PARCO歌舞伎 決闘!高田馬場

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2021年6月1日 (火) 09:56時点におけるKusuo (トーク | 投稿記録)による版

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作品概要
制作会社 松竹
公開年度 2006年
内蔵助役 ---
評価 3ツ星


市川染五郎(7th)主演の三谷幸喜、作・演出の舞台。

中山安兵衛を物語るのに必要な要素がちゃんとふくらまされてて、なによりずっと笑いながら見ていられるのはさすが。

キャラクターも豊か。

染五郎がものすごく働いている。

殺陣(たて)も含め、歌舞伎っぽい仕草、言い回し、効果、音曲がたくさんに入ってる上に、早変わり(すごいし、おもしろい)だとか、かわいい動物とか、楽しい演出がふんだん。

いつもは内容で見せる(動かない)イメージの三谷幸喜の舞台だが(個人の感想です)、本作品はばかばかしい仕掛け(せりやブレヒトカーテンなど)もあって、登場人物は舞台狭しと駆け回り、すごくエンターテインメントしている。

「高麗屋!」と声をかけたくなる見せ場もあるが、とりあえずPARCOの客は拍手でたたえている(キャストが歌舞伎役者だけに、ソッチのほうが明るそうな客層に見受けられる。)。


老いも若きも歌舞伎役者(亀治郎2ndとか勘太郎2ndとかすごい若手(当時)メンバー)が自由に演技をふくらませて「歌舞伎」的な要素を入れて工夫しているが、三谷脚本・演出との折衷に違和感が無く、おかげで看板に「歌舞伎」とうたった建前はまっとうされてるし、おもしろいし、結果、いろいろがいい具合に仕上がってる。DVDの副音声コメンタリーを聞くと三谷幸喜もそこらヘンの「専門的」なことは、歌舞伎組にまかせてて満足してる様子。

三谷幸喜がコメンタリーでお気に入りを表明してた、おばあさんウメ役の市村萬次郎(2nd)は、2年後の映画「ザ・マジックアワー」にすごくおいしい役で出てる。

歌舞伎を見たことない人がコレ見て、本家に行ってみようと思ったらそれもいいなあと思います。いい意味で三谷幸喜が助けられてる作品。


ただ、ストーリーはふくらませたぶん、いろいろ余計なものも混ざっており、安兵衛が呑んだくれるきっかけにしても、安兵衛の持ち前を壊してしまってスマートに仕上がってるとは言えないし、長屋の仲間たちにも、本作特有の運命が用意されているが、個人的にはこれも気に入らない。ドラマチックにはなっているが、「おなじみ」の安兵衛物語が好きなものにとっては、この作品の安兵衛は手放しでは受け入れがたいのだ。(こうした芝居に、往々にして言えることなのだが、自分が忠臣蔵ノンケだったらかまわないかも、な、問題。)

また、ロン毛があたりまえの中津川友範がふつうの月代で、村上庄左衛門のほうがロン毛になっちゃってることに違和感があるのだが、これが間違いなのか、早変わりの都合なのかは不明。ともかく、違和感。


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