「年末時代劇スペシャル 忠臣蔵」の版間の差分
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ひじょうにわかりやすい。定番のTVサイズのお茶の間時代劇。もしかするとビギナー向けナンバー・ワン。 | ひじょうにわかりやすい。定番のTVサイズのお茶の間時代劇。もしかするとビギナー向けナンバー・ワン。 | ||
− | + | 当時、テレビドラマ「長七郎江戸日記」で活躍中の里見浩太朗(当時49歳)<small>註01</small>を、大石内蔵助に立てて、紅白歌合戦の裏番組で討ち入り、まんまと大健闘。以後「白虎隊」「田原坂」「五稜郭」と、里見浩太朗主演で毎年、年末企画として続いた。 | |
アングルやカット割り、もしくは無言の表情や間合いで人物の感情を表現するというよりは、キャラに何かよけいなことをさせて状況をわかりやすく伝えようとするシーンが多いのが特徴。 | アングルやカット割り、もしくは無言の表情や間合いで人物の感情を表現するというよりは、キャラに何かよけいなことをさせて状況をわかりやすく伝えようとするシーンが多いのが特徴。 | ||
− | たとえば大評定の前に[[大石内蔵助|内蔵助]] | + | たとえば大評定の前に[[大石内蔵助|内蔵助]]はひとり、土蔵の中にこもって殿の形見の火事装束と向かい合い「殿!それがしは一体どうすれば!?」とブツブツやってたり<small>註02</small>、[[垣見五郎兵衛]]との会見も、垣見は白紙の目録を見るだけでなく荷物の蓋も開けるし、ふすまガラッと開けて向こうの浪士達に挨拶しちゃう。[[赤埴源蔵]]は義姉の部屋の前までドカドカ入って来てしまうし、羽織相手の会話も口数が多い。などなどちょっと、'''わびさびに欠ける'''。 |
あと、な〜んか、カメラ割りが安いというか、へんなドアップが多く、明らかにルーズで撮ったほうが良さげなカットが散見。あわてて作ったのか、どっか粗い。 | あと、な〜んか、カメラ割りが安いというか、へんなドアップが多く、明らかにルーズで撮ったほうが良さげなカットが散見。あわてて作ったのか、どっか粗い。 | ||
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(能村康一氏「実録テレビ時代劇史」によると、最初1年の連ドラのはずだったのが「紅白の裏の特番」とされてスタッフは相当ガッカリしたというから、どこか捨て鉢になっていたかもである。) | (能村康一氏「実録テレビ時代劇史」によると、最初1年の連ドラのはずだったのが「紅白の裏の特番」とされてスタッフは相当ガッカリしたというから、どこか捨て鉢になっていたかもである。) | ||
− | + | 上記のセンスや、時折入ってくる堀内孝雄さんの主題歌のかもす雰囲気など、全体ははなはだ垢抜けないかんじだが、それでも意外にもこの「ゆるさ」「野暮ったさ」がお茶の間に受け入れられてか視聴率がたいへん健闘し、いまだに人気が高い。 | |
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+ | 同世代で'''この作品がキッカケで忠臣蔵のファンになったという人がすごく多い'''。たしかに無駄が無く、たくさん忠臣蔵を見たあとにあらためて見ると、セリフに印象的なものも多く構成力が実にそつがない。(脚本は杉山義法先生) | ||
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ちなみに、現在に至るまでこのアレンジは、'''賛否両論'''。 | ちなみに、現在に至るまでこのアレンジは、'''賛否両論'''。 | ||
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話は変わりますが、この頃の若手ってヘッタクソな人多いっすねえ!素人がもてはやされた時代だからかなあ。 | 話は変わりますが、この頃の若手ってヘッタクソな人多いっすねえ!素人がもてはやされた時代だからかなあ。 | ||
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+ | 註01…この「忠臣蔵」の放送が終わって夜が明けると、里見は芸能生活30周年だった。「長七郎」モノや「水戸黄門」の助さん役の「マンネリを防ぐカンフル剤になれば」と意気込み、役作りに食事の量を倍にして貫禄づくりにはげんだら、脂肪肝になってしまったという。(TVガイド 1985年12/21-27号) | ||
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+ | 註02…里見浩太朗は、オリジナリティあふれるこのシーンにおいて、蔵の中に入る時と出てきた時で顔がまったく違っている、そうした大石の心情の変化に=大スターの魅力そのもので魅せていた時代とは違うというところに、注目をしてほしいと言っている。(TVガイド 1985年12/21-27号) | ||
