酔いどれ二刀流

作品概要
制作会社	大映
公開年度	1959年
内蔵助役	−−−
評価

「決闘高田馬場」のアレンジだが、安兵衛のケンカの強いところ、飲んべえなところが上手にまとめて描かれており、コミカルな職人益田喜頓や、いるだけで色っぽい軽業師の若尾文子といった脇役がお互いのキャラを高めあってて、かなりオリジナルなお話が付加されてるにもかかわらず楽しくまとめられており、それでいて、叔父さんの決闘周辺の緊張感はきちんと高められる。

ビギナーが堀部安兵衛像を知ろうとする場合はかなり手頃な作品。

飲んだくれていて、おじさんからの手紙を読まない安兵衛がじれったいし、やっと気づいたときはちゃんと「走れ！安！」っていうキモチになる。

現場に着いたときは「やれやれ！やっちまえ！」と思うし、チャンバラもイイ(黒沢以前の華麗な殺陣)。

決闘のあと、スターダムにのし上がり堀部弥兵衛がしつこくスカウトに来るエピソードもコミカルでおもしろいし、内匠頭が安兵衛をぐでんぐでんにしてから腕試しに襲いかかるのもおもしろい。

長屋暮らしのエピソードがたっぷりしてるから仕官したときの名残惜しさも伝わるし、描かれてはいないがこのあとに畳事件があって、立派になった安兵衛が町に帰ってきて「なんとかしてくれ」って頼んできたら、コレは断れないだろうなあと想像に易い。

とっても長谷川一夫を大事に、魅力的に演出している。

元禄時代なのに益田喜頓が「かんかんのう」を歌ってるのは時代的にへんてこだが、基本的に「元禄」という時代を描くことにはあんまり一生懸命になっていないのでシャレとしてアリ。

しっかし、入江たか子がすげえ美人で、若尾文子がビックリするほどかわいい(26歳だがあどけない)上に色っぽいと来てるんだから、昔の女優さんのポテンシャルってなんだかすげえや。