「架空実況放送「松の廊下」」の版間の差分

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所謂、未来からタイムスリップしているのではなく、元禄時代にNHKが存在するという、問答無用の設定の中、真面目に中継しているアナウンサーたちの眼の前で事件が起こるので、いろいろわからないまま騒動に巻きこまれるのがリアルでおもしろい。
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所謂、未来からタイムスリップしているのではなく、元禄時代にNHKが存在するという、問答無用の設定の中、真面目に中継しているアナウンサーたちの眼の前で事件が起こるので、いろいろわからないまま クルーは騒動に巻きこまれるのがリアルでおもしろい。
  
  
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事件のあらましは当時としてはオーソドックスな「吉良のパワハラで浅野が切れるパターン」を採用しているが、取材班は事件後すぐに排除されてしまい、両者の安否や今後の展開について、民間人のインタビューも交えた憶測が飛び交う「オンタイムっぽい様子」がよくできている(野次馬の到着や、内匠頭の切腹決定がいささか急ぎ足だが)。
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事件のあらましは当時としてはオーソドックスな「吉良のパワハラで浅野が切れるパターン」を採用しているが、取材班は事件後すぐに現場から排除されてしまい、両者の安否や今後の展開について、城外で民間人のインタビューも交えた憶測が飛び交う「オンタイムっぽい様子」がよくできている(野次馬の到着や、内匠頭の切腹決定がいささか急ぎ足なのはご愛嬌)。
  
忠臣蔵ファンとしては、大騒動の喧騒を聴くだに、込み上げてくるものがあります。
 
  
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忠臣蔵ファンとしては、大騒動の喧騒がリアルであるほど、込み上げてくるものがあります。
  
江戸城外のパニック状態のガヤ音も実況の背景としてはよく出来ていて興奮するが、おそらく、現代人の[[もりいくすお|あたし]]はこの再放送を緊張感を持って楽しんでいるが、当時のラジオリスナーは血のメーデーやらのデモの生中継や、浅沼稲次郎がマスコミの眼の前で刺殺されるのやらを知っているので、「リアルだなあ!」と言うより、半笑いで楽しんでいたんじゃないかと思う。
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実況という視点で描かれると、現代の倫理観からすれば当然、暴力の被害者に同情が向かうべきところが、さにあらず、騒ぎが大きくなるほどに、理不尽への抵抗として刃を取った内匠頭の成し遂げられなかった無念が胸に迫り、その思いに駆られてウルウルしてしまうのです。
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江戸城外のパニック状態のガヤ音も実況の背景としてはよく出来ていて興奮するが、おそらく、現代人の[[もりいくすお|あたし]]はこの再放送を緊張感を持って楽しんでいるものの、1963年当時のラジオリスナーは血のメーデーやらのデモの生中継や、浅沼稲次郎がマスコミの眼の前で刺殺されるのやらを知っているので、「リアルだなあ!」と言うより、半笑いで楽しんでいたんじゃないかと思う。
  
  

2024年11月25日 (月) 04:33時点における版

作品概要
制作会社 NHK
公開年度 1963年
内蔵助役 -----
評価 4ツ星


ラジオコンテンツ。

歴史上の事柄にNHKのアナウンサーを派遣して実況するテイのラジオ劇。36分。関ヶ原の戦いや226事件の実況もあるそうで(尺はまちまち)、そんなシリーズの20回目に当たるとか。

聴取者を現場にご案内して、あるがままの姿をお伝えするという趣向。(2020年に再放送があったらしいが、2024年の「伊集院光の百年ラヂオ」で聴きました)


18世紀初頭の江戸城に、朝廷の使者を迎えて接待する儀式を中継しているNHKの人達の前で、松之大廊下の刃傷事件が勃発する。


所謂、未来からタイムスリップしているのではなく、元禄時代にNHKが存在するという、問答無用の設定の中、真面目に中継しているアナウンサーたちの眼の前で事件が起こるので、いろいろわからないまま クルーは騒動に巻きこまれるのがリアルでおもしろい。


江戸城内を3元中継する形で、白書院中庭。柳の間。そして大手門から最初は静かに実況している。

時間が出来たからということで急遽インタビューに対応する柳沢吉保に、アナウンサーが言いにくそうに数日前の畳替え騒動のことを聴くとはぐらかされ、あまつさえアナウンサーの使った言葉に静かにたしなめられると、空気が一瞬張り詰めたりする。(柳沢は小沢栄太郎)


事件のあらましは当時としてはオーソドックスな「吉良のパワハラで浅野が切れるパターン」を採用しているが、取材班は事件後すぐに現場から排除されてしまい、両者の安否や今後の展開について、城外で民間人のインタビューも交えた憶測が飛び交う「オンタイムっぽい様子」がよくできている(野次馬の到着や、内匠頭の切腹決定がいささか急ぎ足なのはご愛嬌)。


忠臣蔵ファンとしては、大騒動の喧騒がリアルであるほど、込み上げてくるものがあります。

実況という視点で描かれると、現代の倫理観からすれば当然、暴力の被害者に同情が向かうべきところが、さにあらず、騒ぎが大きくなるほどに、理不尽への抵抗として刃を取った内匠頭の成し遂げられなかった無念が胸に迫り、その思いに駆られてウルウルしてしまうのです。


江戸城外のパニック状態のガヤ音も実況の背景としてはよく出来ていて興奮するが、おそらく、現代人のあたしはこの再放送を緊張感を持って楽しんでいるものの、1963年当時のラジオリスナーは血のメーデーやらのデモの生中継や、浅沼稲次郎がマスコミの眼の前で刺殺されるのやらを知っているので、「リアルだなあ!」と言うより、半笑いで楽しんでいたんじゃないかと思う。



構成:西沢実 音楽:古関裕而

出演:小沢栄太郎 松本克平 浜田寅彦 永田靖 平幹二朗 遠藤剛 西沢実 ほか

梶原四郎アナウンサー 河原武雄アナウンサー 羽佐間正雄アナウンサー(羽佐間さん間一家の子孫。もりいの高校の先輩)