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役者絵:狆
国芳画:誠忠義士伝より
泉岳寺のお土産
もりい画>義士ようかん


狆【ちん】…お犬様。日本原産の愛玩犬の1品種。元祖・ペット。(昭和に入って外来種と分けるために「犬種」という概念が生まれるまでは「犬は犬」だったそうだが、チンだけは馬、ネコ、のように「ちん」だったとか。)

法の下に大切にされてる動物の代表としてしばしば「忠臣蔵」に登場。

駕篭に乗ってたり、ふかふかの紫色の座布団に座ってたり、将軍の膝の上、柳沢邸、吉良邸などセレブなおうちでうろちょろしてたりする。浪士側のペットとして登場することはまず無い。


大事にされてる象徴として登場するわりには、ぞんざいに扱われることも多く、それでもこの犬の表情からは無意識過剰と言っていいほど、現場への執着が感じられない。

体温調節はうまく行かない犬種なのか、セリフのジャマになるほど喘ぐ呼吸音が速くてうるさいこともしばしば。


赤穂浪士 天の巻・地の巻」ではオープニングに立派な駕籠に乗って登場。堀田隼人におどかされた岡っ引きがぶつかると、駕籠ごとぶったおれるのだが、駕籠は引き戸も掛けすだれみたいなものも無い、スッポンポンな状態なので、狆は横転した駕籠から放り出され、フレームアウトしてよくは見えないが、ことによると下敷きになってるんじゃないかと心配になるようなアクションシーンがある。シーンが変わると上野介の部屋でベロ出してハッハハッハ言いながら鎮座してるが(さっきの狆と同一かは判別不能)、そばでジッと見て一服していた上野介(月形龍之介)に「品はよくないのう。下賤な顔をしておる※註01」と言われている。そのあとでおまんじゅうをもらい「うまいか」と聞かれている。(そしてときどきカメラ目線)

忠臣蔵・女たち・愛」では徳川綱吉役のカツシンと10匹ほど(たぶん最多)がいつも一緒だが、最終的にかんしゃくを起こしたカツシンにだしぬけに棒で何匹かぶっ叩かれており、ビックリして逃げ出すチンや、かすかだが悲鳴も聞こえる。

峠の群像」では柳沢吉保の側室・町子に飼われており、座布団の上でおとなしくしていたチンが足で追い払われそうになるとマジギレして吠えるという、めずらしくくってかかる、いさましい様を見せるものや、ずっとお腹がかゆくて後ろ脚で掻き続けるというチンも登場する。最初1匹の登場だったが放送回を増すごとにチンの数が増えていくのが本作の特徴。

たけしの忠臣蔵」では斬り殺された吉良邸の用人の死体の周囲を何匹かがうろちょろしていた。

瑤泉院の陰謀」では津川雅彦演じる将軍に飼われており、かれのキスの猛攻撃に若干引き気味である。

※以上は各チンの「状態」をレポートしているだけで、本筋にはまったく関係がありません。


近年では、テレビ番組にチンを提供したオーナーがブログで「うちの○○ちゃんが忠臣蔵に出ました!」と報告する傾向がある。

2015年「ラスト・ナイツ」によってついにハリウッドデビューを果たす。ロケ地プラハ(チェコ共和国)で狆を探すのは至難の業だったと監督は語ってくださった。「奇跡的に、一匹だけいたんですよ」


歌川国芳の絵のチンは、勝田新左衛門(勝多真右衛門)の足下にちょろちょろ出てきちゃったようすが描かれている。おみやげ版になるとその絵がじゃっかんデフォルメ加工されて、よりタリラリラーンな顔になっている。(画像)

小説「堀部安兵衛」(池波正太郎)では、城において当番の詰め所で小便をした殿様寵愛のチンをぶん殴って殺したカドで、安兵衛のお父さんは閉門になったとしている。(行為自体は理にかなっていて直接は咎められないので、失火の濡れ衣を着せられた)


※註01…「赤穂浪士 天の巻・地の巻」で脚本を担当している新藤兼人は、23年後のテレビ、ヨロキン版「赤穂浪士」の中でも、このセリフを吉良役の小沢栄太郎にあらためてわざわざ言わせている。

映画のときは進藤さんの脚本のほとんどが、松田定次監督と助監に書き換えられたという逸話が残っているが、少なくともこの「下賎な顔」というくだりは、映画版とTV版の両方で登場するところから見て、進藤さんのオリジナルであることがうかがえる。残したかったのだなぁ。チンの顔の件。


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