「勢ぞろい!!おかま忠臣蔵」の版間の差分
細 |
細 |
||
2行目: | 2行目: | ||
バブル時代のVシネマ。 | バブル時代のVシネマ。 | ||
− | |||
− | + | 見始めは「オカマ」(タイトルにあるので、敢えてこのワードを使わせていただきます。あしからず)という素材を単にオモシロ・ガジェットとしてだけ扱ってるワルノリ作品かと、後ろ向きに見てた。(最後まで見ると結局「ワルノリ」な作品には違いないんだけど。) | |
− | + | なにせ冠にオカマとついてるにもかかわらず、フォトジェニックな朝川ひかる以外のガチのニューハーフの人は、みんな脇役端役におしやられて(もっとも、その人達はテレビタレントではないが)、主要キャストはたけし軍団など「オカマ」でもなんでもない(<少なくとも表向きは)俳優やタレントがキワモノ的に演じているのだ。 | |
+ | これが化粧もヅラも馴染まない上に、へんちくりんな甲高い奇声で演技をしてるもんだから、もうトランスジェンダーをバカにしてるような安いコントみたいにしか見えず、それが笑いにもつながっていないので、特に前半は「何だこりゃ」感がたえずつきまとっていた。<SMALL>(註01)</SMALL> | ||
− | |||
+ | ところが、ストーリー的には志垣太郎の浅野ママが死んだあたりから、次第に面白くなってくる。 | ||
− | 地上げのために店を巻き上げられた「オカマバー赤穂」のオカマたちが浪々の身となって'''"男"に身をやつして''' | + | |
+ | 地上げのために店を巻き上げられた「オカマバー赤穂」のオカマたちが浪々の身となって'''"男"に身をやつして'''街に溶け込むというアイデアがシャレが利いているし、いろいろ忠臣蔵のサブ人気キャラも登場するなど、押さえどころが悪くないのだ。 | ||
バブル時代にあってお金が余ってしょうがないからってんで、なんでもイイから予算を消化しようと制作したかんじの一面もあるが、一応ちゃんと面白いものを作ろうというココロザシが見える。 | バブル時代にあってお金が余ってしょうがないからってんで、なんでもイイから予算を消化しようと制作したかんじの一面もあるが、一応ちゃんと面白いものを作ろうというココロザシが見える。 | ||
− | + | ギャランティには困ってないと見えて、脇には由利徹〜「平成名物テレビヨタロー」のメンバーまで、いろんな人が出ている。 | |
26行目: | 27行目: | ||
− | + | 註01…こうした時代背景では、LGBTに対しての理解も薄く、異装家(嗜好を含む)についての認識も無い。 | |
+ | |||
+ | 性的少数者であることをカミングアウトした人材が、メディアにはいまほどにおらず、一般の目もまだまだ珍奇なものを見るソレであった。 | ||
− | |||
[[Category:くすおの忠臣蔵作品評|1991]] | [[Category:くすおの忠臣蔵作品評|1991]] |
2020年6月16日 (火) 12:11時点における版
作品概要 | |
制作会社 | ハゴロモ |
---|---|
公開年度 | 1991年 |
内蔵助役 | 吉村明宏 |
評価 |
バブル時代のVシネマ。
見始めは「オカマ」(タイトルにあるので、敢えてこのワードを使わせていただきます。あしからず)という素材を単にオモシロ・ガジェットとしてだけ扱ってるワルノリ作品かと、後ろ向きに見てた。(最後まで見ると結局「ワルノリ」な作品には違いないんだけど。)
なにせ冠にオカマとついてるにもかかわらず、フォトジェニックな朝川ひかる以外のガチのニューハーフの人は、みんな脇役端役におしやられて(もっとも、その人達はテレビタレントではないが)、主要キャストはたけし軍団など「オカマ」でもなんでもない(<少なくとも表向きは)俳優やタレントがキワモノ的に演じているのだ。
これが化粧もヅラも馴染まない上に、へんちくりんな甲高い奇声で演技をしてるもんだから、もうトランスジェンダーをバカにしてるような安いコントみたいにしか見えず、それが笑いにもつながっていないので、特に前半は「何だこりゃ」感がたえずつきまとっていた。(註01)
ところが、ストーリー的には志垣太郎の浅野ママが死んだあたりから、次第に面白くなってくる。
地上げのために店を巻き上げられた「オカマバー赤穂」のオカマたちが浪々の身となって"男"に身をやつして街に溶け込むというアイデアがシャレが利いているし、いろいろ忠臣蔵のサブ人気キャラも登場するなど、押さえどころが悪くないのだ。
バブル時代にあってお金が余ってしょうがないからってんで、なんでもイイから予算を消化しようと制作したかんじの一面もあるが、一応ちゃんと面白いものを作ろうというココロザシが見える。
ギャランティには困ってないと見えて、脇には由利徹〜「平成名物テレビヨタロー」のメンバーまで、いろんな人が出ている。
思いもかけず、急に金満になった日本を象徴するように、クルーザーは立派だけど湾岸のビルがしょぼかったり、雑居ビルの屋上に唐突に露天風呂があったり、なんでもないオフィスに高級電動式社長椅子があったり、受け皿は今までの日本なのに小道具大道具だけすごくアンバランスに金目のものだったりする。
作品がどうのというより、バブル景気が見える作品。
註01…こうした時代背景では、LGBTに対しての理解も薄く、異装家(嗜好を含む)についての認識も無い。
性的少数者であることをカミングアウトした人材が、メディアにはいまほどにおらず、一般の目もまだまだ珍奇なものを見るソレであった。