「新春ワイド時代劇 忠臣蔵−決断の時」の版間の差分

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{{Cinema|制作=テレビ東京|公開=2003|内蔵助=中村吉右衛門|星=3|=}}
| colspan="2" align="center" |'''作品概要'''
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[[画像:Honzo.jpg|thumb|役者絵:蟹江敬三]]
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他局の人気ドラマ「鬼平犯科帳」シリーズのレギュラー俳優陣がほとんど出ているという心憎いキャスティングで、鬼平吉右衛門ファンにはうれしい&おもしろい作品。憶測だが[[堀部弥兵衛]]には生前の江戸家猫八(放送当時すでに故人)をキャスティングしたかったのでわ?
! 制作会社
 
| テレビ東京
 
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! 公開年度
 
| 2003年
 
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! 内蔵助役
 
| 中村吉右衛門
 
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! 評価
 
| ★★★
 
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鬼平レギュラー陣がほとんど出てるんで鬼平吉右衛門ファンにはうれしい作品(チャンネル違うのに)。憶測だが[[堀部弥兵衛]]は生前の江戸家猫八(放送当時すでに故人)をキャスティングしたかったのでわ?
 
  
 
ファンとしては中村吉右衛門が「おかしら」なら、次郎長でも新撰組でも見てみたいものだ。
 
ファンとしては中村吉右衛門が「おかしら」なら、次郎長でも新撰組でも見てみたいものだ。
  
それで逆に目につくのが、鬼平レギュラー以外のひととおりのキャスティング。ちょっと独特。四十七士の個性的キャラに、まったく知らない役者さんばかりを当ててる。やはり予算の関係でしょうか。
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それで逆に目につくのが、鬼平レギュラー以外のひととおりのキャスティング。ちょっと独特。四十七士の個性的キャラに、私には(お茶に間には?)まったく馴染みのない役者さんばかりを当ててる。やはり予算の関係でしょうか。
  
 
そういう傾向、ほかのドラマでもしばしば見受けられるが、なにに変えても主要メンバーだけはおカネかけましょうよ。
 
そういう傾向、ほかのドラマでもしばしば見受けられるが、なにに変えても主要メンバーだけはおカネかけましょうよ。
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画作りは近年の忠臣蔵の中では一番美しい。セットなどがぜいたくで、画面も広く映画サイズっぽく撮っている。
 
画作りは近年の忠臣蔵の中では一番美しい。セットなどがぜいたくで、画面も広く映画サイズっぽく撮っている。
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感情の起伏にいちいち音楽がくっついてるのでわかりやすい。
 
感情の起伏にいちいち音楽がくっついてるのでわかりやすい。
  
画がきれいだから12時間ドラマなんでDVDは4枚組だけど、どっから引っ張りだしても気分がいい。
 
  
仮名手本忠臣蔵の人気キャラもいっぱい出てきて結構。とはいえ[[早野勘平]]の死に方は、歌舞伎のオリジナルのままだとあまりに不憫と考えたのか、チャンバラにアレンジしている。
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画がきれいだから12時間ドラマなんでDVDは4枚組だけど、どっから引っ張りだしても気分よく観賞できる。
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仮名手本忠臣蔵の人気キャラもいっぱい出てきて結構。とはいえ[[早野勘平]]の死に方は、歌舞伎のオリジナルのままだとあまりに不憫と考えたのか、[[斧定九郎]]のアジトに単身殴り込みをかけるチャンバラにアレンジしている。
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10年ほど経過してCSで放送(販売されてるDVDよりこっちを録画したほうが画像がよほど綺麗)をあらためて見てみると、忠臣蔵でやってほしいこと、やっておいたほうが良いことがそつなく盛り込まれ、相当好感度の高い作品。
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惜しいのは「おかしみ」がこれっぱかりも無いクソ真面目さ。不破数右衛門だけでも少しコメディリリーフのようにしていたらだいぶ味わいが違っていたのではないか。
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そもそも'''古田脚本は概してユーモア不足'''なのが明らかな欠点。
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さて、ちなみに、東下りの際に垣見五郎兵衛のシーンが無いのは、吉右衛門が「あのエピソードは歌舞伎の勧進帳がオリジナル。わたしは弁慶役者だから遠慮したい。たぶん芝居の際に心が動かない」というようなことを言ったのがきっかけなんだそうです(時代劇専門チャンネルのイベントにて古田求氏ご本人が談話。2009.12.10)。
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そこから推測すると、討ち入りシーンに出てくるおとなりさんが「おなじみ」の[[土屋主税逵直|土屋主税]]じゃなく[[松浦鎮信|松浦候]]なのも、中村吉右衛門家の当たり役(歌舞伎「松浦の太鼓」はお家芸ベスト10)であるからと考えられる。古田氏が気を利かせたのか、吉右衛門がリクエストをしたのか不明だが、鬼平キャストと言い、播磨屋度と言い、本作品はタイトルに「中村吉右衛門の」とカンムリがついててもいいような特徴がそこかしこにちりばめられております。
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余談
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2015年7月現在、バラエティに引っ張りだこの木下ほうかのWikiに本作の[[斧定九郎|定九郎]]を演じた記録が未掲載。
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[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|2003]]
 
