデアも美術構成も好き。

さらにシュルレアリスム的感性(チラシより)の演出もセンスがあり、面白い。そして好み。

ネタバレになるので詳しくは書かないが上演回によって男性演者ばかりの松組と、女性演者ばかりの亀組が舞台と客席を個性的に使いわけて提供してくれる。亀組の舞台(<その二種類を知らずうかつにもあたしは亀組しか観ていないが、両バージョンを見た友人の松組の評判も良かった。)は三つ盛り亀甲型のオブジェひとつだけのセットにプロジェクションマッピングの投影もいい感じにキマってた。

若い頃、演劇実験室 万有引力の芝居とか見に行ってなにを言ってるんだかよくわからなかったが、それも含めてシュルレアリスムの作品世界にはシビレたものだった。だからシュール、好き。

が、

今回はネタが忠臣蔵だけに芝居の一語一句なにを言ってるのか理解できたのがかえって仇となって(?)星が二個になった。大きく以下のふたつのことが気分にまとわりついた。


まず、広告に「仮名手本忠臣蔵を題材に現代演劇として再構成した」とある。

そしてチラシのクレジットにも「原作=竹田出雲・三好松洛・並木千柳」とある。

どぉして、そんな大胆なことを言っちゃったのだろう??だってコレ、ウソなんだもん。(不遜な言い方ですいません。本文は個人の感想につきご容赦を。)

なにしろひとつも仮名手本していない。この文言が出来栄えを台無しにしてる。


かつて噺家の某師匠もやらかしてたが、「お茶の間におなじみの忠臣蔵劇」がなにをベースにしてるかを勘違いしちゃったパターンなのかもしれない。

というのも、チラシで「仮名手本忠臣蔵は(略)映像作品の原作として何度も取り上げられています。」と言っちゃってるし。(※註01)

タイトルに「忠臣蔵」と入ってるから間違える人が少なくないのだが、映像化されてるのは人間ドラマに重点を置いた際立って特徴的な「仮名手本」よりも、事件を脚色した講談の「赤穂義士伝」が圧倒的なのである。


「忠臣蔵・序 ビッグバン/抜刀」のあらすじは(以下、セリフ部分はもりいのアレンジにより不正確御免)…

饗応役を仰せつかった浅野内匠頭が、節約を心がけるように柳沢吉保から言われたので予算170両(<激安!)を30両負けてくれと大納言保春(ほんとは中納言ですな)に直訴(!?)して認めてもらうが、大納言は「浮いた30両でなにして遊ぶんだ?」的なことを指南役の吉良上野介に(なんで?)ネチネチ言うので吉良は「30両は自分で出す!」と憤慨(おやまあ)。吉良は内匠頭に「まったく武士は江戸の生まれにかぎる!泥臭い田舎大名め!」(内匠頭は江戸生まれだけど…)とののしり、キレた内匠頭はひとり「吉良を切って柳沢を切って将軍を切って大納言を切って天皇も切って、自分が天皇になったりして」的なひとりごと(すごい…)を言いだし、手始めに吉良に刃を向けたところを岩村藩藩主(<なぜかコレ再三強調される。ほんとは岩沼藩)田村右京之介(右京大夫?この人だけところどころ架空なのはなにか?)に止められて、柳沢吉保はまったくの独断で将軍に報告もせず内匠頭即日切腹を決定&決行(可能か?)。赤穂の大石内蔵助吉田忠左衛門はある日見た夢告知から、浅野様(と、彼らはそう呼ぶ)が「吉良を切って柳沢を切って将軍を切って大納言を切って天皇も切りたい」と思っていたことを悟る…。(約90分)


というわけで、チラシ上で「原作」にしてると言ってる大序〜四段目の内容はおろかキーパーソンである加古川本蔵おかる勘平も出てこない。ベジャールお気に入りの鷺坂伴内も。

