喜劇 縁結び旅行

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播州赤穂を舞台にした現代劇。

鉄道員のフランキー堺を主人公にした「旅行シリーズ」第5弾の舞台が赤穂(第1弾は大阪、第4弾は高知とか毎回設定が変わる)で、登場人物はいずれも義士関係の子孫というかんじ。

兵庫県、播州赤穂駅の旅客係の赤垣源太(土佐が舞台だと、坂本竜太という風に主人公の名前が変わる)は、加里屋郵便局で働くみち代(金井克子)にプロポーズするが、コメディの因果で、日ごろから源太にモーションをかけてる「義士そば」の店員・おかるちゃん(野添ひとみ)と結婚するハメになる。


たったこれだけのストーリーに、伴淳、ミヤコ蝶々、大村崑、悠木千帆(現・樹木希林)など、「見てるだけでおもしろい」そうそうたるメンツで場を盛り上げ、約80分を持たせている。


鉄道員の日常と、播州赤穂、旅先の倉敷や出雲大社、のさまざまな風景で旅情をかき立てる、というこの「なんでもない」構成は、昭和45年正月の大衆にはピッタンコのパッケージだったんだろうなあと、当時をすごくあれこれとイメージした。

「映画でも行くか」と、お父さんが家族を誘い、くわえタバコのおとそ気分で近所の映画館にふらりと出掛け、キップを買って中に入り、売店のおばちゃんに新年の挨拶がてら、食べたいわけでもないおせんべいを買ったが釣り銭を間違われ、映画の音が思いっきり漏れてくるトイレ臭いロビーの、破れたビニールソファで無防備に横になってイビキをかいてる赤ら顔のおじさんを横目に劇場内へ。うっかりまだタバコをくわえていたことに気づいて、あわててその場に捨てて踏み潰し、まったくの映画の途中から入って、脈絡はわからないが、そのくせ席に腰を下ろしながら、フランキーと牧 伸二のやりとりを見て、顔はもう笑っているという、…そういう3丁目な想像が容易に出来る「気のおけない」作品なのである。



個人的な本作の原体験

さて

以下はまったく個人的な事だが、本作はわたしが「おかる」という名前を忠臣蔵の登場人物としてインプットしたメモリアルな作品。

子供の頃に、深夜テレビかなにかでこの作品を観て強烈に記憶に残っている「おかる」のワン・シーンがあるのです。

本サイトを立ち上げてからそのシーンを思い出し「アレはなんだったんだろう?忠臣蔵に関係していた筈だ」と、薄れかけた記憶だけをたよりに「おかる」「野添ひとみ」「フランキー堺」というワードやディティールでネット上をあら探しし、やっとのことで、この「喜劇 縁結び旅行」というタイトルにたどりついたのであります。


野添ひとみ演じるおかるはそば屋の店員で、ことあるごとに意中の鉄道員・フランキー堺に猛烈アプローチをする件は、さっきオハナシいたしました。

しかし、この脇役の、彼女のインパクトがわたしにとってはただごとじゃなかった。


おかるは長い髪を頭のてっぺんで弁髪のように編み、ミニスカート、主にタートルネック姿で、その上から雁木模様のはっぴをいつもまとっている。

これだけなら、まあチャーミング?なのだが、ここに黒縁のでかいメガネをかけており、メガネが無いと目の前の人物の判別すら出来ないド近眼でいつもドジを踏み、性格もおきゃんぴー。これがおかもちを持って、そば屋の店員として存在している、ボケ担当としてのありさまは、たとえばよしもとの山田花子さんのような容姿ならしっくり来るのだが、これをエキゾチックでコケティッシュな(等身もちゃんとした)野添ひとみがやっているのだ。なんとアンバランスなことよ!

そんな彼女がある日(ここからが少年もりいくすおにとっての問題のシーン)赤い下着がすけすけのシースルーのワンピースで播州赤穂駅に出前に行き、とぼけた顔をしてお目当てのフランキーの鼻先にバストをグッとアプローチするようなしぐさでそばを配るシーンがあって、ともかくソコだけが強烈に脳裏に焼き付いていた

「気のおけない」松竹映画の牧歌的な喜劇にとほうもない「ギャップ萌え」のスパイスが入っている。そばの上にリキュールやコニャックが効いたスイーツが乗ってる感じ?

で、彼女のあだ名が「おかる」というヘンな名前。なにもかもがミスマッチでシュール。

十代のわたしにはショッキングで、いまにして思えばちょっとした原体験であった。


案外、無意識に忠臣蔵狂いを加速させる触媒になっていたかもしれない??