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峠の群像
,編集の要約なし
{{Cinema|制作=NHK|公開=1982|内蔵助=緒形拳|星=25|頃=}}[[画像:Ryu.jpg|thumb|役者絵:隆大介]][[画像:Kataoka2.jpg|thumb|役者絵:郷ひろみ]][[画像:Kira-itami.jpg|thumb|役者絵:伊丹十三]][[画像:Hachisuke.jpg|thumb|役者絵:コントラッキー7関]]
「わしが迷っていてなぜ悪いのかぁっ!」
倒産した浅野の旧臣が新しい会社に拾ってもらうわけだが、一方で別の残党は殺人を計画してるのだから穏やかではない。間に入って文字通り東奔西走する架空の人物・赤穂藩士の石野七郎次(マツケン)がいいアクセントになっている。
彼をまじえたいくつかサイドのラブ・ストーリーにも特徴があり、最終的におさまるべき結論におさまっていく。(女子のキャラがみな素敵。)
== 配役 ==
大河はいい俳優をふんだんに使えるので、この点もよかった。(ンま、決して豪華ではない)
最大の功労者はやはり主人公・内蔵助を演じた緒形拳の演技で、この人はなんの役をやっても緒形拳の顔&演技ではあるが(つまり内蔵助をやるにあたって太ろうとか、そういうデニーロ・アプローチは無い。…と思ったが凶変前の緒方拳は少しふっくらして見える。要確認)、みごとに登場人物になりきれる名優であり、今回も「彼の内蔵助」を完成させている。。
お家大変まではコミカルな要素も多かった昼行灯の彼が、赤穂藩がお取りつぶしとなり、うろたえ、迷いに迷い、耐えに耐える。ノイローゼ気味になったりもするが、討ち入りを決意してからは人相がすっかり変わり、殺人者となる決心が演技に見て取れる。この、うろたえたり、精神状態が不安定になる内蔵助というのは見たことがない。まさに本作の見所である。
意外に印象的だったのが郷ひろみが演じる[[片岡源五右衛門]]で、殿様のそばにずっといただけに吉良を打ちたいという殺意に満ちた妖気が'''人一倍'''で、単独行動の暗殺者を静かに演じきっててヒロミ・ゴーを見直した。
[[原惣右衛門]]をやった矢野宣(「新幹線大爆破」で発狂する商社マンで有名)がたえずトイレを我慢してるような顔つきで内蔵助のそばにいて、なにかというと怒鳴り散らすのがカンにさわったが、実はこれも見事な仕込みで、最終的に討ち入りの時、虚脱状態となっているメンバーの中で彼'''だけ'''が勝ちどきを上げるという徹底したKYキャラに仕上がっており、結果的に好感が持てた。
放送当時を知る何人かの友人によれば小林薫演じる[[不破数右衛門]]の人気は尋常じゃなかったそうである。それこそ「不破サマ〜」と。クールで無骨で愚直で右翼的で不気味な不破は歴代ベスト5に入る出来。
また伊丹十三の吉良も品があり、誤解されやすい人物を見事に作り上げており、現在も「峠」の内容は記憶してないが伊丹はよかった、という人も多い。史実通り隠れてたところから死体で引っ張り出されるシーンが「討ち入り」の是非をなんとなく考え直させる。そういう'''説得力のある死体'''も上手に演じている。
アイドルが花を添えておりジャニーズ勢もたくさん出ている。[[矢頭右衛門七]]のヨッチャンは塩田経営のほうに最初は荷担しており、巻き込まれるように討ち入りメンバーに加盟する。敵方のニッキ=[[清水一学]]は好青年で、[[伊達左京亮]]のヤックンは要領のいい饗応役。どれも斬新な演出だ。三田寛子(=京女。おかる)やキョンキョン(すぐばれる間者)も出ている。
地味な存在だが、つねに弱者の立場の視点でエピソードにかかわってくる中村梅之助演じる近松門左衛門が浪士切腹周辺からグググッとかっこよく、最終的にシンボリックで圧倒的。
== 総集編DVDについて ==
さて、この作品は現在総集編がDVDで見られるが、総集編というのは結局ストーリーをおおざっぱに追うので、はじめ総集編だけしか見てなかったときは感想がまったく違った。
「一本調子で抑揚がなく、キャラも豊かに膨らんでいない。暗く重苦しい画作りの中で、たえずみんなが無表情で思案し、悩み、相談かもめごとを繰り返すばかり。そしてときどき怒鳴る。そんなムードが首尾一貫してる'''もっとも暗い忠臣蔵'''」とまったく逆の酷評をした。
ドラマのおもしろさというのはいろんな肉付けにあるわけで、贅肉をそぎ落としちまってカスカスの総集編なんて作っちゃうと、単に風変わりな作品になってしまう。
思い出を振り返るにはいいが、作品を知るためには総集編などというモノは役に立たない。
== 批判 ==
本作は数ある「忠臣蔵」ものの中でも、史実的にはひじょうにまっとうな再現をしている作品だそうであるが、演出面での現代劇的なアプローチが琴線に触れて、飯尾精氏は「異議あり忠臣蔵」の中で本作をいろいろダメ出しをしている。
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[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|1982]]