「赤穂浪士(テレビ朝日)」の版間の差分

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{{Cinema|制作=テレビ朝日|公開=1979|内蔵助=萬屋錦之介|星=4|頃=}}
 
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[[画像:Hayato.jpg|thumb|役者絵:田村正和]]
 
全36回の連続ドラマ
 
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時間も経つしメンバーも多いから、ついつい諸事情やいろんなイデオロギーが出てきたりすると初一念がブレそうになるのだが、このヨロキンの頭領はひじょうに安定感があり、たのもしく、すごい。「これはご公儀に向けての反抗なのだ!」
 
時間も経つしメンバーも多いから、ついつい諸事情やいろんなイデオロギーが出てきたりすると初一念がブレそうになるのだが、このヨロキンの頭領はひじょうに安定感があり、たのもしく、すごい。「これはご公儀に向けての反抗なのだ!」
  
グッと張り詰めていた気持ちが討ち入り成功と共にほうっと、なにかから解き放たれたような気分になる。
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討ち入り成功と共にグッと張り詰めていた気持ちが、ほうっとなにかから解き放たれたような気分になる。
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達成感であろうか。うまい構成。
 
達成感であろうか。うまい構成。
  
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音楽担当が黒沢明と「乱」の時にモメた武満徹で、心に訴えてくるメロディーが印象的。
 
音楽担当が黒沢明と「乱」の時にモメた武満徹で、心に訴えてくるメロディーが印象的。
  
ただ、その音楽をどう当てるかが監督の腕の見せ所なのだが、演出家によってはくりかえし愛のテーマをリフレインで流したりするので「イー!」となってくるときがある。
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ただ、使い勝手が難しい曲調とバリエーションみたいで、「ここにその曲つかう?」みたいなときが、しばしばある。
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小粒でじゅうぶん辛いのでドッサリ入れられると食傷気味になるのだ。
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キャスティングがひじょうにうまくいってるが、豪華というほどではない。
  
  
キャスティングがひじょうにうまくいってるが決して豪華ではない。
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画像:kinnosuke_akorosi.jpg|thumb|放送当時のTVガイドより
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2021年9月21日 (火) 08:28時点における最新版

作品概要
制作会社 テレビ朝日
公開年度 1979年
内蔵助役 萬屋錦之介
評価 4ツ星
役者絵:田村正和

全36回の連続ドラマ


この年はテレビ番組が豊作で「探偵物語」「西部警察」「金八先生」「熱中時代刑事編」「俺たちは天使だ!」「トミーとマツ」「マー姉ちゃん」などが放送中で、めちゃめちゃにぎやか。 なんと12チャンでは「Mr.チョンボ危機乱発(吹き替え版のフォルティタワーズ)」まで放送されていた。そんな時代背景。

(成田三樹夫は探偵物語とこっちの柳沢吉保役の掛け持ちで忙しかったろうなあ)


この大佛次郎(おさらぎじろう)原作の「赤穂浪士」には堀田隼人蜘蛛の陣十郎お仙なる架空のキャラクターが登場し、人気もあるのだが、今回それぞれを演じている田村正和、長門勇、中島ゆたかが見事にハマッており、原作のイメージとひじょうに近い。 とはいえ、同じ原作のほかの作品にも言えることなのだが、この3人の扱いはひじょうにむずかしく、前半こそものすごく魅力的に活躍するのだがラストに近くなるにしたがってコレと言った見せ場が無くなっていき仕舞いには尻切れトンボなフェードアウトになってしまう感じが否めない。本作でもはっきりと赤穂城無血開城から彼らに用が無くなる。これはどうしても途中から赤穂浪士たちにお株を奪われるからしょうがないのだが、クールだったお仙は中盤からおきゃんな感じになったり、最終的に愛におぼれるよろめき風になったり、討ち入りの夜は陣十郎も俵星玄蕃よろしく橋の上で槍の妙技(長門勇の得意芸)を披露したりと、存在感を維持しようという演出の苦慮が見受けられる。


さて本作のヨロキン内蔵助はメンバーに問われれば臆することなく、なんでもはっきりと答えてくれる人物なのだが(たとえば討ち入りは絶対やる、など)、それにしてもなかなか実行に移さず、だ〜いぶ待たされ、また終始能面のように無表情なので、視聴者はじれったい気持ちになり、ついテレビに向かって浪士と一緒に「太夫は何を考えておられるのだ!?」と叫んでしまう。

ちょっとした疑似体験が出来る視聴者参加型忠臣蔵

特に「長いな」と感じるのが前半の開城までなのだが、(10話分ほど赤穂での評定シークエンスが続く)これはやはり前述の3人を活躍させられるのがそこがマストなので、仕方なかったのかなと思った。


敬語でメンバーを説き伏せるヨロキンには説得力があり、なかなか見てる方がちゃんとコントロールされる。 時間も経つしメンバーも多いから、ついつい諸事情やいろんなイデオロギーが出てきたりすると初一念がブレそうになるのだが、このヨロキンの頭領はひじょうに安定感があり、たのもしく、すごい。「これはご公儀に向けての反抗なのだ!」

討ち入り成功と共にグッと張り詰めていた気持ちが、ほうっとなにかから解き放たれたような気分になる。

達成感であろうか。うまい構成。


確実に一歩ずつ展開を進める、堅実で重厚な作品。


音楽担当が黒沢明と「乱」の時にモメた武満徹で、心に訴えてくるメロディーが印象的。

ただ、使い勝手が難しい曲調とバリエーションみたいで、「ここにその曲つかう?」みたいなときが、しばしばある。


キャスティングがひじょうにうまくいってるが、豪華というほどではない。