酔いどれ二刀流

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2012年1月11日 (水) 07:28時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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作品概要
制作会社 大映
公開年度 1954年
内蔵助役 −−−
評価 3ツ星


「決闘高田馬場」のアレンジだが、安兵衛のケンカの強いところ、飲んべえなところが上手にまとめて描かれており、コミカルな職人益田喜頓や、おとなりさんの軽業師の女の子に、いるだけで色っぽい若尾文子といった脇役がお互いのキャラを高めあってて、かなりオリジナルなお話が付加されてるにもかかわらず楽しくまとめられており、それでいて、叔父さんの決闘周辺の緊張感はきちんと高められる。

ビギナーが堀部安兵衛像を知ろうとする場合はかなり手頃な作品。

飲んだくれていて、おじさんからの手紙を読まない安兵衛がじれったいし、やっと気づいたときはちゃんと「走れ!安!」っていうキモチになる。

現場に着いたときは「やっちまえ!」と思うし、チャンバラもイイ(黒沢以前の華麗な殺陣)。

決闘のあと、スターダムにのし上がり堀部弥兵衛がしつこくスカウトに来るエピソードもコミカルでおもしろいし、内匠頭が安兵衛をぐでんぐでんにしてから腕試しに襲いかかるのもおもしろい。*1

めでたく?仕官するところで映画は終わるが、長屋暮らしのエピソードがたっぷりしてるから名残惜しさも伝わる。このあとの畳替え事件を想像すると、立派になった安兵衛が町に帰ってきて「なんとかしてくれ」って頼んできたら、コレは断れないだろうなあとイメージしやすい。

とっても長谷川一夫を大事に、魅力的に演出している

元禄時代なのに益田喜頓が「かんかんのう」を歌ってるのは時代的にへんてこだが、基本的に「元禄」という時代を描くことにはあんまり一生懸命になっていないのでシャレとしてアリ。

しっかし、入江たか子がすげえ美人で、若尾文子がビックリするほどかわいい(26歳だがあどけない)上に色っぽいと来てるんだから、昔の女優さんのポテンシャルってあなどれないっす。


*1 似たシーンが「堀部安兵衛(日活)」にもある。そこでは内匠頭の槍を、「薄桜記」の雷蔵のような寝そべった状態で酔拳なみのかわし技を黒川弥太郎が披露している。で、ややこしいんですが、「薄桜記」はこの作品と同じ森一生監督なんですな。