忠魂義烈 実録忠臣蔵

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2008年9月30日 (火) 16:46時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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作品概要
制作会社 マキノプロ
公開年度 1928年
内蔵助役 伊井蓉峰
評価 3ツ星


満州事変のちょい前のサイレント映画なんですけど、とにかくいま見るとかわいらしいし、わかりやすいし、ナニもかも好印象なんですよね。

ほかの作品では無い演出も多い。

人工ライトより太陽光の方がいいのか、ロケが意外に多いのがまた画面をのびのびさせている。討ち入りも真っ昼間の外で撮ったりしてるご愛敬もある。大石東下りも屋外。

遊里の庭で大勢の芸者がワーッと集まってくるんでナニが始まるんだろうと思ったらゴロゴロ寝っ転がり始めた。「はてな」と思ってよく見ると人文字で「うきさま」となっていた。このシーン、前後とまったく関連が無く、ただただかわいい(笑)。

いろいろ見たけど、本当の雪のところで討ち入りを撮影してるのはこの映画くらいだなあ。(そうかと思うと雪に見立てた白い布の上を走ってたりもするが)

あまりにも吉良が見つからないんでいったんみんなで差し違えて自害するふりをするというけったいな作戦も出て参ります。

さて、すごく特徴的な残念がございます。

この映画、当時としては破格の制作費で「未曾有の超大作」だったらしいんですが、編集中にマキノ省三監督の自宅から昭和3年3月6日午後6時15分に出火したとかでフィルムの大部分を消失させちゃったんですって。残存ネガを編集して公開されたらしいんですな。火事を出すなよ〜!

内蔵助役の伊井蓉峰という人ともめてたらしいが、この役者、周囲に比べるとものすごいオーバーアクションで、当時にしては珍しく自家用車も持ってた成功者だったらしいんですがとにかく監督の言うことを聞かず、もしかしたら監督は編集中に「これじゃまとまらねえや!」とブチ切れてわざと燃やしたという説もあるようです。

今回見たものは、追加撮影されたマキノ雅弘監督の「間者」という映画(同キャストで追加撮影された作品)をところどころ挿入してつないでるもの。

この映画のスチルを集めた本を見るといろんなおもしろそうなシーンがあるのに、それらが全部無くて、いかにも残念。…遊里に刺客が現れて寺坂吉右衛門(アラカン)が応戦するところとか、大石邸のシークエンスいろいろ<女中が子供とヘン顔対決してる。頭からそば粉だらけでなにやらコミカルそうなくすや。吉良邸に侍女として侵入したが捕まって縛られる速水藤左衛門の娘千賀。見たかったな〜。動いてるところ。