「最後の忠臣蔵(明治座)」の版間の差分

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(ページの作成: {{Cinema|制作=明治座舞台|公開=2009|内蔵助=西郷輝彦|星=2|頃=}} この話は討ち入りのあとに身分の低い足軽・寺坂が密命を受け、かいが…)
 
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この話は討ち入りのあとに身分の低い足軽・寺坂が密命を受け、かいがいしく諸国を奔走し、うろちょろすることで、本人のあずかりしらぬところで政治をも動かしてしまう妙が痛快で、しかしそのいっぽうで彼はプライベートは台無しにしてしまうという皮肉もあり、色とりどりの見所があるのだが、テレビドラマと違って舞台ではどうしても主役の中村梅雀を中心に構成するので、処分に手をこまねいてうろたえている幕閣の描写が出てくるわけでも無く、江戸では今こうだ、京都ではこうだ、という事情なんかも、そのすべてが「うわさ話」として処理されるので、おそらくこの商業演劇を見に来てるおばさんとかは面白味を理解出来てないんじゃないかと思う。
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この話は討ち入りのあとに身分の低い足軽・[[寺坂吉右衛門]]が密命を受け、かいがいしく諸国を奔走し、うろちょろすることで、本人のあずかりしらぬところで政治をも動かしてしまう妙が痛快で、しかしそのいっぽうで彼はプライベートは台無しにしてしまうという皮肉もあり、色とりどりの見所があるのだが、テレビドラマと違って舞台ではどうしても主役の中村梅雀を中心に構成するので、処分に手をこまねいてうろたえている幕閣の描写が出てくるわけでも無く、江戸では今こうだ、京都ではこうだ、という事情やなんかも、そのすべてが「うわさ話」として処理されるので、おそらくこの商業演劇を見に来てるおばさんとかは面白味を理解出来てないんじゃないかと思う。
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「や、ここは笑うとこじゃなくね?」というところで沸いてる様子を見るにつけ、ついていけなさが想像出来るのだ。
 
「や、ここは笑うとこじゃなくね?」というところで沸いてる様子を見るにつけ、ついていけなさが想像出来るのだ。
  
テレビ版で脚本をやったジェームス三木は印象に残るセリフで伏線を張る。たとえば「お軽は死んだぞ」というセリフがある。「オカル=OKARU」というファクターは忠臣蔵になじみがある人にならもうおなじみである。だから「死んだぞ」というセリフにはちょっとドキッとする。これが後々後半に効いてくるのだ。この舞台はそういう伏線を張ってない(のか、あたしが気づかなかったのか)ので、ほんとうはあとからパンチが効く筈のシーンの印象も薄い。
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テレビ版で脚本をやったジェームス三木は印象に残るセリフで伏線を張る。たとえば「お軽は死んだぞ」というセリフがある。「オカル=OKARU」というファクターは忠臣蔵ファンにはもうおなじみである。だから「死んだぞ」というセリフにはちょっとドキッとする。これが後々後半に効いてくるのだ。この舞台はそういう伏線を張ってない(のか、あたしが気づかなかったのか)ので、ほんとうはあとからパンチが効く筈のシーンの印象も薄い。
  
 
ビジュアル的になにか特出するモノも無いし、どこをよりどころについていったらいいのかがもうひとつハッキリしない。
 
ビジュアル的になにか特出するモノも無いし、どこをよりどころについていったらいいのかがもうひとつハッキリしない。
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ラストがなかなか泣かせる筈だったのに、妙な演出があって茶番になってしまい(ネタバレすると、内蔵助のお化けが出てきちゃう)、一気に冷めた。。こういう演出を納得する観客を相手にするには、それまでの構成が堅すぎる。
 
ラストがなかなか泣かせる筈だったのに、妙な演出があって茶番になってしまい(ネタバレすると、内蔵助のお化けが出てきちゃう)、一気に冷めた。。こういう演出を納得する観客を相手にするには、それまでの構成が堅すぎる。

2010年2月12日 (金) 11:14時点における版

作品概要
制作会社 明治座舞台
公開年度 2009年
内蔵助役 西郷輝彦
評価 2ツ星


この話は討ち入りのあとに身分の低い足軽・寺坂吉右衛門が密命を受け、かいがいしく諸国を奔走し、うろちょろすることで、本人のあずかりしらぬところで政治をも動かしてしまう妙が痛快で、しかしそのいっぽうで彼はプライベートは台無しにしてしまうという皮肉もあり、色とりどりの見所があるのだが、テレビドラマと違って舞台ではどうしても主役の中村梅雀を中心に構成するので、処分に手をこまねいてうろたえている幕閣の描写が出てくるわけでも無く、江戸では今こうだ、京都ではこうだ、という事情やなんかも、そのすべてが「うわさ話」として処理されるので、おそらくこの商業演劇を見に来てるおばさんとかは面白味を理解出来てないんじゃないかと思う。

「や、ここは笑うとこじゃなくね?」というところで沸いてる様子を見るにつけ、ついていけなさが想像出来るのだ。


テレビ版で脚本をやったジェームス三木は印象に残るセリフで伏線を張る。たとえば「お軽は死んだぞ」というセリフがある。「オカル=OKARU」というファクターは忠臣蔵ファンにはもうおなじみである。だから「死んだぞ」というセリフにはちょっとドキッとする。これが後々後半に効いてくるのだ。この舞台はそういう伏線を張ってない(のか、あたしが気づかなかったのか)ので、ほんとうはあとからパンチが効く筈のシーンの印象も薄い。

ビジュアル的になにか特出するモノも無いし、どこをよりどころについていったらいいのかがもうひとつハッキリしない。


ラストがなかなか泣かせる筈だったのに、妙な演出があって茶番になってしまい(ネタバレすると、内蔵助のお化けが出てきちゃう)、一気に冷めた。。こういう演出を納得する観客を相手にするには、それまでの構成が堅すぎる。


公演中、林与一氏が観に行ったあとで「まあ、観に行く人がいるってことはおもしろいと思う人がいるんでしょうからあたしがどうこう言っても…」と渋い談話をしていた。


なんか、一生懸命作っているし、主役をやった中村梅雀さんが好きなのでヒイキで星ふたつ。