忠臣蔵松の廊下
作品概要 | |
制作会社 | フジテレビ |
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公開年度 | 1993年頃 |
内蔵助役 | −−− |
評価 |
「ドリフ大爆笑」の5分くらいのコント。純粋におもしろい。
教えを乞うために加トちゃんの内匠頭が、去って行こうとする志村けんの上野介の長袴の裾を引っ張ってひっくり返す。しまいに刃傷に及ぼうとするが行き交うサムライは誰もがその場を(まるで気づかないかのように)スルーするという単純に笑える天丼コント。
加トちゃんの内匠頭が刃傷におよぶのは志村上野介に「高木ブーでも、あの、あのいかりや長介でさえも女房がおるわい」とプライベートをなじられたのがキッカケ。いかりやと比べられるのはまだしも、高木ブーより劣ると言われたことが遺恨となった。
ここで興味深いのは志村けんの吉良が「35にもなって嫁はいるのか?」と問いかけたとき、加トちゃんの内匠頭は「いまだ参上つかまつりませぬ」と答える点。返答として日本語的にはおかしなセリフであり、そのほかにも「なにとぞ教えて願いたい」など侍言葉が出なかった加藤茶(自分は本当にものを知らないと公言している)のアドリブの限界かともイメージされ、その場で志村も「嫁が参上したりするかバカタレ」とつっこむが、実はこの「いまだ参上つかまつりませぬ」というセリフは仮名手本忠臣蔵四段目における、切腹中の判官の「由良之助はまだか?」の問いに答える大星力弥のセリフであり、歌舞伎ファンの加トちゃんはソレをとっさに引用したのだとすれば、意外に密度の濃いパロディになってるのかなとも伺える。
ちなみに意識してるのかしてないのか、志村けんのセリフ回しは月形龍之介そっくりで、なにげない馬鹿げたコントも彼らの無意識の引き出しがクオリティを高くしている。
80年代に作って90年代に再演。3っつ星のできばえは後者のほう。ドタバタも間合いも絶品。全員集合終了後の「加トケン」番組にからむ長さんとのいざこざで同フレームに加トケンと長さんが出てこない時期のリメイクだが、そうした緊張感だからこそ迫真のドタバタに仕上がってるのじゃあないかしら。
この90年代のほうは衣裳がヘンで、カトちゃんは烏帽子かぶってるのに着物が長裃という具合でめちゃくちゃ。だが意外に新解釈かもしれない(笑)。
(ちなみに8時だヨ!全員集合で同じコントをやったときはふたりとも直垂大紋に長袴。しかし烏帽子をかぶっていなかった)
後年、メンバーが選ぶ傑作選にも出てたし、市販のDVDにも収録されてるらしいし、ドリフ結成45周年番組でも再放送され、ことあるごとにひっぱりだされるほど愛されてるコント。