予定する構成を知らないが、左様に重要人物たちが不在となると、この時点で次以降の五、六、七(半分)、八、九段目(仮名手本は全部で十一段。)がことごとく、ナシになることになる。…それで…「原作」?(この芝居は全三部作を予定)


こうして作家さんは、主従のあり方や、幕府と朝廷との関係(<こんなの仮名手本に出てこない。…しつこくてすいません)などを独特オリジナルで築き、尊皇のイメージの赤穂武士に、京都にまで牙を向けさせる。

こんな物騒なありさまで今後討ち入りになっていくとなると、その動機には最近ネットとかでアンチにありがちな「四十七士はテロ」という呼ばわりに歩調を寄せていくんじゃという不安がつのる。


ツッコミどころの多い内容と、広告の間違いというふたつの波が星の数を浸食した。


「デタラメこそがシュールレアリズムなのだ」と言うのなら、それでかまわないと思いますが、ケアレスミスと見分けがつかないデタラメは微妙すぎる。

古典演劇の再構築によって仮名手本要素がゼロになったと言うのなら、結果的に見たこともない構成になってなければ成り立たない。仕上がりは明らかにオーソドックスな忠臣蔵ドラマに近い。

だからたとえば「講談がベース」とうたい、原作=桃川如燕とかにしてたらツッコミどころがうんと減り星ももう1個増えていたかも。どぉして仮名手本だなんて…


ブーブー言ってるわりに星が二個もあるのは、最初に申し上げたように全体の好感度は決して低くないのである。本作は三部作の一作目だそうなのだが第二部、第三部も観ようかなという気持ちは、いまのところ(公演千秋楽鑑賞の2018.7.15現在)、ある。(あとあのー…役者さんにあたしが描いた義士ようかんが差し入れで入ってるご様子だしw<というヒイキ(Togetter調べ))

だから今回にしても、わざわざ伊丹まで鑑賞だけのために東京から出かけた後悔は無い。

とはいえ、こうした不満は時間が経つとどう大きくなるかもわからない。次回のお知らせを見つけた時点で、ふたたび(みたび)伊丹までわざわざ観に行くほど吸引力が続いているのやら、好感度の賞味期限はいまのところ不明。


※註01

もりい個人が300本ほど忠臣蔵ばっかし映像作品やお芝居を見た中では、仮名手本忠臣蔵を映像化したものはほんとに少なく、「大忠臣蔵」(1957)1本くらい。

あえて言うなら「決断の時」(03)…。スピンオフも入れれば「悲恋おかる勘平」(56)も。1%ということですね、だから。

ま、たった3本にせよ「何度も取り上げられてる」には違いない。

(あっあとパロディの「サラリーマン忠臣蔵」も入れれば4回の映像化か。いや、おかる勘平だけピックアップすれば連ドラからもちょっと何本か…まいっか。しつこくてすいません。)



忠臣蔵・破 エートス/死

作品概要
制作会社 エイチエムピー・シアターカンパニー
公開年度 2019年
内蔵助役 高安美帆
評価 2ツ星

と、いうわけで翌年にめでたく公開された、続編を観了。

前回見て「いいな」と思った役者さん(大納言安春役と、当時の多門伝八郎=今回は安兵衛役)の出番が増えてうれしかった。そして、登場人物をすごく整理してある。

美術もシンプルで効果的で機能的で素敵。

衣裳もひじょうに洗練されている。ビジュアル的にいろいろ無駄が無い。

先回申し上げたデタラメについては、今回はおおいに遊んでいるかんじで、聞いたこともない赤穂浪士たち(討ち入りにはオリジナリティあふれる言い分があって、先回の心配は払拭された)の思惑が面白かった。(註釈01)

でも、

たとえば、吉良の後任(?)の戸田忠真(なんで?)が京都御所まで接待役(なんの?)の打ち合わせに出かけるシーン(これが冒頭)を見て、

「これは、わかっててあえてふざけているのか。それとも、不勉強でこういうシーンを作っちゃったのか」

と、思ったとき、前回あれだけ気になった「仮名手本忠臣蔵原作」を、またぞろ性懲りもなく、今回も劇場で配ってるチラシで演出家さんがクチにしてたのが頭をかすめると、「ああ…テキトーなんだな」と、とたんに目の前で繰り広げられてるアレコレがガッカリなモノに見えてきて、興ざめしてしまうのでありました。(註釈02)