[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|2003]]

2020年6月17日 (水) 23:33時点における版

作品概要
制作会社 テレビ東京
公開年度 2003年
内蔵助役 中村吉右衛門
評価 3ツ星
役者絵:蟹江敬三

他局の人気ドラマ「鬼平犯科帳」シリーズのレギュラー俳優陣がほとんど出ているという心憎いキャスティングで、鬼平吉右衛門ファンにはうれしい&おもしろい作品。憶測だが堀部弥兵衛には生前の江戸家猫八(放送当時すでに故人)をキャスティングしたかったのでわ?

ファンとしては中村吉右衛門が「おかしら」なら、次郎長でも新撰組でも見てみたいものだ。

それで逆に目につくのが、鬼平レギュラー以外のひととおりのキャスティング。ちょっと独特。四十七士の個性的キャラに、私には(お茶に間には?)まったく馴染みのない役者さんばかりを当ててる。やはり予算の関係でしょうか。

そういう傾向、ほかのドラマでもしばしば見受けられるが、なにに変えても主要メンバーだけはおカネかけましょうよ。


画作りは近年の忠臣蔵の中では一番美しい。セットなどがぜいたくで、画面も広く映画サイズっぽく撮っている。


感情の起伏にいちいち音楽がくっついてるのでわかりやすい。


画がきれいだから12時間ドラマなんでDVDは4枚組だけど、どっから引っ張りだしても気分よく観賞できる。


仮名手本忠臣蔵の人気キャラもいっぱい出てきて結構。とはいえ早野勘平の死に方は、歌舞伎のオリジナルのままだとあまりに不憫と考えたのか、斧定九郎のアジトに単身殴り込みをかけるチャンバラにアレンジしている。


10年ほど経過してCSで放送(販売されてるDVDよりこっちを録画したほうが画像がよほど綺麗)をあらためて見てみると、忠臣蔵でやってほしいこと、やっておいたほうが良いことがそつなく盛り込まれ、相当好感度の高い作品。

惜しいのは「おかしみ」がこれっぱかりも無いクソ真面目さ。不破数右衛門だけでも少しコメディリリーフのようにしていたらだいぶ味わいが違っていたのではないか。

そもそも古田脚本は概してユーモア不足なのが明らかな欠点。


さて、ちなみに、東下りの際に垣見五郎兵衛のシーンが無いのは、吉右衛門が「あのエピソードは歌舞伎の勧進帳がオリジナル。わたしは弁慶役者だから遠慮したい。たぶん芝居の際に心が動かない」というようなことを言ったのがきっかけなんだそうです(時代劇専門チャンネルのイベントにて古田求氏ご本人が談話。2009.12.10)。

そこから推測すると、討ち入りシーンに出てくるおとなりさんが「おなじみ」の土屋主税じゃなく松浦候なのも、中村吉右衛門家の当たり役(歌舞伎「松浦の太鼓」はお家芸ベスト10)であるからと考えられる。古田氏が気を利かせたのか、吉右衛門がリクエストをしたのか不明だが、鬼平キャストと言い、播磨屋度と言い、本作品はタイトルに「中村吉右衛門の」とカンムリがついててもいいような特徴がそこかしこにちりばめられております。


余談

2015年7月現在、バラエティに引っ張りだこの木下ほうかのWikiに本作の定九郎を演じた記録が未掲載。