「忠臣蔵 花の巻雪の巻」の版間の差分

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2008年9月17日 (水) 18:18時点における版

作品概要
制作会社 東宝
公開年度 1962年
内蔵助役 松本白鴎
評価 5ツ星
役者絵:三船敏郎

娯楽映画を自慢とする、東宝色の強い秀作。東宝ファン向け。

この時代の忠臣蔵映画は、どの映画会社びいきかでじゃっかん評価が決まってしまうところもあると思うが、本作品は若い後輩に見せてもかなりすんなり入っていけたようです。見れば見るほどわかりやすい。必要なカットばかりでまとめられている。

それは明らかに他社と毛色の違う、新しい作り方の「東宝的な」忠臣蔵を作ろうとしてる印象で、それは成功しているように見える。東映が老舗のイタリア料理ならこっちはこしゃくな和風フレンチという感じ。

当時の黒澤映画や社長シリーズや怪獣映画でおなじみの東宝スター勢揃い。んま、それを言うと素晴らしい存在感の主人公・松本白鴎が取ってつけたようなキャスティングに見えなくもないが、この内蔵助はエクセレント。

アプローチも変わってるところがいくつもあって、まずオープニングからしてお公家さんたちの下向途中の宿、という独特な変化球。プロローグを宿屋の主人のモリシゲにさらりと話させている。

その他にも、あまりほかの映画では描かれないシーンがいくつか(赤穂城開城にあたって、戦争になるかもと恐れをなして逃げる民衆のモブシーンなど)あってすごく個性的。

浅野内匠頭は「赤穂の若大将」加山雄三(ちなみに彼をかばう多門伝八郎は若大将のお父さん役・有島一郎)。

浅野内匠頭の武士の一分と吉良上野介の言い分がまことにわかりやすい。東映の橋蔵の内匠頭が孤立無援でイジメに耐えていてすごくかわいそうだったのに対し、若大将は超ナマイキなので、喧嘩っぽさが増長され、刃傷までの行程が自然。同輩の伊達くんが同情してくれてたりするのもいい。人間関係に無理が無く、サムライ言葉も極力現代語にしてる感じで21世紀の人間が見ても共感しやすい。

コミカルな要素もちゃんと入ってるところもエンターテインメントの基本をクリア。スタイリッシュというか都会的と言うか絵柄が清々しくどことなくのびのびしていて品がある。

撞木町で遊びほうける内蔵助のシーンも独特。なにかっつうと「う〜き〜さ〜ま〜、こ〜ち〜ら」って鬼ごっこしかやらない遊興シークエンスを、幇間の三木のり平の踊りや、モノボケ(アイテムを使っての一発芸「見立て」)で色取り、退屈しないのであります。

ラスト、討ち入り前はそば屋で仲間を待つ義士たちのシークエンスにたっぷり時間を取ってるのも特徴。

10ヶ月前に椿三十郎をやった三船敏郎をまたこの映画において俵星玄蕃役で見られるのだから当時のファンは恵まれているなあ。余談だが「ニッポン無責任時代」は同じタイミングで封ぎられてるのでクレージーキャッツの出演は無い。

人気者を無理から総出演させてる割にキャスティングがうまくいっている。ちなみに原節子出演映画の最後の作品でもある(ほとんどアップが無い)。

人気お笑い芸人、脱線トリオが出ているが、すでに八波むと志が由利徹と仲をたがえたあとと見えて場面が別。


萱野三平(現・中村吉右衛門)の最後や「大石東下り」、寺坂吉右衛門の人生などにオリジナルアレンジが加わってるが、これは賛否両論だろうなあ。東宝の持ち味を出すにはこうしたアレンジがよかったのかなあ。

音楽が伊福部昭なんで、討ち入りの時「ゴジラ」と「海底軍艦」を混ぜたような曲が流れるのがおもしろい。

あ、あと、女性のカツラがいちいち元禄っぽいのもビジュアル的に気持ちいい。