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中村仲蔵
,編集の要約なし
さて内容は、通常版よりも"血の無い"仲蔵の苦労がひときわで、周囲のやっかみがすごい。
仲蔵は落語ではカミさんと相談して上方へ旅にでようとするが、松之丞バージョンは首をくくろうとする(ちなみに独身。これらは仲蔵の生き様を強調するためのアレンジだそうだ)。
心理描写や状況描写を落語よりもずいぶんと引っ張るので、松之丞さんの芝居がかったパフォーマンスと相まって、静まり返った五段目の上演が何日か経った超満員の客席から、最初に大向うから声援が飛んだのを皮切りに場内が沸き返るような騒ぎになるシーンでは、張り詰めた弓が急に緩んだように、こちらの涙がドバーッと出る。
この話ではお手本となる浪人を目撃はしてもコンタクトをしないので、念願の [[「此村大吉」もの|此村大吉]]のエピソードに触れられるのか!?と思ったが、なんにもなかった。<small>(註釈02)(註釈03)</small> いろんなシチュエーションが陰気臭いにもかかわらず、すごくドラマチックで傑作。
註釈01…落語(彦六版)では、仲蔵は定九郎の開発について周囲の役者にごちそうして急な変更の挨拶をして口裏を合わせて協力を得るが、この講談版の仲蔵は、周囲全部を敵に回す。これは落語版の「見ていやがれ」の対象が、しょぼい役を振った師匠に当てられているのに対して、講談版は周囲のライバルに向けられているので、ここんところが変わってくる。
が触れられ、大吉が仲蔵に目撃されるのは蕎麦屋ではなく土手を走っているシチュエーションになっている。