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里見浩太朗の特別公演で、主役の里見=[[大石内蔵助|大石]]の周辺をクローズアップして物語が展開しているので、家族や遊里のシークエンスがふくらんでおり、[[阿久里/瑤泉院|南部坂]]と討ち入り(といっても雪の舞う中、討ち入り装束で四十七士が並ぶイメージのみ)以外は、松乃廊下を始め、江戸の一切(含:東下り)は出てこない。 | 里見浩太朗の特別公演で、主役の里見=[[大石内蔵助|大石]]の周辺をクローズアップして物語が展開しているので、家族や遊里のシークエンスがふくらんでおり、[[阿久里/瑤泉院|南部坂]]と討ち入り(といっても雪の舞う中、討ち入り装束で四十七士が並ぶイメージのみ)以外は、松乃廊下を始め、江戸の一切(含:東下り)は出てこない。 | ||
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2020年7月18日 (土) 14:03時点における版
作品概要 | |
制作会社 | 日本テレビ |
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公開年度 | 1985年 |
内蔵助役 | 里見浩太朗 |
評価 |
ひじょうにわかりやすい。定番のTVサイズのお茶の間時代劇。もしかするとビギナー向けナンバー・ワン。
当時、テレビドラマ「長七郎江戸日記」で活躍中の里見浩太朗(当時49歳)註01を、大石内蔵助に立てて、紅白歌合戦の裏番組で討ち入り、まんまと大健闘。以後「白虎隊」「田原坂」「五稜郭」と、里見浩太朗主演で毎年、年末企画として続いた。
アングルやカット割り、もしくは無言の表情や間合いで人物の感情を表現するというよりは、キャラに何かよけいなことをさせて状況をわかりやすく伝えようとするシーンが多いのが特徴。
たとえば大評定の前に内蔵助はひとり、土蔵の中にこもって殿の形見の火事装束と向かい合い「殿!それがしは一体どうすれば!?」とブツブツやってたり註02、垣見五郎兵衛との会見も、垣見は白紙の目録を見るだけでなく荷物の蓋も開けるし、ふすまガラッと開けて向こうの浪士達に挨拶しちゃう。赤埴源蔵は義姉の部屋の前までドカドカ入って来てしまうし、羽織相手の会話も口数が多い。などなどちょっと、わびさびに欠ける。
あと、な〜んか、カメラ割りが安いというか、へんなドアップが多く、明らかにルーズで撮ったほうが良さげなカットが散見。あわてて作ったのか、どっか粗い。
(能村康一氏「実録テレビ時代劇史」によると、最初1年の連ドラのはずだったのが「紅白の裏の特番」とされてスタッフは相当ガッカリしたというから、どこか捨て鉢になっていたかもである。)
上記のセンスや、時折入ってくる堀内孝雄さんの主題歌のかもす雰囲気など、全体ははなはだ垢抜けないかんじだが、それでも意外にもこの「ゆるさ」「野暮ったさ」がお茶の間に受け入れられてか視聴率がたいへん健闘し、いまだに人気が高い。
同世代でこの作品がキッカケで忠臣蔵のファンになったという人がすごく多い。たしかに無駄が無く、たくさん忠臣蔵を見たあとにあらためて見ると、セリフに印象的なものも多く構成力が実にそつがない。(脚本は杉山義法先生)
ほかではあんまり陽のあたらないエピソードや、キャラの相関関係に注目してるのも特徴で、お茶の間の時代劇ファンだけでなく、史実に詳しい人にもいろいろ楽しいようです。
吉良上野介に対する敬意とも言える「最後」のアレンジ演出(とどめを刺される前に吉良は四十七士の前で能を舞う)は、吉良役のモリシゲ自らたっての希望、とワイドショーが言ってたのを放送当時に見た記憶がある気がする。(確認不可能)
ちなみに、現在に至るまでこのアレンジは、賛否両論。
話は変わりますが、この頃の若手ってヘッタクソな人多いっすねえ!素人がもてはやされた時代だからかなあ。
註01…この「忠臣蔵」の放送が終わって夜が明けると、里見は芸能生活30周年だった。「長七郎」モノや「水戸黄門」の助さん役の「マンネリを防ぐカンフル剤になれば」と意気込み、役作りに食事の量を倍にして貫禄づくりにはげんだら、脂肪肝になってしまったという。(TVガイド 1985年12/21-27号)
註02…里見浩太朗は、オリジナリティあふれるこのシーンにおいて、蔵の中に入る時と出てきた時で顔がまったく違っている、そうした大石の心情の変化に=大スターの魅力そのもので魅せていた時代とは違うというところに、注目をしてほしいと言っている。(TVガイド 1985年12/21-27号)
大石内蔵助〜忠臣蔵備忘録〜
同じ杉山義法脚本で、セリフや場面の多くがテレビ版とまったく同じ、いわば舞台版がある。
新橋演舞場。1997年公開。出演者も何人かシフトしている。TVドラマから12年も経過してるので、ドラマ版でたよりなかった矢頭右衛門七の新田純一の演技もだいぶ安心して見られるものとなっている。
里見浩太朗の特別公演で、主役の里見=大石の周辺をクローズアップして物語が展開しているので、家族や遊里のシークエンスがふくらんでおり、南部坂と討ち入り(といっても雪の舞う中、討ち入り装束で四十七士が並ぶイメージのみ)以外は、松乃廊下を始め、江戸の一切(含:東下り)は出てこない。