忠臣蔵

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2009年12月9日 (水) 17:43時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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作品概要
制作会社 フジテレビ
公開年度 1996年
内蔵助役 北王子欣也
評価 2ツ星
役者絵:平田 満

フジテレビ系列の連続ドラマ。

突飛なアイデアも無く、大胆な演出も無く、スピード感があるわけでもなく、非常に無難に話が進む。可もなく不可もない平均点的な優等生的なオーソドックスな草食系忠臣蔵。エアコンがいい感じに効いてる図書館みたいな印象で、食事中でも療養中でも、いつビデオを再生してもカンにさわらない。

あんまりほめてないように聞こえるかもしれないが、連ドラでこうした「退屈しない」ペース配分は意外にむずかしく、昭和時代の作品にはどこかしら中だるみが出てくるものだが、本作品にはそれが無い。


生き残った浪士、寺坂吉右衛門(ここでは内蔵助の家で完全に下男奉公してる)の回想というかかたちで、彼を全体の語り部に配している。

ビギナーが見ると、「ああ忠臣蔵ってこういう話なのか」と理解しやすい。

細かい表現にしても気を遣ってるようで、あえて畳屋に「殿様が俺たちに頭を下げている」と感動させて、時代劇離れしている視聴者には「全部同じちょんまげ」に見える登場人物の上下関係をはっきり説明したり、「私はなんの苦労もなく育ってきて辛抱なんてしたことがないから、吉良さんのあの態度はつらい」と内匠頭にわざわざ説明的にグチらせるなど、見慣れた忠臣蔵的相関関係に新鮮な空気を取り入れて、新しい世代にもわかりやすくアプローチしており、親切。


本編が「草食系」に仕上がった要素はいろいろ考えられる。まずキャスティング。寺坂の寺尾聰や、このあと何度も内蔵助をやる北王子欣也は後々も評判がいいが、全体的には配役にはあんまり気合いが入っておらず、このドラマでサブに扱われている四十七士はもしも中盤で配役をこっそり取り変えても気づかないような、なんというか、人種的に似た感じのバイプレーヤーが固めている。

浪曲キャラ村上喜剣が登場するのが珍しいが、この乱暴者に佐藤B作を当ててるところを見ても、製作側のセンスがわかる。

ただ、安兵衛の世良公則は彼だけの「高田の馬場」エピソードが用意(*註)されてるのだが、これはほんの少し脂ぎっていた。おじさんの菅野六郎左衛門を竜 雷太がやってるのだが、まさに先輩ゴリさんとボギー刑事がだぶるので「太陽にほえろ!」ファンにはうれしい七曲署な高田の馬場である。※註…スペシャル番組が入った関係で放送予定日がずれ、コレだと討ち入りが1月中旬になっちゃうのでこのエピソードだけ連ドラからはずし、別枠で放送されたとか。

清水一学の隆大介もすごくいいのだが、安兵衛の友達だったときは話せるやつだったのに、吉良側に雇われたとたん情け容赦ない冷酷無比なキャラになってしまってつまんない。

ラスト、上野介の平幹二朗のヅラから地毛みたいのがはみでてるように見えるんだけど、ありゃなんでしょう。

プロデューサー能村庸一氏がスタッフと古い忠臣蔵作品を見てたときの、女性スタッフが「おじいちゃんを、よってたかってかわいそう」とコメントしたことを受け、本作品の吉良は、じゃっかん若い平幹二郎がキャスティングされている。


あと、この作品、そもそも絵ヅラがサラッとしてる。ほとんど同じ脚本の仲代版(脚本家が同じ)と見比べると緊張感がずいぶん違うことがわかる。本作は照明が奧まで行き届いて陰影のコントラストが無く、全体がペールトーンの印象。

そして衣裳に特別な個性がない。江戸でお勤め中の赤穂藩士は、まるで制服のようにおなじ色味でコーディネートされており、元禄っぽくない。

で、実は意外に象徴的なんではないかと思うのがタイトルロゴで、筆文字だが、線が細く、スレンダーなのであります(^∇^; )。


四の五のと申し上げたが、意外にファンが多い作品。