なにわ忠臣蔵

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大阪を舞台にした、暴力団の抗争と忠臣蔵をだぶらせた作品。


ふだん「難波金融伝・ミナミの帝王」(は、見応えがあって面白い。)を撮ってるスタッフによる作品だが、誰が「忠臣蔵やろうよ」と言いだしたのか知りませんが、やらなくちゃいけないことになったんで「撮りました。これでイイですか」という感じの作品。まったく忠臣蔵に対する愛を感じないし、かといってバカにしてる作品でもない。

監督さんは、もらった脚本を端っこから淡々と順番に撮ってるかんじで画面作りにはまったく工夫がなく、みんなあんまりやりたくなかったのかな、と。

見かけは映画というより、Vシネ(松竹だから厳密にはOVA?)のイメージに近い。


大石内蔵助に当たる主人公を演じた岩城滉一はインタビューで

「自然にやれました。大体、僕はヤクザが特別という考え方はしないんです」「(監督からも)役に対する特別な注文はなかった」と言っている。

うがった見方をすると「この作品だからこそ、この役だからこそ」という強いこだわりや掘り下げが現場にないようにも受け取れる。

出演を決めた理由についても「今回は、丁度時間が空いたもんだから、この役をあなたにやってもらいたいという作り手の気持ちが通じましたから」と答えており、な〜んか「ビジネスライクな大人の事情」で動いている印象を受けた。(キネマ旬報 No.1238 p22)


大阪が舞台でもユーモアが無い。

暴力団が主役の抗争劇でもバイオレンスシーンに緊迫感も無い(いや、バイオレンスシーン自体がほとんど無い)。

おねえちゃんが出てきてもエロくない。

出演者は関西弁をあやつれない(ほとんど関東出身。ちなみにミナミの帝王はナニワ度が高くて、一部の役者を除いて大阪弁に違和感はない)。

BGMも無い。

討ち入りシーンに雪が無い(春の決行なので)。

47人も仲間が無い(5にんなの)。

これほど「辞めたい」と言ってる脱盟者のほうに感情移入できる忠臣蔵は他に無い。

…無い無いづくしなのであります。


作品を見てる間のこの気分ってなんだろう。結論が出てるけど出席してなきゃいけない会議の気分かな。強い主張も無ければツッコミも無く、でも10分で切り上げるわけにもいかず、みたいな?


内容に対する意見は「なにわ忠臣蔵」で検索いたしますと何件かひじょうに的を射たレビューが引っかかりますのでそちらをご覧いただければと思います。


でもね!一個だけ、最高に気に入ってるシーンがあります。吉良組の組長の長門裕之が最後に額を撃ち抜かれるシーン。大石の岩城滉一がバーンとやると長門の頭部ダミーがブシュワシッ!て血しぶきをあげるんだけど、すごくユルくて最高。このセンスで全編通してくれたらなあ!と、くやまれる。


ま、きっと製作サイドに悪気は無い。


脚本:友松直之/監督:萩庭貞明


<余談>

東映も同年に『北京原人 Who are you?』を作って20億円を溶かし大爆死しかけたが、『失楽園』『新世紀エヴァンゲリオン』のヒットで業績は良かった(強力なアニメキャラの版権も持ってるし。要確認だけど)。

いっぽう『なにわ…』の松竹は、渥美清を失って、大黒柱の寅さんシリーズにピリオドを打ち、1997年の松竹の映画興行全体が歴史的な大不振だった。