梅沢武生劇団の忠臣蔵
作品概要 | |
制作会社 | 梅沢武生劇団 |
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公開年度 | 1990年 |
内蔵助役 | 梅沢富美男 |
評価 |
大衆演劇の梅沢武生劇団が送る、仮名手本忠臣蔵のパロディ。パロディと言っても梅沢武生の作った、おもしろ解釈の書き換え狂言という感じ。浪曲のエッセンスも入っててはなはだ楽しい。
忠臣蔵の題材自体はいろんな方面、分野で素材にされているが、本サイトで取り上げてる作品群を見渡すと、「仮名手本忠臣蔵」を真っ正面からいじるのはこの芝居以外には蜷川幸雄くらい。
蜷川幸雄が「マンマ」やったのに対し、こちらはぶちこわしております。
浅野内匠頭がバカ殿(梅沢富美男得意のアホ芸)で、まるで高校の不良生徒。指南役の吉良上野介(富美男のお兄さん団長・武生)に手を焼かせ(たまに梅沢富美男は兄に対し"だれのおかげで明治座に立てると思ってんだこの糖尿病!"などとアドリブを入れる)、しまいにゃ校内暴力よろしく上野介を斬りつける。
あんなバカに饗応役を申しつけるなんて、藩を取りつぶして領地を没収しようとする幕府の魂胆が見え見えと、上野介は世の退廃を嘆き、自分の命を投げ打つ覚悟で、内匠頭に輪をかけてバカの内蔵助(富美男・二役)に自分への仇討ちをさせようと画策する。
バカの内蔵助についてくる同士がオカマのお軽だけなので、討ち入りメンバーまで吉良が用意し、もう「忠臣吉良」と言って過言ではないこのあべこべ芝居(じゃっかん無理矢理)は上野介の切腹で幕を閉じる。
歌舞伎の演出を下敷きにしているので、あっちこっちの場面で「あの台詞、あの場面がこんなふうに!?」と始終楽しく、演劇に生きる人達の基礎はすごく、フリや所作、台詞がふざけててもキマッているところはさすが。機会があったら生で見たい。