周囲のディティールがテキトーだから、根幹のデタラメを支え切れず、全体的にタワゴトになった。


あたしはひきずったんですね。ともかく。

どうしてそこばかり気になるかというと、この芝居を「現代日本演劇のルーツ」シリーズの一貫として堂々とリリースしてるからなのであります。(別の芝居で文化庁芸術祭賞新人賞をもらったともうたってるのも引きになった。)

つまり先回から1年経っても、なんのエクスキューズも無く、シャアシャアと「仮名手本忠臣蔵原作」を言ってしまうという態度は、どうせこんなもんだろうと「ルーツ」や「忠臣蔵劇」を軽視しているのか、どうせ客にはわからないだろうという侮辱なのか、いずれにしろひじょうに印象が悪い。

こう言っちゃ悪いかもだけどコレ、ユーザーに対して、偽装の食品表示ラベル貼る業者と、同じあやまちを犯している。(同時に、過去にこの劇団が上演しているという、カミカケテとかアブラジゴクはちゃんとやってて仮名手本だけがこんななのか、いつもだいたいこんなふうなのかという不信感もつのる。)

その非礼を挽回するほどの衝撃は、作品からは、ひびいてこなかった。

演出家さんの往生際の悪さを誰も諌めることが出来なかった、この団体をとりまく現場全体の限界もそこに見るのであります。(本作が「仮名手本を原作にして創作した脚本家の作品」だとする、責任転嫁みたいな説明がチラシにあるが、脚本家さんは納得づくなのかなあ。作品は、完全な赤穂事件のモジリであって、忠臣蔵要素(註釈03)のチの字も出てこないのだ。)


伊丹までいそいそと観に行った自分が愛しいので、星2つとさせていただきます。役者さんみんな良かったし。(大野九郎兵衛の人だけ、フワフワっとしていたけど。ちなみに九郎兵衛も四十七士。)



註釈01…以下ネタバレ。本作で一番特徴的なのは、討ち入りのあとに上杉が攻めて来れば戦争になるから、それでこの世をまた戦国時代にしようという赤穂浪士の思惑。なかなかよいデタラメだが、構成がいたって堅苦しく、長〜い立ち話と、ありえない相関関係(外様大名が急に吉良クラスの高家衆に配置替えになったり、公家が浪人を遊里で接待したりをギャグじゃなく、やる)のせいで、デタラメのバラエティ性は完全に霞んだ。

実際は、討ち入り自体が討ち死に覚悟の戦争なんだけど、現代人の後知恵視点で書いてるから、討ち入り成功「確定」前提の上に、この珍作戦が成り立っている。


註釈02…公演を宣伝するネットやチラシからは「仮名手本忠臣蔵」の文字が消えていたので、ホッとしてたのに…。あたしが「原作」の意味を取り違えているのかなあ。

つか、あとで気づいたんだけど、こちら劇団のホームページで「近松門左衛門原作」なんて言ってるんで、そもそもコレ、熱吹く相手を間違えた…。


註釈03…いわゆるおなじみの名場面アレコレの話。しっかし近頃の芝居や映像作品は、作家の手から手へ渡されてはぐくんだソッチではなく、だれもかれも、とかく赤穂事件をハナから題材にとってどうにかしようとする暴挙が目立つ。

故人曰く「型を会得した人間がそれを破ることを『型破り』というのであって、型のない人間がそれをやろうとするのは、ただの『かたなし』です。」


あと、これ三部作と言っていましたが、どうやらこれでオワリっぽいです。


<附言>脚本くるみざわ しん氏は、この「忠臣蔵・破エートス/死」で、令和元年度の文化庁芸術祭の新人賞を受賞しています。