かわら版忠臣蔵

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作品概要
制作会社 松竹
公開年度 2000年
内蔵助役 上岡龍太郎
評価 3ツ星


 テレビ番組創世記からご活躍だった人気タレントの上岡龍太郎さんが「21世紀に自分の芸は通用しない」と、引退を表明。

 その引退記念公演。


 記念公演にあたって、上岡龍太郎がご自身の大好きな忠臣蔵を場当たり的に持ってきたのかと思ったが、そもそも上岡さんはお芝居が大好きで、昭和末期頃からご自分で劇団を立ち上げてすでにご活躍。

 この芝居も前年に南座で打ったものの再演である(その時のタイトルは「かわら版!忠臣蔵」)。


 見たものは生ではなく、関西テレビの「上岡龍太郎引退特番 かわら版「忠臣蔵」」という放送で、1時間半足らずに短くまとめられたもの。


「忠臣蔵が好き」と公言している上岡氏(註釈01)がご自分で演じる上で、独自の美学とこだわりを舞台用の忠臣蔵にどう反映するのか(それも最後の舞台で)興味津々で鑑賞。

 内容は言うまでもなく?コメディで、正調忠臣蔵のストーリーラインに仮名手本的な要素(大序的な要素の入った導入や、マヌケな吉良邸用人の桂雀々が鷺坂伴内の扮装だったりなど)をもりこみ、桂べかこの「インディーズで吉良を討とうとするおせっかいな男」という謎キャラの投入や、江戸下向途中の箱根の温泉宿で、大石と吉良が(お互い誰とは知らず)ばったり出会って盛り上がる新シチュエーションも効果的で、1時間半足らずのダイジェストでもおおいに見ごたえのある楽しいものだった。

 骨子がしっかりしてる上で、大阪独特のざっくばらんなしゃべくり的要素も入っていて、いろいろと良いバランス。

「ああこれが上岡龍太郎の最後の晴れ姿なんだなぁ」と大阪松竹座でナマで観劇した人はひとしおだったろうと思う。

 おまけにこの収録は千秋楽らしく、出演者たちの師匠である桂米朝がカーテンコールでサプライズで登場し(放送では挨拶はカットだったが)、贅沢な幕引きとなっている。(出演者は米朝一門と松竹新喜劇の座員)


 全部ナマで見てたら、星4〜5個行っただろうなあ。番組のエンディングで、放送ではカットされていたが、閻魔の庁でみんなで歌い踊っているシーンが見られる。楽しそう。


作:米田亘 演出:中畑八郎

出演:桂ざこば(吉良上野介)/上岡龍太郎(大石内蔵助)/波乃久里子(瑤泉院)/岡部まり(大石りく)/他


註釈01…「ぼくはもう忠臣蔵が大好きです。なんでこんなに日本人は忠臣蔵が好きなんでしょうねえ」その魅力は「スリルとサスペンス、推理あり、活劇モノであり、ヒューマンであり、いろいろな面白さをすべて兼ね備えている」「結論は”勝ちゲーム”に向かっていくことが好き。これなんですね」とおっしゃっている。(「伝説の60年代」’91 NHK衛生第2)

8回続いたという「上岡龍太郎独演会」でも最後の回は「忠臣蔵」を語ったそうであります。