忠臣蔵1/47
作品概要 | |
制作会社 | フジテレビ |
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公開年度 | 2001年 |
内蔵助役 | 佐藤浩市 |
評価 |
主役は木村拓哉の堀部安兵衛。
悪い意味で優等生?的な作品。
「昔はそれで良かったかもしれないけど、現代ではこう演出しないと視聴者に主旨が通じない」的なアレンジには余計なものもあり、それが普遍的な忠臣蔵世界に逆に「安さ」を与えてしまった。「忠節」や「武士道」を欠いた本作のたよりなさは、徒競走を手をつないでゴールさせる運動会(註01)とかに通じる、現代的なやりぞこないを感じさせる。
リメイクで新しいココロミをするときに大事なのは、斬新なことを目指すことよりも、これまで扱われたテーマ性を自分ならどうやって脚色できるか、演出できるか、という地味な作業こそがクリエーターの腕の見せ所だと思う。で、結果、斬新になってる、というカタチが美しい。(<加筆:これ書いた10年後のあたしからヒトコト。自分ならどうやって脚色できるか的なことは、この作品なりにじゅうぶん目指そうとしてると思う。というか、それが企画のスタートな気がする。しかし、いかんせん本作の場合、クリエーター側に時代劇や忠臣蔵に対する愛が感じられない事(&勉強不足)がそもそもアレで、過去のあたしが言うほどややこしい事ともちがう気がします。)
テーマやストーリーをいじくっちゃったりキャラの性格を大胆に壊してしまっては、その題材を取り上げる意味がない。それは「斬新」ではなく「デタラメ」になってしまう。デタラメをやるんだったら笑えたほうがいい。本作は斬新でも笑えるデタラメでもない。(<加筆:これ書いた10年後のあたしからヒトコト。ストーリーやキャラを独自の目線で忠臣蔵劇を面白くしている成功作は少なくない。しかし、いかんせん本作の場合、クリエーター側に時代劇や忠臣蔵に対する愛が(ry。「携帯忠臣蔵」と同じ失敗原因と思う。)
せめて四十七士は、豊かに描いてほしかった。愛してほしかった。
四十七士っていうユニットは、かっこいいのもいれば無骨もいれば粗忽もいろいろいるのだが、本作品にはそういう個性が不在。おかげで全体のムードが「まったいら」。アソビが徹底的に無い。
役者をそろえておきながら、よくもあれだけ極彩色豊かな「忠臣蔵」をこんだけ油を抜いて仕上げられたなと思う。
そもそも「安兵衛」の物語と言えば底抜けに明るく、この街の人気者(あるいは厄介者)は豪胆でありながらユニークなはずなのに、本編ではまるっきりオスマシ&ツツマシヤカ。
元来なら、キムタク(主人公・堀部安兵衛)って人は、ある意味安兵衛像に近いと思う。やるときはやるけど愛嬌たっぷりの人気者だ。たとえば糊屋のばあさんに研ナオコかなんかを当てて「おぃばばぁ!ちょ待ぁてよ!」(註02)ってやってたら、安兵衛のイメージぴったりなのに、そうした役者の持ち味すら、わざわざ全部殺してしまった。(ちなみに糊屋のばばあは本作には出てきません。)
カットにはところどころ印象的なものが、あるにはある。泉岳寺の土産物屋・広瀬商店の若女将さんとこの作品を話題にしたとき、彼女は「キムタクがタクアン食べてましたネ」とだけ感想を言ってたし、私もラストシーンはキライじゃない。なんかしらは残る。
でもせっかく元禄のスターを平成のオールスターがやるんだから、そんな「たくあんを食う」とか「鼻をかむ」とかチョボチョボした名場面(?)じゃあ、いかにせん、もったいなさすぎ。勝負下着ばっかり気合い入れちゃって、中身が伴わない感じである。そう、表向きばかりのスカしたかっこつけがいかにも浅薄。
コレがうまくいってれば、三国志や新撰組にくらべて「萌えキャラ」不在といわれている「忠臣蔵」の面目躍如になり得たと思います。
最初、星一個だったんだけど、何度か見てると、すごくマジメにとりくもうという姿勢が見え隠れいたしまして、どっか憎めないので星二つ。
註01・・・「手をつないでゴールする運動会」というのはメディアが作ったデマとされている。が、ここで伝えたいことに役に立つたとえとして、削除せず残すものであります。
註02・・・言うまでもないがこのホリ(註03)のギャグをそのままやったらいいと言ってるのではない。心意気のハナシであるw。
註03・・・言うまでもないがここで言うホリはものまねタレントのことで、安兵衛の女房のことではない。