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東海道四谷怪談
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ので、いろいろ呪われ発狂する。最後はお岩さんの妹の夫である[[矢頭右衛門七|佐藤与茂七]]に仇を討たれる。
== <FONT SIZE=5>'''映画 '''</FONT> ==
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'''新釈 四谷怪談'''(前・後編)…松竹・1949年{{Star|5}} 監督:木下恵介 '''別格'''!!!!。東海道四谷怪談の、リ・イマジネーション作品。 もう、どっから讃えたらいいのやら… とにかく歌舞伎の原作に奥行きを与えていて、「映像化する」という意味と意義をこれほど感じたことも珍しい。名匠・木下監督を捕まえてあたしなんぞがいまさらなにを言おうかであるが、画面構成もソツがないし、丁寧だし、凄いし、いろいろ隅々まで行き届いててつくづくまっとうで… 大悪党の民谷伊右衛門を上原謙みたいなへっぴり腰にやらせてなにごとかと思ったがこれにもちゃんと意味があって悪行に巻き込まれた「だめなやつ」を演じきっている。またその道に他者を引きずりこむ直助の滝沢修も十分に働いている。魔界より人間界のほうがよほど地獄。 また「こいつ必要?」と思いがちな小平(佐田啓二)に新たな存在感が与えられており、お岩さんと戸板にくくられる資格を持っている。 なによりこれまで若輩の私には魅力がもうひとつわからなかった女優、田中絹代(asお岩)のたたずまいが可愛くて可哀想で、とにかく四谷怪談でほろりとさせられたのは初めて。 あとねえ、直助と結託する杉村春子が良かったなあ。浮世絵から抜け出たみたいなしなやかな「線」で、素晴らしかった。(つか、役者陣が天下一品でしょ。ここに宇野重吉(与茂七)や加東大介(新キャラ)が加わるんですから!) 「当時」の鑑賞者がどう評価したかは微妙。怪奇映画というより人間ドラマになっており、それが怪奇映画を見に行くつもりで出かける当時の民度にどれほど響いたか?ランニングタイムも長いし。 は〜…これから「二十四の瞳」を見よっかな。あと、滝沢修をもっと見たくなったから「[[忠臣蔵 花の巻・雪の巻 (松竹)]]」「[[忠臣蔵(大映)]]」も見たくなちゃった。 あ、忘れてた。この映画、忠臣蔵は関係ないです。白黒映画。 --------- '''四谷怪談'''…新東宝・1956年{{Star|2}} ベテラン小国英雄と、これがデビュー作となる田辺虎男という人の共同脚本。 小平や与茂七をカットして代わりに伊右衛門(若山富三郎)の母親(飯田蝶子)を加え彼女をブレーンにし、伊右衛門の悪行に新たなバックグラウンドを加えているが、果たしてそれが成功してるのか、ちょ〜っとよくわからない出来栄え。 母親がいなかったらただのノーアイデアで強がりの伊右衛門だが、だったらだったで徹底的にマザコンみたいなダメ男で描いてもおもしろかったかも。オリジナルの性格を多少引きずってるぶんキャラがブレる。 映画が古いということもあるだろうが若山富三郎がなにを喋ってるのかわからない時があり、ああそういえば「ブラックレイン」では、まるきりアフレコされてるシーンがあったっけ…などと思い出しました。 与茂七がいないことでお察しと思いますが忠臣蔵には一切関係ないハナシ。白黒映画 --------- '''四谷怪談'''…大映・1959年{{Star|3}} 大映で[[忠臣蔵(大映)|前年に大石内蔵助を演った長谷川一夫]]が民谷伊右衛門。 長谷川一夫がこんな稀代のヒールをどう演じるのか、はじめは愛妻家っぽい伊右衛門がどう鬼に豹変するのか注目したがこの映画ったら、顔の皮は剥がないし、赤ちゃんはいないし、そもそも伊右衛門夫婦はド貧乏でもない。(ネタバレ>なによりも伊右衛門の札付きの悪友が真犯人) これほど伊右衛門に部のある「四谷怪談」をほかに知らない。 生前の岩にもじゃっかんトゥー・マッチな執着心なども与えて、とにかく負の要素を伊右衛門ひとりにしょいこませるのではなく、あちこちに分散させることで長谷川一夫のクリーンさを保とうとしているかんじ。 