茅野和助

むかしの絵葉書。

茅野和助【かやの わすけ】…江戸ネーム富田藤五(医者)。助五郎。俳号「禿峰」


江戸潜伏中は本所相生町で呉服屋「美濃屋善兵衛」の主人。腰の低い人でそろばんも練達してたので、商人に化けたのはちょうどおあつらえ向きだった。(医者だと言ったその舌の根の乾かぬうちに呉服屋と言ってすいません。<講談です)

義理の妹、お雛は柳橋で歌手(唄女)をやって浮かれ客の酒席の相手をしている。サムライ時代の倉橋伝助の彼女だが、吉良家にスカウトされる。「吉良家に行ったらお伽(とぎ)もしなきゃなんない」とへこむ妹に、店の二階で伝助との簡易結婚式の祝言を挙げてやる。講談「金田屋お蘭」


弓の名士で半弓で戦った。

禿峰という雅号も持つ俳人で、えびら(矢を入れる容器)に短歌の書いてある短冊がついていた。

48番目の義士、萱野三平とよく兄弟と間違えられる人(苗字の読みが同じだから)。


討ち入りのあと泉岳寺の修行僧からサインを求められ、一種の和歌と一句の俳諧を書いた。


親の代と自分と、二代にわたってお家断絶を経験しており、5年(4年?)しか内匠頭に使えてない新参。


史実にしろフィクションにしろビックリするくらい逸話がない、逆にその点では抜きんでてるメンバーで、「講談師社会でもこの人の噂はあまりいたしません」だそうです。

あろうことか、芝居の世界でも、義士劇となると「大石内蔵助」は「大星由良之助」。「堀部安兵衛」は「織部安兵衛」などと異名が作られているのに、茅野さんだけは実名だったりいたします。


おそらく、映像作品でもっとも登場頻度が高いのは「ミフネ版」。のちの「はぐれ刑事純情派」の刑事課長役でおなじみの名バイプレーヤー・島田順司氏が演じ、不破数右衛門大石三平などと共に大石内蔵助の身辺で活躍し、講談の「金田屋お蘭」のエピソードもあてがわれている(ほんとは倉橋伝助のハナシ)。


最後の忠臣蔵(映画)」のオープニングで、佐藤浩市演じる寺坂吉右衛門が義士の遺族の援助に全国行脚する締めくくりが、風吹ジュン演じる茅野和助夫人という設定だった。


2015年現在2000万部超えの売上を見せる人気漫画「暗殺教室」(登場人物のほとんどが赤穂事件関係者の苗字)の主役の一人の名前である。


享年37。


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