怪談映画に初挑戦の長谷川一夫を見に行ったファンがホッとするための作品で、怪談映画を楽しむのには物足りないかもしれない。エンドマークを見ながら「なんだこりゃ」と思わず口をついて出てしまった。(作品自体は独特のムードで、けっして悪くありません) 三隅研次監督作品。塩冶家も浅野家も出てこない忠臣蔵と無関係な作品。 --------- '''東海道 四谷怪談'''…新東宝・1959年{{Star|2}} 伊右衛門に天知茂。お岩は若杉嘉津子。初のカラー四谷怪談映画だそうで、丁寧に登場人物の心持ちを伝えようというよりも色を使って不気味な表現を心がけようとしてる感じの作品。そのくせ、画面全体が暗い。(VHSで見たからか?=粗かった?) 淡々と話が進み、そのためか説明不足とも思える部分が多く、この物語に慣れてない人が見たら「ねえこれ、だれ?」とか「これいま、なにしてるところ?」とかすごく聞かれそう。 あたしが見た映画版四谷怪談の中ではもっともカルト性が強いが、同社の「地獄」「憲兵と幽霊」ほどの奇抜さは欠いている。中川信夫監督作品。 --------- '''怪談 お岩の亡霊'''…東映・1961年{{Star|4}} ダイナミックで大胆な画作りの正調四谷怪談映画。 若山富三郎がまた伊右衛門をやってるが、上記のはんちくな新東宝ので伊右衛門キャリアを終わらせずこっちで「やり直して」おいてよかったと思う。今度は性根が強悪なジャイアンな伊右衛門が仕上がっている。(直助の近衛十四郎はちょっと愉快な感じのザコキャラに。) 目張りで白塗りの時代劇から一新したリアルなキャラ作りは黒澤映画の助監の経験のある加藤泰(「緋牡丹博徒シリーズ」など)ならではか。汗臭い見応えある作品にしている。 大毒薬で災難な岩を藤代佳子が怖く不気味に演じ怪談の面目を保っている。木下恵介版で関心したばかりにもかかわらず、これはこれで「こうでなくっちゃ!」と楽しく見られた。 こちらも忠臣蔵、一切関係なし。白黒映画。 --------- '''四谷怪談'''…東宝・1965年{{Star|3}}
仲代達矢が民谷 伊右衛門を演って好評だった新劇の舞台(演出は小沢栄太郎…本作の伊藤喜兵衛)の翌年に公開された。
仲代もさることながら中村勘三郎(17th)の直助の好演も目立つ。(「[[修羅]]」の中村嘉葎雄と唐十郎の関係を思い出した。)
'''魔性の夏 四谷怪談より'''…松竹・1981年{{Star|3}}
蜷川幸雄監督作品で、前半は良い意味で非常に映画的ではない、舞台的な(?)構図のとり方やセットの組み方、すごく斬新なカメラワーク、セリフの掛け合いなどが愉快に感じられ、『ええじゃないか』や『写楽』のようなアヴァンギャルド時代劇(<そんな分野があるのか、あたしの勝手な言い方でありますが)を彷彿とさせ、どことなく寺山修司映画っぽい呼吸を感じることもある。
そんな空気の中、存外忠実なストーリーラインと高橋恵子(岩)と夏目雅子の美貌が素晴らしく、狂った伊右衛門のショーケンの奇演ぶりは申し分がない。
奇抜な演出と思われるところもあり、ネット上のレビューを見ると戸惑ってる人もいるようす。
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'''喰女-クイメ-'''…東映・2014{{Star|3}}
劇中劇で四谷怪談が扱われてる現代劇と聞いていたから「見ても見なくてもいいや」と思っていたが、虫が知らせたんで見てみたらなかなか良かった。「四谷怪談」に「オーディション」をくっつけたみたいな出来栄え。
ジャパニーズホラーが評判になってからこっち、四谷怪談の新作を知らないので現代の映像クリエーターにぜひ取り扱ってほしいと思っていたが、まさに本作はそんな希望がかなったような作品。人間ドラマよりもホラーとしての四谷怪談を怪奇に表現していてその点は満足。三池崇史監督作品。
三池映画としては、ときどき手がけてる漫画映画よりもずっと本領が発揮されてるような感じで、開始五〜十分位に、タイトルが入るくらいのタイミングで「お?こりゃやりたくてやってる仕事なのじゃないかな?」という気持ちになる。
四谷怪談の度合いは思ってたよりも大きいのだが、劇中劇なだけにダイジェストには変わりなく、言うまでもなく忠臣蔵は絡んでない上になんだかよくわからないところもあるので星3つ。